俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

7月18日(月)

2011-07-18 06:40:29 | Weblog
★しがみつくかなぶん捨てて衣を畳む  正子
日常のひとこまを詠まれた可笑しみがあり、口元がゆるみます。取り込んだ洗濯ものにかなぶんがとまっている、あの足の先はまさに「しがみつく」で、つまんでもなかなか離れません。それをエイヤッと捨てて何ごともなかったように畳むのですね。私は虫が嫌いですが、かなぶんは憎めず触れますので、楽しませていただきました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
夜店に掬う赤き金魚を子が持てり/後藤あゆみ
夜店で掬う金魚は、たいてい赤か黒だが、敢えて「赤き金魚」と表現したので、涼しい赤い色が目に浮かぶ。「子が持てり」にば楽しさや可愛らしさが読みとれる。(高橋正子)

○おしろいばな
おしろいばなは、白粉花と書く。秋の季語。熱帯アメリカ原産であるということだが、古くに渡来したせいか、夕涼みのころの日本的情緒のある花と思ってきた。それも昭和の白い割烹着の母を思わすような花と。

白粉花咲けり昭和の母の花/正子

今日の緑陰ネット句会が終わって、暑さも収まる5時過ぎに日吉本町六丁目にある西量寺へ行った。目的は、白粉花の写真を撮るため。西量寺は、天台宗のこじんまりしたお寺で、石垣の上にある。近づけば、民家の屋根より少し大きいかなというぐらいの屋根がすぐ目に付く。

寺の屋根西は西日の色に照り/正子

お寺の石垣の裾を埋めて白粉花が咲いてほのかな香りが漂う。白粉花といえば、理科でならった遺伝の
法則を思いだすのだが、優性遺伝、劣性遺伝とあって、どちらかが遺伝する。普通は、赤い花と白い花を交配すると、白か赤かになる。ところが、白粉花は、ピンクになるというようなこと。西量寺の白粉花も長年同じ場所に種がこぼれて生えるのだろう、白に赤い斑があるものがたくさん見られた。純粋に白、純粋に赤というのが少ない。石垣の裾は夕方はちょうど日陰になって、日中の猛暑はどこへ去ったのかと思うほど、涼しい風が吹いていた。ほのかな香りがするのも、白粉花らしい。白粉花はまだ花が咲いているときから黒い種ができて、子どもがそれを割って中の白い粉を出し、白粉にして遊ぶ。子どもにも好まれる花と言えるのだろう。

白粉花妻が好みて子も好む/宮津昭彦

子ども時代の戦後を思い出すが、妻も子も慎ましさがあった。貧しいときであったが、個々のことを言わなければ、暗い時代ではなかった。扇風機さえも無い家が多かったから、夕方には縁台を出して、夕涼みをした。西瓜を食べたり、花火をしたり、星を見たり。垣根の根元には、白粉花が咲いていた。白粉花は、ちゃんとした場所ではなく、垣根の下や、ごみなどを焼く畑の隅に咲いた。種がこぼれて年々そこに花を咲かせるようになるのが多いからだろう。

白粉花も朝顔も秋の花なのだと、この猛暑に思う。ずっと秋口まで咲いてくれる。朝咲く花と夕咲く花を夏の花にしておくには、慎ましすぎる。

○全国俳誌協会のホームページ
私が、全国俳誌協会のIT事業部長の役目を引き受けて、IT事業部のブログを立ち上げました。信之先生を初めに、小西宏・藤田洋子・多田有花・高橋秀之・安藤智久・後藤あゆみの各氏にスタッフとして、快く協力していただけることになりました。現在のところ、信之先生が、「全国俳誌協会」のウェブサイトの骨格をを作ってくださり、内容を充実していく途中にあります。

全国俳誌協会は、昭和39年、見学玄氏を初代会長に設立されました。設立メンバーの一人、池田草舎氏は、「流派・傾向を越えた懇話会的な俳句サロン」を目指したと書き残しています。「協会(association)」の意味に添ったものと言えます。設立総会には、130誌が展示されたとあります。現在全国で出版されている俳誌は800誌を超えていますが、俳誌協会には今32誌が加盟しています。

現在全国俳誌協会のウェブサイトは、次のような特徴をもっています。
①電子書籍化された雑誌、句集が18冊あります。内訳は、機関紙「俳句展望」第150号、第151号の2冊。俳誌では、「銀杏」(242号5月刊)、花冠8月号(通巻332号)、「東京広軌」(平成二十二年度下院作品集3月刊)句集では、高橋信之句集「旅衣」を始め13冊。これらが、ネット上で電子書籍として読めるわけです。

②次に「Twitterの公式」ツイートボタンをつけました。花冠では、ツイッター句会を行っていますが、東日本大震災のとき、また最近では、ローマ法皇がツイッターでお説教をしたなど、多方面で活用されているものです。

③「談話室」と「コラム」には、加盟各誌からのピックアップしたエッセイ、ミニエッセイなどがあります。

俳誌協会のウェブサイトの項目の表面に現れているだけを印刷しても、A4用紙28枚になります。それらの内容のリンクをクリックしてすると、開設三週間足らずで、すでに膨大な量となっています。

これらの特徴は、全国俳誌協会の設立趣旨に添ったもので、ITの活用で趣旨に合う効果が発揮できるものと思います。現代俳句協会、俳人協会、伝統俳句協会にない特徴になっています。加盟各誌の相互交流、会員相互の交流のために、協会のウェブサイトが効を発すると思います。精々ご活用ください。

http://www.zenkoku-haishi.info/

◇生活する花たち「白粉花」(横浜日吉本町)
コメント (2)
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