横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

実はオーシャンビューだったオフィス

2010年07月30日 17時37分36秒 | ビジネスetc
 本日、オフィスのレイアウト変更を行った。
 
 入居以来、ちょうど2年半が経過したのだが、当初のレイアウトは人員増加を見越して設計したため、事務的というか、単調で窮屈なレイアウトになっていた。しかし、その後の人員増加は、当初予想ほどではなく、この機会に思い切って一人あたりのスペースを広げ、海側のスペースをミーティング&リラックスゾーンとして開放した。

 このオフィス、窓からベイブリッジがよく見え、結構景色がよい。しかし、今までは窓側にも業務デスクを置いていたので、光を遮る必要からブラインドを常時下ろしてしまっていた。なので、この2年半、海を見る楽しみを、ほとんど味わっていなかった。今日のレイアウト変更で、社員一同、実はここってオーシャンビューだったんだ、と驚く有様。
 実はオーシャンビュー!だったオフィス

 早速、海側のミーティングコーナーでは、リゾート感あふれる中で社内プロジェクトの会合が持たれ、なかなかの贅沢感。

 執務スペースは、今までよりも一人あたりのスペースを大幅に広げ、こちらも快適に。私の席も大きく移動し、これまた気分転換。
 初公開! 執務スペース

 模様替えは、業務環境の改善という、目に見える効果だけでなく、前向きな気分転換にもなる。もっと早くやっておけば良かったな、と思う。

iPadをトラックにするプロジェクト、その一。

2010年07月30日 16時39分40秒 | ビジネスetc
 iPadは自分の仕事のどこまでに使い物になるのだろうか?

 スティーブジョブスが、D8で、「PCはトラックで、iPadが乗用車だ」と述べていた。私は、なるほど本当にそうだと思った。PCは何でもできるから、仕事で長いドキュメントを書くなど、ゴリゴリやり尽くすクリエータにとっては大変重宝するが、そこまでではない大半の利用者(というか、情報の消費者)にとっては、PCは複雑すぎる。誰もにトラックは必要ではない。私の使い方を振り返ってみると、仕事の2~3割はPCが必要だと思うが、それ以外はiPadで大丈夫だと思う。

 当初はWebブラウジング、メールの受信等でそれなりに満足していた小生だが、メールを受信したら、たまにはしっかり文章を書いて返信したくなる。結構スピーディにタイピングしている身にとっては、iPadのソフトウェアキーボードはさすがにイライラする。なので仕事での外出時にはMacBook Airが手放せない。私は、情報の消費者という立場ではないので、結局PCを持ち歩かなければならないのか・・つまり、毎日関連ガジェットを含めて3キロ近い荷物を背中に背負い込むのだ。

 そんな我慢の毎日が続いていたら、先日外出先で会社のHPのメンテをやろうとして、たまたまiPadしか持ち合わせていなかった時に、矢印キーが無いことが原因で、編集ウインドウの下の方に隠れている部分まで参照できなかったという”痛恨”の事態に遭遇した。これは困ったな。いくら自動車でも、もうちょっと働いてもらえないと・・・と相成った。そこで、まずはキーボードを持ち歩こう、と考えて、ネットで評価の高かったBluetoothキーボードを購入した。iPadの「トラック化」プロジェクトの始まりだ。

 リュウドのBluetoothキーボード Made in Chinaと書いてあるが、質感はとてもよろしい。(最近エレコムが同品と思われる製品を倍以上の値段で発売したらしい)

 折りたたむとこんな感じ。電池含めて200グラム位

 このキーボード一つでiPadの業務対応力は大幅に向上した。日帰りの業務打ち合わせ位ならば、Macを持ち歩かなくても良さそうに思う。贅沢を言えば、キー入力のスピードに追いつく仮名漢字変換機能が無いことが辛い。MacでのATOKの有り難みがしみじみとわかる。

 ということで、まずはトラック化プロジェクトの第一段階が終わった。実際には、毎晩の通勤ではMacも持ち歩いていて、結句このキーボードが新たなガジェットとして増量されてしまった状態で、orzである。背負子は肩に良いが、この暑さでは背中がグッショリとなってしまうのが難点だ。




