俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

11月10日(金)

2017-11-10 12:54:38 | 日記
★天の日は初冠雪の嶺に照り  正子
初冠雪と聞くだけでも気持ちが高揚いたします。また、「天の日」という新鮮な表現に更に神々しく霊峰富士山、もしくはそれに匹敵する様な嶺を連想いたしました。天の日が初冠雪を照らし、眩しいほどに耀く嶺は凛として初冬の美しい景色です。(佃 康水)

○今日の俳句
浜風に確と結びし新松子/佃 康水
浜辺の松の枝にしっかりと青い松毬(まつかさ)がついた。古い松毬と違って充実している。それを「確と」が言い当てている。浜辺の青松毬のすがすがしさがよい。(高橋正子)

○冬薔薇(ふゆばら、ふゆそうび)

[冬薔薇/横浜いずみ野]

○冬薔薇(ふゆばら、ふゆそうび)

[冬薔薇/横浜いずみ野/カフェ・ド・ダラ]

★フランスの一輪ざしや冬の薔薇/正岡子規
★築地行けば垣根の薔薇や冬の花//正岡子規
★思はずもヒヨコ生れぬ冬薔薇/河東碧梧桐
★冬ばらの蕾の日数重ねをり/星野立子
★冬の薔薇すさまじきまで向うむき/加藤楸邨
★冬薔薇金環蝕ののち開く/黒田杏子
★冬薔薇や海に向け置く椅子二つ/舘岡沙緻
★冬薔薇やっぱり君は君のまま/SUNAO
★見るうちに薔薇たわたわと散り積る 虚子
★手の薔薇に蜂来れば我王の如し 草田男
★ばら薫るマーブルの碑に哀詩あり 久女
★愁ひつつ岡にのぼれば花いばら 蕪村
★花茨白花は楽の通ひ易く 草田男
★花いばら ここの土とならうよ 山頭火
★夕日の中の冬ばらの赤明らかに/高橋信之

 冬薔薇といえば、たいていは、花屋から買ってくるものだ。花瓶に開きかけたものや蕾を挿して開くのを待つのだが、開きかけたものはまだしも、蕾は固く結んで、いよいよ色が濃くなって咲かないうちに枯れてしまう。何とか、蕾を咲かそうと苦心するのが常だ。たまにそよの庭に一、二輪咲いているのを見る。
 昨年、十一月八日、横浜市いずみ野にある、千坪はあるというガーデンに出かけた。立冬を過ぎたばかりのこの日は、心地よい風が少しあって、空は晴れ渡っていた。ガーデンは、冬の初めとあって、咲き残る花、季節はずれなのにきれいに咲いている花。枯れたまま倒れた枝、茨の実などが入り混じっている。細くレンガを敷いた道以外は、何がどこにあるのか、野原よりももっと仕切りがつかない。その中に、ところどころ冬薔薇が咲いている。どれも、れっきとした名前があるのだろうが、それに構わずじっくりと見て歩くと、申し分なくきれいに花開いている。春に咲くアリッサムも元気いっぱいに十分に花を咲かせて、レタスなども瑞々しいところを見ると、土がいいのだろうと察しがつく。冬薔薇なのに瑞々しい。午後の日を浴びて一つの花にも日陰と日向がある。やはりこの寂しい陰りは冬薔薇なのだ。室内の喫茶室にも薔薇がグラスに挿してあったが、オールドローズなのか柔らかによく開いて、窓辺の小寒い夕方の陰りによく匂っていた。

★冬薔薇にいずみ野の空ひろびろと 正子
★冬そうび二輪の匂う板机     〃

バラ(薔薇)は、バラ科バラ属の種(しゅ)の総称。バラ属の植物は、灌木、低木、または木本性のつる植物で、葉や茎に棘があるものが多い。葉は1回奇数羽状複葉。花は5枚の花びらと多数の雄蘂を持つ(ただし、園芸種では大部分が八重咲きである)。北半球の温帯域に広く自生しているが、チベット周辺、中国の雲南省からミャンマーにかけてが主産地でここから中近東、ヨーロッパへ、また極東から北アメリカへと伝播した。南半球にはバラは自生していない。世界に約120種がある。「ばら」の名は和語で、「いばら」の転訛したもの。漢語「薔薇」の字をあてるのが通常だが、この語はまた音読みで「そうび」「しょうび」とも読む。漢語には「玫瑰」(まいかい)の異称もある。 欧米ではラテン語: rosa に由来する名で呼ぶ言語が多く、また同じ語が別義として「ピンク色」の意味をもつことが多い。6月の誕生花である。季語は夏で、「冬薔薇」「ふゆそうび」となると冬の季語になる。なお、一般に「ばら」と呼ぶときは、園芸品種としてのそれを指すことが多い。


◇生活する花たち「山茶花・ユリオプスデージー・綿の実」(横浜日吉本町)


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