太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

時間の問題だろう

2019-03-12 08:37:28 | 社会観察

和牛の人気が高まり、和牛の受精卵や精子が中国に持ち出されようとして検疫に引っかかった。これを機にブランドとも言える和牛を守らなければ(世界に拡散しないように)という話が出ている。折角日本で長年月かけて培ったブランド牛である。もし、中国で大量に生育するようになれば日本の和牛肉輸出に脅威であり、交雑種も出てきて品質に問題が出る懸念もあるという。外国人環境客にも人気で、焼き肉店でオーストラリアからの客にインタビューしていた。おいしいと感動を込めて答えていたが、そこはオージービーフの次にねと答えるべきだったろう。ちょっと調べると研究用という正規ルートで米、豪には既に輸出されており何万頭もの和牛が育てられているという。それを感傷的にブランド力が失われるとセンセーショナルに報じるのは如何なものか。今回はあくまで書類も不備な持ち出しだろう。

ここには遺伝子という複雑な問題が絡んでくる。遺伝子は人間を含めた生物全体に存在し、いわばその生物を作る設計図なようなものである。遺伝子情報はDNAという高分子生体物質に収められているが、DNA分析は最近では犯罪捜査などにも用いられている。現場に残された遺留DNAから犯人を特定する。先日TVで興味深いものがあった。米国の女性科学者が迷宮入り事件を次々解決するというものだ。膨大なDNAデータベースと現場のDNAを照合し、似たものを抽出する。さらにその似たDNAの持ち主の周辺でDNAを採取して犯人を探し出すというものだ。

和牛の遺伝子情報は特許になるのかと調べてみたら結構難しいようだ。人の手が入った(加工)遺伝子配列なら特許、自然に存在するDNAやそれから抽出(切り出し)しただけの配列は特許にならないとか。世界中で裁判沙汰になっているようだから単純な結論にはならない。黒毛和牛の遺伝子と全く同じものが中国で生産されても特許になっていなければ処罰は難しいだろう。培ったブランドといってもそれを証明するのは、また権利化するのは相当困難と思う。

市場で流通する物は規制にしろ最終的には需要と供給の関係で決まる。和牛が美味しいなら(食べたことが多分ない)何れ世界で生産されるようになるだろう。ただ美味しいと感じるのは子供の頃から食べなれているものであり、歯を食いしばってジャーキーを食べている西部劇を見ているとアメリカ人には和牛は歯ごたえがないと思われるか、年寄だけが美味しいと言う可能性はある。

寿司や天ぷらの日本食だって海外で普及すればそれ目当ての観光客は減ると心配するのに似ている。海外で和牛が気に入られて普及すれば、こんなに美味しいなら本場の日本で味わいたい外人も増えるだろう。一味違うのもを見せるのがブランドである。因みに我が家では交雑種でも良いから安ければ食べたい。血統つきでなくとも結構いけるだろう。消費者にはうれしい話でも生産者には面白くないのだろう。サラブレッドは輸入しても和牛はダメというには相当理由が必要だ。先日も大粒のブランド苺が海外で真似されているとニュースになった。巧妙な手段で流出が避けられないなら日本はさらにそれの上を行くブランドを確立するしかない。物ばかりでなく、サービスや人も交雑の時代である。

太陽電池の製法でも痛い経験をしたことがある。結構有名な太陽電池効率UPの発明だが思わぬ所から世界に真似されてしまった。工程で使われる装置を装置メーカーが他社に売り込む時、あの会社ではこういう条件で使って成功していますとセールスしたようだ(相当後に分かったこと)。さらに問題は特許にしてしまったことだ。工程はあくまでノウハウにしておけば良かった。特許が公開されれば誰もが真似できる。しかも工程は立ち入り検査をしなければ最終製品では侵害していても分からない。有頂天で未熟な時代だった。それでも少しだけノウハウもあり10年くらいはTOPの座を守ったように思う。和牛も苺も当然育て方にノウハウはあるだろう。違法な持ち出しは別として遺伝子は何れ真似されるだろうがノウハウは結構長持ちすると思う。その間に完コピの後の上級ブランドを開発しなければ。守るだけでは。一味違う底力を見せて欲しいものである。



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