5月31日に早池峰山(はやちねさん 1917m)に登った様子を、登りについては「岩手の名峰徹底ガイド 早池峰山(岩手日報社)」、下りについては「ヤマケイ・アルペンガイド2東北の山(山と渓谷社)」の記述に沿いながら紹介します。【 】内は私の感想などです。「河原の坊」はガイドブックによっては「河原坊」とあり、「御金蔵」は現地の案内板には「お金蔵」とあります。
小田越(おだごえ)から御門口(ごもんぐち)
早池峰山の中でも、比較的傾斜が緩く歩きやすい小田越コース。河原の坊(かわらのぼう)登山口から登り、小田越を下るルートが人気だ。【緩いといっても2.0kmの車道歩きに続く標高差667m歩行距離2.7kmは辛いです】
【河原の坊登山口からのルートは崩落個所があり通行止めなので、小田越コースを往復しました】
河原の坊から45分ほど舗装道路を歩くと、登山口に着く。
【立ち止まったのはムラサキヤシオを写したこの時ぐらい】
【早池峰山の南に位置する薬師岳(やくしだけ 1645m)が見えてきたのでもう少し】
【7時12分に歩き始めて7時45分に着きましたので、所要33分は早すぎるくらいです】
【期間限定で運行されるシャトルバスを利用出来れば楽ですが大勢の登山者で賑わいます】
アオモリトドマツ(オオシラビソ)の林の中、木道を行く。森林帯が終わると展望が開け、キンロバイが咲く一合目の御門口。
【キンロバイはまだ咲いていませんでした。花の写真は後でまとめて紹介します】
ここからは、ミネカエデなどの低木が生える岩礫地帯へと変わる。
御門口から山頂
御門口に立ち山頂を見上げると、ハイマツの合間から累々たる蛇紋岩が顔を出す、圧倒的な光景が広がる。
【振り返れば薬師岳が間近に見えます】
三合目付近からは高山植物が咲き誇り、ハヤチネウスユキソウ、ナンブトウウチソウなどが、そこかしこに見られるようになる。
【咲いているのはヒメコザクラ、チシマアマナ、ミヤマキンバイなどでした】
ブロックにように積み重なった岩の道を登りながら、植生の見事さにシャッターを切る人の姿も少なくない。
【この岩のことでしょうか】
【私もその一人で、一度の山行で400枚以上写すことがあります。花が小さいため写真では良く分かりませんが、ここは花の密度が高く、ヒメコザクラ、チシマアマナ、ミヤマキンバイが咲いていました】
五合目の御金蔵(おかねぐら)は、祈願すれば富が授かるともいわれる場所。付近にはイワウメの群落が見られ、このあたりで一休みするのも良い。
【御金蔵には毎回祈願しておりますがまだ授かっていません。ここのイワウメは見事ですしチシマフウロも沢山見られますが今はまだです】
その後は竜ヶ馬場と呼ばれる、緩やかで展望の開けたハイマツ帯を進む。
ここから先も、ナンブイヌナズナやミヤマオダマキ、ナンブトラノオなどの花々が途切れなく見られる。
【ナンブイヌナズナが咲き始めていましたが他はまだです】
【途切れなくとは、春から秋まで様々な花が途切れなく、登山口から山頂まで途切れなく、両方の意味があると思います】
八合目、天狗の滑り岩と呼ばれる巨岩には鉄梯子が架けられており、この前後では傾斜も少し増す。小田越コースでは一番の難所である。
【込み合っていれば写真を撮っている場合ではありませんが先ず1段目】
【その上の二段目は二基並んでいます】
【前後に誰もいないのでゆっくりと写し、八合目で一息入れました。薬師岳が下に見えます】
岩場を登りきると、御田植場(おたうえば)と呼ばれる湿地帯に出る。
手前の分岐で右側へのルートを取ると、剣ヶ峰へと至る尾根道である。
【山頂はこちらです】
御田植場付近からは植生の様相も少し変わり、チングルマやコバイケイソウ、ヨツバシオガマなどが見られるようになる。湿地帯は植物保護のため木道になっている。
【雪解けを待つ花々が眠っていることと思います】
賽の河原と呼ばれる、小石が積み上げられたポイントを過ぎ、右手に門馬口・平津戸コースの合流点を見送る。付近に点在する花々の群落を楽しみつつ、すぐ先の岩場を登ると間もなく山頂に到着する。
【北から登る門馬口・平津戸コースは静かな山行が楽しめるそうですが、私には楽しみより苦しみが勝りそうです】
山頂
山頂には、早池峰神社の奥宮や山頂避難小屋がある。南側にはすぐ目の前に薬師岳(やくしだけ 1645m)が迫り、北側には姫神山(ひめかみさん 1124m)などが連なる北上高地の連峰を望む。
さらに西に目を向けると、岩手山(いわてさん 2038m) や天気が良ければ遠く鳥海山(ちょかいさん 2236m)まで望むことができる。
奥宮
山頂避難小屋
姫神山
【岩手山や鳥海山は見えませんでしたが、西を見れば北から和賀岳、焼石岳、須川岳(栗駒山)と続く奥羽山脈は見えました。下山中一合目からの写真です】
和賀岳
焼石岳
須川岳(栗駒山)
【山頂到着は10時57分で登山口からの所要時間は小休止を含めて3時間12分、これまでとほとんど変わりませんでしたが疲労感は一番だったように思いました。意外と広い山頂では12時丁度に下山を始めるまで1時間ほど休憩し、カップラーメンとお握りを食べコーヒーで寛ぎました】
下山
避難小屋の前から小さな岩場を下り、門馬方面へ下る道を左に分け、平坦な稜線を東進する。途中木道が敷設されている御田植場の湿原にはヨツバシオガマはハクサンボウフウなどが一面に咲いている。
【開花が待たれます】
さらに数分進んで右折小田越コースを下る。2009年に、そのまま尾根上を東へ進み、剣ヶ峰を経て川井方面へ下る道が整備されたので入り込まないように注意したい。
【一度だけ剣ヶ峰まで往復したことがありますが、これからは出来るだけ楽をしたいのでそれが最初で最後かと思います】
ほどなく長い鉄バシゴがあるので慎重に下ること。その後も正面に薬師岳を見ながら急な岩場の下りが続く。やがていったん緩い下りになる。五合目の御金蔵をすぎると再び急傾斜の下りになる。
【ほどなくと言っても疲れている体にはきついです】
【急な岩場は写していません 今日2回目の御金蔵です】
ハイマツ帯の中の巨岩を越えていく歩きにくい道になると、ほどなく一合目の御門口に着く。
【ホントに歩きにくいです ホントはほどなくではありません】
ここから展望のない樹林帯の道になり、やがて木道が現れると小田越は近い。県道の峠の小田越から舗装された道路を35分ほど歩くとバス停のある河原坊へ着く。
【15時22分に駐車場に到着しました。駐車場の下がキャンプ場です】
【山頂での大休止を除く小休止を含む歩行時間は6時間28分(コースタイムは5時間30分)でした。これまでの記録を見れば5時間40分から7時間48分までと様々で、花の撮影時間で大きく変わります。今回が一番疲れたように思うのは歳を取ったせいだと思います】
沢山のお花は後編で紹介します。