横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

りんごの出家信者から娑婆に戻ります

2019年11月20日 14時47分57秒 | 地理情報関連
りんご教の出家信者となって間もなく3年が経つが、この程娑婆に戻って在家信者となった。
これからもりんご教の信者であることには変わりないが、自分の時間を何に使うかが変わることになる。

地理情報の世界は、GoogleやAppleなどの巨大IT企業によるプラットフォームの1つとして存在するものから、専門領域を対象にしたものまで、カラフルなロングテールだ。

りんご地図での仕事は、プラットフォーマーの内実を肌で知ることができたという点で、とても興味深かった。優れた同僚達とのコミュニケーションも刺激になった。

一方、残念なことは、技術的な知見をあまり得られなかったこと。最初から期待していなかったけど。。。それも仕方がないと思う。地理情報の世界はオープンなコミュニティ(=FOSS4GとOSM)が圧倒的に進んでいて、例を挙げれば、私が出家していた3年程でMapbox Vector Tileがあれよあれよという間に席巻してしまったし。

地理情報の世界に生きるものとしては、確実に最新の動向を肌でキャッチアップしておきたい。
さらに、私には、ロングテールの領域に軸足を置くことの方が、やっぱり楽しいと感じる。
退屈な日々を送るのはごめんだ。結論は明らかだった。

さてこれからどうするか?
当面は2つやりたいと思っている。

まずは、地図のスタイリングをする「カートグラファー (Cartographer) 」。
地図のスタイリングが優れていないと、元データのクオリティがどれだけ優秀でも凡庸な製品となってしまう。

Mapbox Studioを使えば、誰でも好きなスタイリングの地図を作成できるようになった。ズームレベルの変化に応じたきめ細かなスタイル設定ができる(スタイリングにある程度の習熟が必要だけど)。
ここ2ヶ月ほど私もいじくったのだが、久々に寝食忘れる刺激的な体験であった。そして、子どもの頃に暇さえあれば空想の都市の地図を紙に描いていた思い出に重なった。

次は、FOSS4Gコミュニティをビジネス面から支えていくサポーター
オークニーでの起業と事業化の体験、OSGeo日本支部でのコミュニティ構築の体験、それらに関連する知見やノウハウを、将来のFOSS4Gコミュニティを担う事業体に提供したい。
具体的には、自分自身の時間(アドバイス)やお金(出資)の提供になると思うが、追々進めていきたい。

あ、もう1つあった。
ポケモンGoを心おきなく楽しむ。これ大事。

実務者に必携「業務で使うQGIS Ver.3 完全使いこなしガイド」

2019年11月08日 11時28分16秒 | OSGeo/FOSS4G
QGISはオープンソースのデスクトップGISソフトウェアで、誰でも無償で利用できる。機能面での拡張は怒濤のようなスピードで、最近ではQGISでやれなくなっていることを探すことが難しいくらいだ。また、日本のコミュニティの献身的なコントリビューションによって、メニューの翻訳が継続的になされているところも素晴らしい。

Versionが2から3になったことで、メニュー体系も変わっている。さらに機能追加が多いので、「あ、この機能はどのメニューにあったっけ?」「この処理はどうすれば効率的にできるのかな?」「ネットの地図を背景に表示する際にはどうすれば良かったっけ?」など、かなり使いこなしている私自身でもいろいろ疑問が湧く。

そうした際に網羅的に機能解説をしてくれている素晴らしい書籍が登場した。
「業務で使うQGIS Ver.3 完全使いこなしガイド」だ。

著者の喜多さんは北海道庁に勤務されている林業分野の専門家。日常的にQGISを使用されていて、しかも多面的に活用されていると伺っている。
対する私は、仕事柄、地図データの構成や品質の確認や、表現方法の考案など、比較的絞られた分野でQGISを活用している。時々、日々の使い方とは異なることをしたいと思うことがあるが、それがどこにあって、どう操作すればよいのかを知らないことも正直多い。

私の場合は、これまではネットでサーチして操作方法を見つけてきたが、QGISの利用方法を体系的に理解するにはとても及ばない状態だ。
初心者向けに解説しているサイト、例えば「GIS実習オープン教材」にある「QGISビギナーズマニュアル」は、私のような実務経験のある人間にとっても、その理解をする際には大変役に立つ。

それでも、もっと突っ込んだ解説があればな、と思っていたところ、この本の登場である。
 厚みに(重さにも)驚く、圧巻の解説書

まず手にして「かなり重い」。
開いてみて「全ページカラーでとてもわかりやすい」。
読んでみて「かゆいところに手が届く」。

私の専門分野でもあるマップのスタイリングについても、ベクタとラスタそれぞれ1章ずつ割いて詳細に解説がなされていて、私が使ったことが無い機能も書いてあったり(汗)、とても勉強になる。

 マップのスタイリングについてもベクタとラスタそれぞれ1章ずつ割いて解説

価格が6600円(税込)と購入にはちょいとばかりの決断力が求められるが、実務者に必須という意味では、必ず報われると思う。
日本語でオールカラーでQGISの完全解説本があるなんて、なんて幸せな時代だろう。

本当にお勧めする一冊だ。