マシンが次々と壊れた件

2010年07月25日 16時09分37秒 | ビジネスetc
 この暑さのせいでは無いと思うが、マシンがやられた。

 まずは、先週末に会社のサーバ。pgRoutingなどを運営しているラックマウントサーバが動かなくなった。RAIDコントローラと2台のうち一つのHDDが壊れ、かろうじて残ったもう1台のHDDで何とか復旧ができた。冗長構成のありがたみを感じた。このマシンは購入してまだ丸一年。大手D社のものなので、もう少し耐久性があると思ったが、壊れる時はあっけないものだ。3年間保証だったので、交換部品がすぐに無償で届けられたのがせめてもの救い。・・・と書くと、スムーズに行ったような印象を受けるかもしれないが、障害箇所の特定や、復帰するまでの一時的なサーバの環境構築など、エンジニア達の貴重な時間が結構費やされた。

 災難は立て続けにやってきた。
 給料日の直前、給与明細の印刷を行っている自宅オフィスのHPのプリンタが紙送りしなくなった。このプリンタはSOHO向けの複合機で、ちょうど4年前に購入した。その一年後に「万一のため」として同型機を購入しておいた。そこで、これを、故障したものに置き換え、ギリギリ明細の印刷が間に合った。同じプリンタを二つ持つ、という冗長対応のありがたみを感じた。・・・と書くと、スムーズに行ったような印象を受けるかもしれないが、紙送りを直そうと苦心した時間(結局徒労に終わる)、同一機種交換にもかかわらず、プリンタドライバの再設定を行わなければならない手間など、私の貴重な睡眠時間が失われた。

 余談だが、このプリンタの修理を依頼しに行ったら、「2万円位かかるかもしれません」とお店の人・・orz。一応メーカーに見積はしてもらうことにしたが、その場で類似機能のプリンタがないかを見ていたら、8千円でHPの複合機(現行機種)が売られていたのでバックアップ機として購入した。これにはFAX機能がないので、既存機種を入れ替えることにはできないが、印刷に関してはこれで大丈夫だ。

 仕事の場合、こういう故障は少なくとも数年に1回はやってくる。一番怖いのは自分のPCのクラッシュだが、その対策も含め、いざという時の冗長性の確保が大事だと改めて思った次第。

 で、これで収まったかと思っていたら、昨日自宅の私が使っていたWindowsマシンが壊れてしまった。久しぶりに電源を入れたら、起動途中で電源が切れてしまう。電源が壊れたのか、マザーボードに問題が発生したのか不明。こちらは「冗長性の確保」を行っていなかったので、即復旧とは行かなくて、時間がかかるかも。Macに移行してから、使用頻度は極端に落ちていたのだが、過去のメールや業務書類が入っているので、まだ死んでもらっては困るんだが・・

 ということで、わずか1週間でマシンが次々とやられて、夏バテも加わって、かなり疲れを感じている小生である。

カブトムシ失敗報告

2010年07月22日 12時42分51秒 | スローライフ
 例年カブトムシの報告をしていたことを思い出した。今年もその伝統に倣い、遅ればせながら報告を少々。

 50匹ほどいた幼虫であるが、例年どおり6月20日過ぎに最初の成虫が出てきてくれたものの、結果として成虫として羽化できたものは6匹にとどまる散々な悪成績に終わった。

 秋口に股関節痛に苦しんだこともあり、土替えなどのメンテナンスをまめにやれなかったことが第1の原因だと思う。次に、近親交配が増えていたので、それによる幼虫の劣化もあるだろう。それから、サナギになる最終段階で、どうやら土の質があまり良くなかったようで、サナギから成虫にほぼ”羽化”していながら地上に這い出られなくて死んだカブトムシが何匹かいた。そして、地上に出てきた成虫のうち、3匹がわずか数日で死んでしまった。結局生き残っているのはオス1匹、メス2匹の合計3匹のみ。一族断絶の危機である。

 貴重な1匹だけのオス

 残った3匹はいずれも元気にエサを平らげているので大丈夫っぽい。大切に世話をしてあげなければ・・・

 近年、10個以上もの飼育ケースをメンテナンスするのは大変だったが、今夏は一つだけにコンパクトにまとまって、結果として楽ができている。良くある話だが、息子の楽しみとして始めた昆虫飼育も、息子の成長と共に、結局世話をするのはオヤジだけ、ってパターンになりつつある。その息子は、カブトムシは卒業し、今はカナヘビとトカゲを6匹巨大な飼育ケースで世話をしていて、近所の草むらでエサのバッタを捕るのに忙しい毎日だ(オイオイ、受験生だろ!)。

 その息子が撮ったカナヘビの卵の写真
(写真はいずれもiPhone4で撮影)

