横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

FOSS4G Osakaも盛大に終了

2013年11月09日 21時18分57秒 | OSGeo/FOSS4G
 先週木曜日、金曜日はFOSS4G 2013 Osakaが開催された。昨年同様に木曜日(11月6日)は夕方の時間を使ってハンズオンセッション、翌金曜日(7日)はカンファレンスである。

 私は、大阪で開催されるFOSS4Gには、東京都は違った独特な良さを感じていて、毎年参加するのが楽しみである。私は「主催責任者」ではあるが、実際の大阪の企画運営は関西在住のメンバーで行われていて、それがとても良い味を出していると思う。

 今年は、大阪で7回目である。初回は2007年。関西オープンフォーラム(KOF)の会場の一室を借りて「OSGeo.JPカンファレンス」という名称で開催された(FOSS4Gという名前をつけたのは翌2008年から)。その時来日したゲストはTyler Mitchell(カナダ)、Markus Neteler(イタリア)、Schuyler Erle(アメリカ)、Lorenzo Becchi(スペイン)、Geoff Zeiss(カナダ)の5名。今となっては懐かしいメンバーもいるが、このように当初から国際色が豊かなカンファレンスだった。しかも、大阪がメインカンファレンスで、東京は小規模なミーティングだった。

 大阪でのFOSS4Gカンファレンスは、大阪市立大学のラガワン先生によるところが大きい。日本語で初めてGRASS GISの活用講座を公開したのも、FOSS4Gという言葉を創ったのも、日本でカンファレンスを開こうと提案して下さったのも、KOFの一部として会場を紹介して下さったのも、ラガワン先生である。私が、今回の大阪での開場挨拶で述べたように、大阪は「聖地」なのだ。

 あれから7年、コミュニティの規模こそは首都圏が大きいものの、大阪はここでしか見られない凝縮度と多様性に溢れた素敵なカンファレンスとなっている。特に多様性は、FOSS4Gに無くてはならないものだと思っているので、とても気に入っている。

以下、FOSS4G 2013 Osakaの風景から。

 ハンズオンセッションは大阪市立大学梅田キャンパスで開催(写真はJefによるMapServer)

 来日4回目となるJeffは大阪滞在も長い。「ビールお代わり」という日本語も上手(^^;)

 カンファレンス会場はグランフロント大阪北館、素晴らしい会場でした。

 Jeff McKennaによる基調講演。
 ここで彼は「OSGeoの支部の中で、日本は最も活動が活発であると」説明。嬉しいです!

 Dr. Yannによる基調講演。
 東京ではプロジェクタの関係で実現しなかったが、大阪ではRaspberry Piをプロジェクタにつないでプレゼンテーションを実演。

 2011年以来交流が継続されているOSGeo韓国支部から、今年はPark Heeguさんが来日講演。
 韓国でのFOSS4Gの利用動向やOSSへの政府の政策を説明。日本の状況よりもやや進捗が遅い感じもするが、顕著な違いはないように思われる。なお、韓国支部では、2015年のFOSS4Gのグローバルカンファレンスへの立候補を準備中。日本支部はこれを支援する方向。

 会場の様子
 グランフロント大阪にある、「大阪イノベーションハブ」をお借りした。昨年よりもかなり広くてゆとりがある。

 岡山大学の山川先生による発表
 専門的で相当高度な内容なのだが、モラモラとか地底人がなぜかスライドに出てくる!

 懇親会でのライトニングトーク(これは伝説の嘉山さん)
 カンファレンス本体の発表よりもライトニングトークに血道を上げる人が東京も大阪も多くて最近困ったものだが(苦笑)、ライトニングトークの巨匠である嘉山さんは100枚以上のスライドをきっちり5分に収めた。芸をきわめるとここまで行けるのです。

 大阪の運営責任者の林さん。地底人(Cave tribe)の生みの親。
 FOSS4G Osakaの独特のカラーは林さんの卓越した才能によるところ大。大阪専用Tシャツを着ています。今年の一言は「まだ本気出してないだけ」。さすがにピンク色のTシャツで梅田を歩くと、おじさんには気恥ずかしいのだが(笑)。
左隣は我らが隊長、浪速のインド人ことラガワン先生。いつもお世話になりますm(_ _)m

