山歩き

どんな花が咲いてるでしょう、どんな山が見えるでしょう

秋田駒ケ岳(ミヤマキンバイの花見)

2023-06-10 21:54:27 | 旅行

6月8日に秋田駒ケ岳(あきたこまがたけ)に登った様子を、「ヤマケイ・アルペンガイド2東北の山(山と渓谷社)」の記述に沿いながら紹介します。【  】内は私の補足・感想などです。

秋田駒ケ岳は田沢湖の東にそびえ、最高峰の男女岳(おなめだけ 1637m)を中心に男岳(おだけ 1623m)女岳(めだけ 1512m)小岳(こだけ 1409m )横岳(よこだけ 1583m)などの総称である

この山域の特徴は、狭いエリアに峰々を集め、阿弥陀池(あみだいけ)や駒池(こまいけ)を配した箱庭的な火山地形が見られることだろう。この地形環境に対応して咲く高山植物の花々の種類は多く、訪れる登山者を魅了する。しかし、近年オーバーユースにより、高山植物の植生はダメージを拡大している。

【現在地から反時計回りに進みます】

バス停や休憩所がある駒ケ岳八合目小屋前から新道の片倉コースを進む。歩き始めてまもなく裸地化した硫黄採掘跡を左に見て、細い登山道を登る。

【八合目小屋の左奥に男女岳が見えます】

 

毎年6月1日の山開きの時期には一部に残雪のあるコースで、カッティングなどでルート工作はしているが、足元に注意したい。

男女岳の北側を回りこむ新道コースは、緩やかになって片倉岳展望台に着く。東側に裏岩手の山々や烏帽子岳(乳頭山)、前方には田沢湖も見えている。

【残雪は一週間も経てば消えるかと思います。烏帽子岳は見えていましたが、田沢湖は見えませんでした】

山の花を愛でながら進むと木道を歩くようになる。山の西側を巻いて男岳と男女岳の間に到達するとお花畑に突入する。

チングルマやヒナザクラ、ミヤマキンバイ、ニッコウキスゲなどのお花畑の真ん中にのびる木道を行くと阿弥陀池の西端にたどり着く。目の前にはぐるりと木道に囲まれた阿弥陀池が広がり、7月の高山植物の最盛期には多くの登山客でにぎわう場所である。

 

【左が男女岳で右が男岳】

【お花畑はヒナザクラとミヤマキンバイが咲き始めたばかりです】

【歩き始めて1時間20分ほど経過しましたので、ここまでに愛でてきた花を紹介します】

ショウジョウバカマ

【この先たくさん見かけましたが、これと同じような濃い色が多かったです】

コイワカガミ

【両側に8個の鋸歯なので、10数個のイワカガミではないと思います】

ミヤマスミレ

【葉は花後に展開するというスミレサイシンではないと思います】

エンレイソウ

【何か所かで見かけた中で一番きれいな花です】

タカネザクラ

【これも一番きれいでした】

オオバキスミレ

【茎葉が接近してつき3輪生状になるというミヤマキスミレかもしれません】

イワテハタザオ

【ヤマハタザオ属はフジ、ウメ、エゾノ、クモイなどを冠しそれぞれ分布がはっきりしているそうで、イワテハタザオは岩手山と秋田駒ケ岳だそうです】

サンカヨウ

【この先に沢山咲いているだろうと思いましたがここだけでした】

ミヤマキンバイ

【この先沢山咲いていましたので、ここからキンバイ・ロードが続きます】

コメバツガザクラ

【枯れはじめている中から何とか見つけました】

ミヤマダイコンソウ

【ミヤマキンバイに埋もれるように咲いていた一輪と、ミヤマキンバイを並べてみます】

  

キバナノコマノツメ

【標高が上がってきた証拠でオオバキスミレと入れ替わるかと思いきや、見つけたのは後にも先にもこれだけでした】

【では山歩きを再開します】

この阿弥陀池の分岐から男岳の稜線に出ると、昭和45年に噴火した女岳を目の当たりにする。

エゾツツジやミヤマダイコンソウなども咲く細い稜線の道を行くと、わずかな距離で男岳に着く

 

【エゾツツジもミヤマダイコンソウもまだ咲いておらず、ミヤマキンバイの独り勝ちです】

【と言いながらコメバツガザクラを発見】

【前だけじゃなく横も気になり、わずかな距離でも前へ進みません】

【シラネアオイも咲いていました】

【山頂までもう少しですが又立ち止まりそうです】

【8時44分にようやくたどり着いた山頂は、最高峰の男女岳より山頂らしさを感じます】

西に田沢湖を俯瞰し、振り返ると横岳への鋭い稜線を境に、右にカルデラ火山地形に溶け込んだ小岳や女岳の山容。左は雲上のオアシスである阿弥陀池と、その背後に男女岳、そして遠望に岩手山がそびえる絶好のカメラスポットである。

