俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

11月30日(月)

2020-11-30 10:43:30 | 日記
晴れ  
まぶしくて十一月の辛夷の芽  正子


●あたたかき十一月もすみにけり 中村草田男(『長子』)

今年の11月は暖かかった。その十一月も今日で終わり。草田男は終わりではなく「すみにけり」という。「仕事がすんだ」というように、「十一月がすんだ」のだ。「済ます」というのが実はむずかしい。

●『光陰の矢』(朝吹英和著)のお礼を出す。以下を好きな句にあげた。朝吹さんの季語の扱いは特別で、伝統的ではない。季語により触発された感覚と素養とが融合し、あらたな美的なイメージを寓意性に富んで作り上げている。以下に選んだ句は、氏の句のなかでも伝統的季語の扱いに近いものをあげたのではないかという気がしている。

「地雷原」から
花合歓や水に沈みし夜想曲
真言を包む群青飛瀑かな
授けられ授けし命河鹿鳴く
「縄文の舟」から
戦場に繋がる海や野分雲
肩に乗るルソーの猿や十三夜
来し方の透けし黄葉暮れそむる   
「年輪の声」から
喪の家に寒木瓜密と花開く
フルートの煌めきやがて飛雪かな
寒茜昭和の影の淡きこと  
「ロングシュート」から
屋根裏を打つ春霰詩魂湧く
葬礼を包むオルガン寒戻る
ゴーギャンの裸婦より春の土匂ふ
「光陰の矢」から
熱帯魚ゆるりと回す星座盤
少年は老い易しとやラムネ抜く
遠雷や出羽三山の杉尖る

●満月。午後9時半ごろ、満月ながら、月食のような様子が見えるという。見上げると、うっすら欠けているところがあるような。

●今日行く予定の病院をキャンセル。月の末日に病院にいくのは、いかにも忙しすぎる。薬はあるので来週にしてもらう。
コメント
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