史上最高額で取引された「1セント・マゼンタ」という世界に一枚しかない切手の物語。
発行は1856年の英領ギアナ。ここで起きた暴動のため、地元の新聞社が
急遽発行した切手が、コレクターの手に渡るうちに徐々に価値を高めていく。
切手コレクターの世界と彼らの情熱を紹介する。
小学生の頃、切手収集をしていた時期がある。友人達に誘われて始めたが、
切手の価値がよく判らず、お金ばかり掛かる趣味で早々に諦めた。
切手の価値は、業者の買取価格で決められており(そういう切手カタログが
あったように記憶している)、友人よりも価値の高い切手を入手するのが
目的になってしまう。良い切手を集めるためにはお金が必要で、結局、
資産家の子供だけが楽しめる趣味になっていたようだ。
この本を読むと、世界の切手コレクターがいかに凄いかがよく判る。
世界で唯一のものを所持したい。そのためにはいくらお金を積んでも良い
という人達が沢山いる。「1セント・マゼンタ」も見た目には冴えない切手で、
もしその価値を知らない人が見たら「何これ?」という代物だ。
でもこの1枚の切手が辿った経歴や一流コレクターが所有した事などで、
その価値を高めることになった。
切手に限らず、コレクションというものは希少価値がものを言う。
市販の日用品でも、有名人が使ったというだけで価値があがったりする。
あまり馴染みのない切手コレクターの世界が垣間見えて、なかなか面白かった。
切手にはあまり興味が無かったが、たまたま手に取ったこの本で、
コレクションの世界に少し興味が出てきた。
老後の楽しみの一つとして、やってみても良いかなと思う。