今日は、アポロの月着陸から50周年です。(日本時間では21日ですが)
月着陸で有名な宇宙飛行士はアームストロングですが、世界初の宇宙飛行士と言えば、
ソ連のガガーリン。
この伝記では彼の生涯と、当時のソ連の宇宙開発の経緯が紹介されています。
ガガーリンもアメリカの宇宙飛行士達と同様に、前向きな性格、冷静さ、判断力、
忍耐力に優れており、また周りを引きこむような魅力のある容貌を持ち、
発言は場の雰囲気を察して機転が効くなど、当時の英雄に求められる資質がありました。
ライバルのチトフも優秀でしたが、ガガーリンのほうがオープンで、誰に対しても
分け隔てなく話せることが、当時の共産党幹部に支持され、初の宇宙飛行士という
栄誉を受けることになります。
人類で初めて宇宙を飛行として帰還、フルシチョフ政権時代は国民的英雄として
順調だった彼のキャリアも、ブレジネフ政権時代になって厳しい状況に追い込まれます。
不遇の時代を過ごし、再度、新しい有人宇宙船ソユーズへの搭乗を目指していましたが、
これは多くの問題を抱えた欠陥宇宙船で、彼の代わりに犠牲になったのは友人の
コマロフでした。ガガーリンは無人飛行でも失敗したこの宇宙船の飛行停止に向けて
幹部へ談判したが聞き入れられなかったようです。
これ以外にも、国家のメンツのために犠牲になった関係者の話も多く、このあたりは
読んでいて悲しい気分になりました。ガガーリンも結局2度目の飛行へ向けての訓練中に
墜死しますが、事故の原因は明らかにされず筆者が謎解きを行っています。
もしこれがソ連という国でなければ、リンドバーグやアームストロングのような
航空宇宙の世界での英雄として、様々なメディアや本で取り上げられ、
若くして墜死することも無かったかもしれない。多くの関係者の証言による構成で、
この本は謎が多い初期のソ連宇宙開発史としても読むことができます。
冷酷な米ソの宇宙開発競争の時代に比べると、近年の日本の宇宙開発は何となく
ホノボノとした暖かさを感じます。逆になかなか有人飛行に踏み切れないのは、
米ソ(中国も)のような、国家的な威信という背景が無いせいかもしれません。
夏競馬のシーズンは、あまり面白い話題も無いので、どうもモチベーションが
上がりません。今年は天気も悪いので、家に籠って「読書の夏」になっています。。。