【風がなく水面が鏡のような田沢湖と、左下には女岳からの溶岩流が外輪山で止められた様子が見えます】

【通称ムーミン谷を見下ろします。中央が小岳で右が女岳です】

【左に男女岳が見えますが岩手山は雲の中です】

【ここでザックを下ろして35分ほど大休止。おやつに小さなアンパンとお握りをそれぞれ一個食べました。】

【雲が少し払われ北には森吉山(もりよしざん 1454m)が見えるようになりました。】

【下山を始めても花が気になります】

阿弥陀池に戻り、湖畔の木道を避難小屋へ進む。小屋前から浸食防止杭に守られた階段状の登山道を秋田駒ケ岳の最高峰・男女岳に登ろう。一等三角点の頂からは、鳥海山、早池峰山、岩手山など北東北の名峰が展望できる。

【女目岳とも書くようで、妾という意味があると何かで読んだ記憶があります】

【なかなかの急登ですが花や周囲の山に見とれているといつの間にか山頂です】

【残念ながら名峰三座は見えませんでしたが、近くは良く見えました】

左から女岳、男岳、田沢湖

森吉山

烏帽子岳(乳頭山)とその奥に裏岩手連峰

阿弥陀池避難小屋に戻ったら、しばらく休憩としよう。付近には初夏まで残雪もあり、湿生に咲く花々も見られる。

【爽やかな微風で快適な男女岳でおやつを食べて15分休みましたので、小屋のトイレを借用しただけです。雪が消えた個所の花も少なくすぐに移動しました】

ここで男岳山頂~阿弥陀池~男女岳~阿弥陀池までの花を整理しておきます。

ノウゴウイチゴ

【男岳に登るときは気づきませんでした】

ヒナザクラ

【早池峰山のヒメコザクラに似ています。こちらのほうが少し大きいそうですが、個別に見たのでは分かりません】

ショウジョウバカマ

【ここの花は少し薄い色でした。コイワカガミの葉が鏡のように輝いています】

チングルマ

【確認できたのは男女岳への往復だけでした】

横岳方面への灌木帯の小道を登ると、男岳ともつながる横岳稜線に出る。南にカルデラ地形を俯瞰し、大焼砂や小岳、女岳、荒々しい男岳の山容を目にすることができ、魅力度抜群の登山ルートである。

大焼砂と小岳

女岳

男岳

稜線を少し東へ進むと横岳に着く。ここから国見温泉へ下るコースが分かれ、カルデラ外輪地形にコマクサなどが群生する大焼砂もあり、時間が許せば立ち寄ってみたい。

 

【まだ11時40分なので時間はたっぷりありますが、タカネスミレもコマクサもまだ咲いていないはずなのでパスしました】

大焼砂方面

横岳から灌木帯の稜線を北東に下って登り返すと焼森だ。烏帽子岳(乳頭山)方面への縦走コースなどの展望もよいこんもりと盛り上がる火山砂礫の頂である。一帯には養生ロープが張られ、タカネスミレやコマクサ、イワブクロなども見られる。

【いずれの花も見られませんでしたが、左奥の岩手山が姿を現してきました】

山頂から少し下がると焼け森分岐となる。ここで湯森山などへの縦走コースと分かれ、八合目方面への植生保護ロープに沿って左に進む。

左手上部に阿弥陀池避難小屋や男女岳を望みながら、花咲く草地と灌木帯の斜面を赤倉沢源流簿の小沢に下る。

【急なので慎重に下ります】

【登山道が深く掘れている所は花と目線が合って写しやすいです】

シラネアオイ

残雪期や降雨時以外は空沢となることもあるが、ペンキ印や細引きのコースガイドに沿って沢を渡り、小さな尾根に登り返す。あとはシャクナゲなどの多い低木帯に続く登山道を下ると出発地点の駒ケ岳八合目小屋前に戻り着く。

 

【焼森から1.2km歩いて戻ったこの場所。登る時はここを左へ進みました。右に行けば八合目小屋です】

12時50分に無事下山しました。この間の休憩以外の歩行時間は5時間30分で377枚の撮影時間が含まれています。

最後に阿弥陀池~横岳~焼森~八合目で見た花です。

ミヤマスミレ

【ハート形の葉に粗い鋸歯が数個あることからの判断です】

シラネアオイ

【離れていましたがうまい具合に写ってくれました】

ミヤマキンバイ

【ここもキンバイ・ロードですが出番を待つミヤマダイコンソウの葉が目立っています】

コイワカガミ

ミツバオウレン

【まとまって咲いている場所もありましたが花が小さいので映えません】

ミネズオウ

【この山では初めて見たもので得した気分です】

ミヤマキンバイ

【タカネスミレとコマクサが咲く前の焼森で撮影】

タカネスミレ

【気の早い花を発見しここでも得した気分です】

オオバキスミレ

オオカメノキ

【高さが1mもないので見下ろすことが出来ます】

ツバメオモト

【黒いのは虫です】

コミヤマカタバミ

ウスバスミレ

【かと思います】

ムラサキヤシオ

ベニバナイチゴ

歩行距離7kmでコースタイム3時間40分、標高差332m、累積標高差+-510のこのコースは私には丁度良く、阿弥陀池から横岳、焼森経由ではなく来た道を下ればさらに優しい山行となります。

季節が進みタカネスミレ、コマクサを見たくなれば大焼砂までの往復、さらにヒナザクラ、チングルマの群生を見たくなれば通称ムーミン谷まで下って男岳に登り返すというふうに、様々なコースを選択できることもこの山の魅力だと思います。

コメント (2)