キマグレ競馬・備忘録

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本「金星を追いかけて」

2012年10月01日 | Book

金星の太陽面通過は最近も話題になったが、18世紀の天文学者にとっても太陽系の大きさを決定する重要なイベントだったようだ。金星によるこの出来事を観測しようと、世界各国の天文観測家が自国の名誉(ロシアは科学レベルの高さ)を賭けて金星の太陽面通過の測定を試みている。様々な苦難のうえ、測定した値は現在の測定値と寸分違わない精度のものだった。
フランスの天文学者の呼びかけで、多くの科学者が賛同して遠い異国の地へ遠征したが、このような国際協力は、近代に始まったことでは無かったようだ。教科書では、歴史を時系列で捉えることが多く、国という単位で考えがちですが、この本では金星のイベントを通じて、科学者の行動を面の広がりで捉えている。2回の金星イベントで運よく観測できた人もいれば、遠くまで遠征しながら雲に邪魔されて観測できなかった不運な人も居た。また観測できても、旅の途中で病に斃れた科学者も多かったようだ。科学に賭ける想いというのはまさに命がけの仕事だった。
金星の太陽面通過の話題は、素人レベルではそれを観察できるかどうかという興味しか無いけれど、科学者にとっては宇宙の大きさを測る特別な事象であることを知った。次回は2017年と言われているので、自分ももう少し勉強して、この天文現象をまた違った視点で眺めてみたいと思った。


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