横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

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まずはヘッジファンドの設立から始めるべきだったか?

2009年11月03日 23時45分58秒 | OSGeo/FOSS4G
 今回のFOSS4G Tokyoのパネルディスカッションで、「ヘッジファンド」という言葉が結構盛り上がった。ていうか、私が「今の会社を始める前に、まずヘッジファンドをやらなければならなかったと思う」と話したことがきっかけ。

 なぜ、いきなりここでヘッジファンドが出てきたかというと、伏線があり、2日目のChris Holmesの基調講演の際に、彼の会社の設立の経緯が説明された。OpenGeoは、非営利組織のThe Open Planning Projectが母体で、それはヘッジファンドのオーナーが「慈善事業」として行っているのだ。ChrisはGeoServerの開発プロジェクトを2001年から手がけてきているのだが、2007年になってようやく彼のチーム(合計3名)の給料が払えるようになるまでは、ずっとこの非営利組織が補填していたことになる。そして、ビジネスとしての芽が見えてきたことを、このファンドのオーナーは逃さない。直ちに、「人を雇え」と成長軌道に乗せることを指示したのだ。非営利組織が株主のFOSS4Gベンチャーの誕生である。そして、北米と欧州からJava系の選りすぐりのFOSS4G開発者をスカウトして、ついにはPostGISのPaul Ramseyまで雇って、わずか2年で有数の影響力を誇るFOSS4G企業になった。

 この経緯を聞いて、私は「う~ん、さすが資本主義の胴元、アメリカだけある」とうなった。オープンソース企業も、アメリカ流のやり方で、短期間に急成長させるつもりだ。

 私の会社もChris達が始めた頃の2002年に設立されている。以来、会社の経営を維持するために、FOSS4Gとは直接関係ない仕事も当初は沢山やらざるを得なかったし、受託開発による売上がどうしても多くなり、それが故に計画的なコントリビューションが実現しないことが大きな悩みだった。ピュアにオープンソースコミュニティへの関わりを求める社員にとっては、食べるための現実がストレスになった。

 いろいろな失敗を繰り返す中で多くのことを学んだのだが、それにしても、先立つもの=「安定的な資金」がもう少しでもあったのなら、もっとFOSS4Gコミュニティに還元できていたであろうと思うと、Chrisの会社がうらやましい。日本には非営利領域*に資金を提供するようなエンジェルが見あたらないではないか。
 (*私の会社は営利企業だが非営利領域っぽい企業orz..)

 ならば、今から投資ファンドを始めようかな、と。「Dangerous Rabbit投資事業組合」、一口50万円で、皆様から資金と集める。社会発展に寄与する企業を主体に投資し、安定的な収益を狙う・・・

 冗談はさておき、この資本主義の世界、どんな夢でも、それを実現させるには人と物を動かすお金が最低限必要だ。同じお金ならば、社会発展の方向に使うべきだし、FOSS4Gの普及は、まさにその方向である。それにしても、日本でこの手の事業体を営むということは、アメリカに比べてかくも回り道をさせられることか。嗚呼。

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