FOSS4G 2013 Tokyoが開催される

2013年11月03日 11時11分51秒 | OSGeo/FOSS4G
FOSS4G 2013 Tokyoが昨日終わった。

「参加していただいた方、運営に携わっていただいた方、皆さん、本当にありがとうございました!」

 今回も、ハンズオンセッションを東大柏の葉キャンパスで行い、その後2日間は東大の駒場リサーチキャンパスのコンベンションホールでカンファレンスを実施するパターンとなった。

 FOSS4Gというタイトルをつけてカンファレンスを行ったのが2008年。それからもう6回目だ。この間、FOSS4Gまわりの世界は激しく発展して、いまやジオ系の業務やサービスにFOSS4Gツールを全く利用しない比率が大変少なくなっているのでは無いだろうか。一例を挙げれば、QGISだ。このタイミングで、QGISの入門書が古今書院から発売されるなど、今やGIS界の話題のトップだ。インストールベースでは、デスクトップGISの世界に長らく君臨していたESRI社の製品を超えたのは間違いない。先日も、とある大手のデータ会社でそのプロダクトの紹介をQGISを使用して行われたのには、一種の感動を覚えた。そして、Webブラウザでの地図操作にはOpenLayersあるいはLeafletが採用されているのが当たり前になっている。

 こうした中で、我らOSGeo財団は、FOSS4Gツール群の発展と普及をコミュニティとして支援してきている。日本支部は、日本のコミュニティとして、日本のユーザーの発展を願って日々活動をしている。

 その中で、FOSS4Gカンファレンスは、普段はネットの世界でしか結びつかないユーザーの方々をオフラインで結びつける、とても貴重な機会である。何も、先進的なユーザーで無くても良いし、ふらりと訪れても楽しく過ごせるようなコミュニティの場として提供している。

 今年は、発表セッションの充実を心がけた。FOSS4Gツールの利用拡大につれて、事例が飛躍的に拡大している。そのため、発表トラックを同時に3つ進行させるやり方にした。この利点は、数多くの発表が可能になるのだが、一方、「裏番組」を聞きたくても聞けない・・という問題もある。しかし、一般的なカンファレンスが複数のトラックを同時に進行させており、発表数の充実を優先させた。その中で私も、FOSS4Gツールに出逢ってから10年が経過したことを鑑み、簡単な発表をさせていただいた。

 海外ゲストも日本のFOSS4Gの目玉の1つであるが、今年は昨年12月からOSGeo本家のプレジデントに就任したJeff McKennaが4回目の来日を果たし、OSGeo本家のCharter memberで環境問題の研究者であるDr. Yann Chemin(スリランカ在住のフランス人)を初めて招いた。

 さらに、初めての試みであるBoF (Birds of Feather;同好の士による集い) を開催した。テーマをデスクトップGIS、Web&クラウドGIS、ジオ系DBの3つに分けて、それぞれ1時間あまりにわたって、熱い議論が繰り広げられた。

 主催した側としての感想であるが、参加者の幅と深みがどんどん増していることが第一に挙げられる。2010年頃までは、運営する側=参加する側に近く、どことなく身内で盛り上げている感もあった。しかし、今年はいろいろなところでつながって幅が広くなっていて、それぞれの参加者が「お客さん」では無くて、皆自分の立ち位置や問題意識を持って、主体的に参加しているんだな、と感じて、私自身大変充実感があった。

 運営する側としては、準備などいろいろと大変なのは確かだが、そこから得られる経験や教訓と、参加者から得られる共感や感動も多々有り、得られることはとても大きいと感じている。来週は11月6日(ハンズオン)、7日(カンファレンス)に大阪でもFOSS4Gを行う。私ももちろん参加するので、皆さんとお会いできることを楽しみにしている。

以下、いくつか写真を掲載する。
 ハンズオンセッションの風景

 Jeff McKennaによるMapServerのハンズオン、今回の特別バージョンのMS4Wを作ってくれた!

 海外ゲストJeff McKenna(左)とDr. Yann Chemin(右)二人とも190センチを超える超大型

 カンファレンス風景

 OSGeo財団日本支部の名刺を作りました

 懇親会風景、ここでのネットワーキングが楽しいのです

 毎年恒例のカンファレンスPRのポスター

 今年のTシャツについての解説を師匠からいただく

 Dr. Yann Cheminの基調講演、大変専門性が高い

 今年初めて開催したBoFの一コマ(Web&クラウドGIS)