地下から石

春も近くなって来たので、例年のように庭の土を掘り起こした（と言っても３０㎝くらいだが）。毎年、狭い庭のミニトマトの苗を植える。これが害虫もつかず、肥料も大して要らない手間いらずながら結構実をつける。色々野菜を試したが唯一何とか収穫できる野菜である。もう３０年近く前、建売のこの家に越してきたが、最初は芝も張ろうとか、灌木も育ててみようと頑張った時期がある。当時狭いながらも我が家の庭は真っ平らに整地されており、更地の見本のようであった。ところが地面を１０㎝くらい掘っただけでウズラの卵大の小石や、電線、ビニール紐の切れ端、セメントの小塊など出るは出るは、工事屋が小さな廃材は地下に埋めて表面だけ綺麗にお化粧したな、建売はこんなもんかと諦めていた。粗方ゴミを撤去して多少園芸用の土を入れてから毎年ミニトマトは収穫できている。梅や柿の木も結構大きく育った。

暫く弄っていないので固くなった土を思い切って３０㎝くらい掘ってみた。何とダチョウの卵くらいの大きな石が出て来た。あれほど丁寧に小石や端材の始末をしたのにまだあるのかと驚いた。報道で大阪の国有地払い下げが問題になっている。しまった、建設中の我が家も頻繁に見学に来て監視すべきだった。いや、少なくともここには結構煩いオッサンが入居すると分かっていれば、ディベロッパーがそのあたりを忖度して大幅に値引きしてくれたかも知れないなどと空想した。

国会答弁を聞いていると国有地払い下げにおける関与が取り立たされている総理も夫人も多分知らなかったのだろう（それで済むかどうかは知らない）と思う。そもそも危険を冒してまでも得られることなど無いように思うし、その必要性も感じられない。恐らく周囲が忖度したか、誰か虎の威を借る振る舞いをしたのか。どうしてもゴミ処理の費用が値引きの８億円に相当するとかは思えない。因みに我が家では時給１０００円×延べ処理時間64時間（土日16回×４時間/回）＝6万4000円の値引に相当する。もし忖度してくれていれば１０倍の64万円値引。これならちょとおいしい。

虎の威を借るとか誰かの考えや存在を忖度してというのは民間企業で日常茶飯事にある。特にカリスマ経営者の居る会社で育った私の周り、特に肩書が上の者ほど沢山居たように思う。ＴＯＰが本当にそんな事言う、思う？と不思議な説教は数多あった。中身、実力、能力のない連中ほど当たり前だがカリスマの偽代弁者になった。その後メッキが剥がれて脱落して行く者が殆どだったが、偶に官位（職位か）を極める者が居る。そこまで行くと芸術的であり、立派な能力である。、

カリスマにとって一番迷惑だったのは勝手に忖度だったろう。虎の威は見つけ次第こっぴどく叱られていたのは覚えている。しかし、忖度は表に中々出難い。では当事者に全く責任が無いかと言うとそうでもない。今回の件はどうみても不用意の感は免れない。