さて、梅雨と言えば「紫陽花」「てるてる坊主」などと共にカタツムリを思い出される方も多いのではないでしょうか?
以前、このカタツムリにまつわる良いお話しを伺いました。3年程前の立志式に講師として来て下さった元城南中校長の原田洵先生がしてくださったお話しです。
「 (前略)・・この春一年生諸君は二年生になり長崎へと修学旅行に出かけます。 その長崎は戦争で原爆の被害に遭いました。そしてそのつらさや苦しさを忘れないようにと、平和祈念像を建立することになりました。その建設にあたったのが有名な彫刻家、北村西望さんという人です。ある夜、北村さんが祈念像の骨組みをつくっていると足元にカタツムリを見つけました。ところが次の朝見ると、十メートル以上もある像のてっぺんにあがっているのでした。北村さんはそれを見てたいそう感激し、こんな俳句を作りました。
「たゆまざる 歩み恐ろし かたつむり」
「たゆまざる」というのは「怠けない」とか「油断しない」という意味です。また、「恐ろし」というのは「怖い」というではなく「すごいなあ」という驚きを表しています。そのカタツムリに刺激を受けた北村さんが、何としても立派な平和祈念像にしなくては、という決意を俳句にしたものだそうです。カタツムリの歩みは遅々としていて、見かける時は、ほとんど動いているようには見えないほどです。そのように一歩一歩の歩みは小さくて遅くても、倦まず弛まず、毎日コツコツと努力を積み重ねることによって、ほんとうに大きな夢が実現できるのだという意味でしょう。・・・(後略) 」
北村さんは「自分は天才ではないのだから、人が五年でやることを、自分は一〇年かけてでも、やらねばならないのだ。」とおっしゃったそうです。彼は東京美術学校(現在の芸大)を首席で卒業し文化勲章まで受章したほどの彫刻家です。また現在大リーグ野球で活躍中の松井秀喜選手は、「僕は不器用だから、人一倍練習してやっと人に追いつける。」と言っているそうです。どちらも努力することの大切さを本当に実感した人の心からの言葉だと思います。
勉強でもスポーツでも少し努力したからといってすぐに成果が出るものではありません。しかしその一日一日の積み重ねが大事です。どうかみなさんも「かたつむり」のように、コツコツと努力を積み重ねることの大切さを忘れないでいてほしい。そして目的を達成した時の感動を、ぜひ味わって欲しい。と、いうお話しでした。
期末テストも1日目が終了しました。もしかしたら中にはこの週末に勉強したことがそのまま結果につながらなかった人もいるかも知れません。しかし、まだまだここがゴールでもありません。あせらずくさらず、一歩一歩着実に力を積み上げていきましょう。