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横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

iOS6地図は元データや文化の差異ではなく、ずさんなエンジニアリングが原因

2012年09月23日 22時37分24秒 | 地理情報関連
 iOS6の地図のお粗末さが大変大きな話題となっている。話題にしているのは地図関連の人たちだけではなく、実に広範な人たちである。それほど、スマートフォンにおいては、地図が「欠かせないもの」なのであることを改めて感じる。そして、日本のスマートフォンのおよそ3台に1台がiPhoneであることを考えると、地図をアプリに活用している多くのサービス事業者にも多大な影響が出そうだ。

 私も先週のサンフランシスコ出張中にiPadをiOS6へとアップグレードして、その地図を確かめてみた。なるほど、これは品質が良いとか良くないとか言うレベルでは無くて、欠陥商品のレベルである。この状態でiOS6の標準地図として提供するのは、そもそも誤った企業方針である。

 ちまたには、データソースがゼンリンではなくてインクリメントPであるからだとか、海外の地図やOpenStreetMapを採用しているからだとか、知ったかぶりのコメントや記事を目にするが、少なくとも今回の問題はデータ提供会社の責任では全然無いレベルで発生している。私の会社では、ゼンリン、インクリメントP双方のデータを業務上扱っており、その品質は知り尽くしている。少なくとも一般利用者の視点からは、その品質差をとうとうと語れるような差異はない。

 また、米国と日本との地図の文化の違いだ、という指摘もある。これはあるレベルでは正しいと思うが、少なくとも今回の問題は、文化の違いが原因で発生しているレベルでは無く、ひどくずさんなエンジニアリングによって発生している。ここまでレベルの低い作業を見るに、およそプロの手がかかっているとは思われない。

 どういうことかというと、まず、Appleは、インクリメントPから提供された地図データの仕様を正しく理解できていない。都市部でのニーズが高い街区ベースの地図(1/2,500系)の存在がするっと抜け落ちている。そればかりか、測地系の間違いか何かはわからないが、地物(POI)の位置がずれているし、カテゴリの当てはめがデタラメである。

 次に、チェックが全くなされていない。地図作成に素人であっても、Googleマップとの比較は簡単にできる。もし、日本の主要都市を数カ所ずつサンプリングして比較を、ただの一度でもしていたのであれば、iOS6の地図が、とんでもない低レベルであることは「一目瞭然」である。つまり、そうした基本的な作業を怠っている。あり得ないエンジニアリングプロセスだ。

 ともあれ、お粗末さも極まれり・・というところだ。Appleも平気でこのような失態を演じるものなのだ・・
私は日本の「デジタル地図」をずっと見てきてかれこれ20年になるが、ゼンリン、インクリメントP、アルプス(今のヤフー)などの地図会社各社が切磋琢磨しながら上げてきた品質をリセットするような、とんでもない代物を出してきた。20年に1度の「記念碑的」事件とも言える。

 さて、この先どうなるのだろう?もし、Appleが地図の品質のどこに問題があるのかを認識できていて、地図データ処理のプロの手によって作業が行われるのであれば、品質を改善するのには2~3ヶ月でやってやれないことは無さそうだ。ただ、そんなにスムーズに行くとも思えない。さらに北米以外の全世界的に地図の問題がありそうなので、そこも考えると日本の地図の改善には半年から1年は少なくともかかるのではないだろうか。気長に待とう。

FOSS4G meet/eat up Tokyoは楽しく終了しました

2012年09月10日 22時45分08秒 | OSGeo/FOSS4G
 先週のState of the Map 2012は、私は一参加者として大変楽しませていただいたが、今日は主催者側としてFOSS4G meet/eat up Tokyoという、ミニイベントを東大駒場第二キャンパスで開催した。

 皆さん、いらっしゃい!

