今年のF1日本GPは、日本人のファンにとってとても楽しいレースでした。
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小林健闘、7位入賞=フェテルが今季3勝目―F1日本GP(時事通信)
自動車のF1シリーズ第16戦、日本グランプリ最終日は10日、三重県の鈴鹿サーキット(1周5.807キロ)で53周の決勝が行われ、予選14番手の小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)が追い抜きを連発するなど健闘し、7位入賞を果たした。小林は残り15周のタイヤ交換後、12番手から追い上げ今季6度目の入賞(10位以内)を果たした。山本左近(HRTコスワース)は今季最高の16位で完走した。ポールポジションからスタートしたセバスチャン・フェテル(ドイツ、レッドブル・ルノー)が今季3勝、通算8勝目を挙げ、鈴鹿で2年連続の優勝。9日の公式予選は雨で順延となり、この日午前に予選、午後に決勝を行った。
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抜きどころの少ないオールドコースで、上位の有力チームの数人のドライバーが接触やトラブルでリタイヤした他に大きな順位変動も無いなか、日本の小林可夢偉選手が母国の声援の下で素晴らしい走りを披露してくれました。予選で失敗した小林選手は、今回のレースでは他のドライバーとは違うタイヤ戦略を採ります。他のドライバーは、前半グリップの良いソフトタイヤで速く走って差を広げ、残りの周回をハード側で走って順位をキープする戦略です。しかし小林選手は、鈴鹿は狭くて抜きどころが少ないため、グリップの少ないハードタイヤでスタートしても、抜かれるリスクが少ないと考えてこちらを選択します。中盤までは思ったよりソフトタイヤ勢の磨耗が少なく、各チームのピットインのタイミングが遅れたため、長く走って順位を上げる小林選手の戦略は失敗したかのように見えましたが、タイヤ交換以後はソフトタイヤのグリップの良さを武器に次々にオーバーテイクして最終順位は7位となりました。
何より素晴らしかったのは、各チームの有力ドライバーが「全く抜きどころがない」と諦めているこのコースで、何度もオーバーテイクを行ったことです。従来の鈴鹿のF1では、1コーナーや130R、シケインが抜き所とされてきましたが、近年は各チームの車の能力差が少なくなったため、楽しいけれど抜けないコースとなっているようです。小林選手も直線スピードが遅い自分の車の特性を考えると、この抜き所でのオーバーテイクが難しいということで、ヘアピンで抜くことを選択したようでした。かなりリスキーな追い抜きで危ない場面もありましたが、思い切りよく素晴らしいオーバーテイクを見せてくれました。80年代に星野や中嶋のF2レースを見ていた頃は、ヘアピンはオーバーテイクできるコーナーとして有名でしたから、今回の小林選手はそういったオールドファンをも楽しませてくれたと思います。
久しぶりに母国のファンを沸かせてくれた小林選手とザウバーチームは素晴らしかった。未だにメインスポンサーが付かない白い車のザウバーですが、この活躍を機に日本の有名企業に是非支援して欲しいものです。