我が家の狭い庭に植木か雑木か分からない木がある。代表格が花梅と柿である。20年以上前からあるので根元は20㎝以上あろうか。毎年やたら葉が茂り庭に不規則な影を落とし、日当たりが悪くなると不評をかっていた。去年の秋の終わり、家内に半ば命令で太い枝までバッサリ切り落としてしまった。身ぐるみを剥がれた案山子のように、もう新しい事は何も起こらない、これで枯れてしまう、お前の言った通りにしたら枯れたではないかという文句まで用意してあった。
今年の正月、梅の幹の切り口近くに何輪かの小さな花が咲いた。あれ、梅はまだ生きていると思った。ところが柿の木には何の変化も無い。まあ朽ち果てたら細かく砕いてゴミ出しかと思っていたらこの数日暖かい日が続き、小さな葉っぱが芽を出した。古びたくるぶしのような切り口近くに不釣り合いな小さな鮮やかな若緑の葉が出て来たのだ。梅から4カ月近く遅れたが柿も生きている。用意してあった文句は使えない。話題にしようものなら「言った通りでしょ」と返されるのが関の山だ。なるべく無関心を装って夏の葉影を待とう。
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