 もともと、今週からは北京でFOSS4G 2012が開催されるはずだった。私を含め、OSGeo財団日本支部の多くのメンバーは、今頃は北京に詰めていたはずだった。そして、State of the Mapに参加する海外からの参加者の少なからずの数が、東京に引き続いて北京に足を延ばす、という利便性も考えての上でのスケジューリングであった。

 しかし、北京での開催が断念されたことで、その「空いた穴」をどうするのか、放置はできない、では、急遽OSGeo財団日本支部でミニイベントを開こう、という話になった。それが今日のFOSS4G meet/eat up Tokyoである。規模は小さくても良いから、OSGeo財団とOSMコミュニティの交流イベントが必要なのだ。

 多くの海外参加者が、週をまたいで今週も都内に滞在するというのは難しい。ひょっとしたら、2~3人しか来てくれないかもしれない、という懸念も正直あったが、海外からは6名、国内から15名、合計21名が参加するという期待通りの規模となった。

 ランチパーティに始まり、参加者の自己紹介、続いて5分間のライトニングトークを行った。海外はもちろん、日本のメンバーもみな堂々たる話しぶり。単に英語が上手とか言うのではなくて、みな自分の確固たるテーマを持っているのだ。時間無制限で行ったら、終了予定時刻の午後4時を大幅にオーバーしてしまうと感じた。そうしたら、案の定(笑)オーバーして、たっぷり5時まで伸びた。

 話し出すとみな止まらない・・

 日本のOSGeo/FOSS4Gコミュニティは、年月を経て、幅も奥行きも広がって充実してきたことを実感した。そして、OSMコミュニティとの深い関係を持ちながら、さらに歩みを進めたいと思う。

 ちなみに、今年のFOSS4G Tokyoは11月3~5日、Osakaは11月7~8日の開催が決まった(詳細は後日)。東京は昨年と同じ会場(東大駒場&柏の葉キャンパス)、大阪は今年は大阪市大梅田キャンパスに場所を移して行われる。OSGeo/FOSS4Gに関心のある人はもちろん、OSMに関心のある人たちにもぜひ参加していただければと思っている。


9月10日「FOSS4G meet/eat up inTokyo」開催のご案内

2012年09月04日 18時20分07秒 | OSGeo/FOSS4G
オープンストリートマップファウンデーション(OSMF)が主催するState of the Map 2012カンファレンス(9月6~8日;東京大学駒場リサーチキャンパス)の開催に合わせて、OSGeo財団日本支部は、「FOSS4G meet/eat up inTokyo」と銘打ったミニイベントを開催することにいたしました。皆様のご参加をお待ちしております。

【開催趣旨】
State of the Mapに来場する海外からの参加者と、この機会に日本のOSGeoコミュニティとの交流を行うことが目的です。
OSMとOSGeoとはとても友好的なコミュニティですし、メンバーも重なっていますので、共通の話題もたくさんあるでしょう。
このミニイベントは、昼食を取りながら皆が打ち解け、堅苦しくない雰囲気で交流しようというものです。

【開催概要】
■日時
2012年9月10日(月曜)
午後1時から4時まで

■内容
1)ウェルカムランチ
2)自己紹介
3)発表(自分の関心事項・研究内容の紹介や提案)
4)自由討論

■場所
東京大学駒場リサーチキャンパス An棟
http://www.openstreetmap.org/?mlat=35.661004&mlon=139.677649&zoom=18
#State of the Map 2012が開催される建物と同じです(教室は別になります)

■参加費用・申込
・参加費用 1,000円(State of the Map 2012の登録参加者、このミニイベントの発表者、OSGeo財団日本支部の会員は無料です!)
こちらのURLから参加申込をお願いします。
http://atnd.org/event/foss4gmeetup

■主催
OSGeo財団日本支部


【発表募集のお知らせ】
また、3)の発表で話題提供をしてくれる方を募集しています。発表の時間は10分程度を予定しています。希望者は、japan.osgeo at gmail.com までご連絡下さい。