俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月18日(月)

2013-03-18 19:50:15 | Weblog
★囀りの抜け来る空の半円球   正子
よく晴れているのでしょう。その青空を見上げておられる。そこから囀りが絶え間なく聞こえてくる。春本番の明るい日差しと
暖かさ、心浮き立つような感覚を覚えます。 (多田有花)

○今日の俳句
汲まれたる桶それぞれの薄氷/多田 有花
木桶に汲まれた水であろう。どの桶にも桶の木肌を透かして薄く氷が張っている。一つの桶でなく、「それぞれ」の桶があってリズミカルな面白さがある。(高橋正子)

○菫(すみれ)

[菫/横浜日吉本町]

★山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉
★馬の頬押のけつむや菫草 杉風
★一鍬や折敷にのせしすみれ草 鬼貫
★骨拾ふ人にしたしき菫かな 蕪村
★奥山や人住あればすみれぐさ 暁台
★すみれ蹈で今去馬の蹄かな 几董
★菫程な小さき人に生れたし/夏目漱石
★うすぐもり都のすみれ咲きにけり/室生犀星
★かたまつて薄き光の菫かな/渡辺水巴
★すみれ踏みしなやかに行く牛の足/秋元不死男
★あたらしき鹿のあしあと花すみれ/石田郷子
★カメラ構えて彼は菫を踏んでいる/池田澄子
★十七歳跨いで行けり野の菫/清水径子
★すみれ咲く小さきゆえの濃むらさき/高橋正子

最近、「すみれ色」のすみれを見なくなった。見なくなって久しい。ところが、3月の10日ごろだったか、5丁目の丘に上り、その帰り、丘が終わるところの側溝のコンクリートの隙間からすみれ色のすみれが咲いているのを見つけた。何気なく目を向けて見つけたのだが、何か勘が働いたように思う。すみれと言えば、濃い色のすみれしか知らなかったころ、家に一番近い畑にすみれがたくさん咲いて、父親が困っていた。畑にすみれが増えるとやっかいだということだ。根絶するのが難しいらしい。これは、オキザリスでも同じことを父親が言っていた。これらの花を畑に増やしてはいかんと。野に咲けば、可憐な花であるのに。

きのう、長男の元が昼過ぎ家に寄った。2月19日生まれた長男にこいのぼりを買うのだ張り切って浅草の人形店に見に行ったついでらしい。いいのがないという。五月飾りはプレゼントされるらしい。紙の鯉のぼりがあればいいのだが、全く今は見なくなった。風が吹けば、ごぼっごぼっと空で紙の音を立てるあの鯉のぼり。雨にあわないよう、雨粒が落ちるとすぐに棹から下ろす。夜は取り込んで畳に広げて畳む。ウロコも、目もデザイン的におもしろかった。畳む時、ウロコの柄を手でなぞり、切りがないなと子供ごころに思ったものだ。
急に来た息子には、春キャベツとアスパラガスがあったので、お肉と野菜少しを買って焼肉にした。新物の茹で筍が店に出ていたので、これは煮て食べさせた。焼肉のあとは、壬生菜のお漬物とたけのこと白いご飯。結構気に入ったようだ。33歳になったという。

 スミレ(菫)は、スミレ科スミレ属の植物の総称であるが、狭義には、Viola mandshurica という種の和名であるが、類似種や近縁種も多く、一般にはそれらを区別せずにスミレと総称していることが多い。
 種名としてのスミレ(Viola mandshurica)は、道ばたで春に花を咲かせる野草である。深い紫(菫色)の花を咲かせる。地下茎は太くて短く、多数の葉を根出状に出す。葉は根際から出て、少し長めの葉柄があって、少しやじり形っぽい先の丸い葉をつける。花は独特の形で、ラッパのような形の花を横向きかやや斜め下向きにつける。5枚の花びらは大きさが同じでなく、下側の1枚が大きいので、花の形は左右対称になる。ラッパの管に当たるのは大きい花弁の奥が隆起したもので距(きょ)という。花茎は根際から出て、やや立ち上がり、てっぺんで下を向いて花のラッパの管の中程に上側から着く。平地に普通で、山間部の道ばたから都会まで、都会ではコンクリートのひび割れ等からも顔を出す。山菜としても利用されている。葉は天ぷらにしたり、茹でておひたしや和え物になり、花の部分は酢の物や吸い物の椀ダネにする。ただし他のスミレ科植物、例えばパンジーやニオイスミレなど有毒なものがあるため注意が必要である。


◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)
コメント (1)
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