見た目だけでも涼しく感じたいと思う

2010年07月22日 12時28分36秒 | スローライフ
 ここって横浜?と思うほど、ねっとりとまとわりつくこの暑さ。酷暑の名所である名古屋出身の小生にもさすがに辛い。例年なら、午後4時過ぎには30度を下回って涼しくなるが、昨夜、オフィスを8時頃に出たらたちまちベタベタ感に襲われてしまった。今年ばかりは調子が狂っている。

 見た目だけでも涼しく感じたいと思って、みなとみらいのクールな光景の一つでもある夜景に挑戦。会社の帰りに入居しているビルを正面にiPhone4で写真を撮ってみた。レンズの口径が小さいにもかかわらず、思いの外きれいでくっきりとした光景を写せる。夜景に関しては、私が持っている4年ほど前のカシオのコンパクトデジカメの方が性能が悪い。

正面のオフィスビルに会社が入居している(左手はタワーマンション群)

悪夢のような記事

2010年07月20日 23時31分55秒 | スローライフ
 悪夢のような記事を読んだ。

 国内大手電機メーカーがアップルのiPadに酷似した端末を出し、国内の新聞社や出版社と強調して「国産のiPodを目指す」「日本標準を狙う」とかいうのだ。先行しているアップルのアイデアをそのまま模倣するものの、独自規格の書籍フォーマットで外資の日本市場侵攻を防衛しようという魂胆であることが、この記事からはにじみ出ている。

 ちょっと待って欲しい、日本の代表的な企業が、どうしてこんなに自尊心の低い行為をするのだろうか。フェアに勝負するのならば、iPadやKindleで読める規格での電子書籍を流通させるべきだし、ハードウェアメーカーは、その上で魅力のある商品を出すべきではないか。それなのに、日本でしか通用しないハードからコンテンツ配信まで「垂直統合」で囲い込もうとするのは大義名分がない(それに、その日本企業が発売するハードウェアはきっとiPadと同じ中国製だろうし・・・・)。

 仮に排他的な取り組みが成功したとしたら、iPad(やiPhone)を購入したユーザーは、もう一つ専用のハードウェアを買わされるなんて、私にとって悪夢以外の何者でもない。私は、iPadやiPhoneで日本語の書籍が読めることを心待ちにしているからだ。

 ただ、こういう排他的な囲い込みが”成功”するかどうかは、最終的にユーザーが決める時代になっていると思う。後発のiPad模倣製品が市場に流通するまでの間、iPadの販売台数が順調に伸び、コンテンツホルダーがその上でビジネスを行うことが魅力的であるのならば、市場はその方向で発展してしまうだろう。ここには既に顧客がお金を持って待っているが、「国産のiPod」に顧客が出現するまでには何ヶ月も先になる。その時間差をうめるほど、「日本語障壁」戦術が功を奏するとも思えない面もある。

 それにしても、小さな策しか弄せないのを見るにつけて、とても情けない。大手企業にいる優秀な人材には大義のある課題を与えるべきで、このボーダーレスな時代におよそ似つかわしくない、時代錯誤の課題を与えてはならない。こんなことをしているから、日本企業の優秀な人材が小技に走るようになり、日本企業がどんどん世界の中で地位を下げていくのだ。そして、次第に日本から富が海外に流出し、日本は経済低迷から抜け出せないのだ。

 しばらく前、どなたかが、私のブログのコメントとして「アップルのエバンジェリストになった」と書いていたが、私はそのような些細なポジションには全く関心がない。私がアップル製品を気に入っているのは、この企業がユーザーの創造力を高め、生活の質を高める製品とサービスを提供しているからだ。だからこそ、日本企業から一つでもそういうところが現れて欲しいと思う。誰もSteve Jobsの長者番付に何票も投じることを喜びにはしないだろうし、同じ投じるのならば、日本の企業であって欲しいものだ。

iPhone受信問題、これにて一件落着だと思う

2010年07月18日 09時50分13秒 | スローライフ
 iPhoneは無線機だから・・というちょっと前の投稿からちょうど2週間後、アップル本社での会見が行われた。たとえばこの記事を読めば概要がわかる。

 体感的に無線機のことを学んでいる私には、このアップルの会見の内容は誇張でもないし、都合良い言い訳でもない。至極まっとうだ。ただ、アンテナ本体を握りやすい部分に露出させた設計は、そもそもどうかと思うが・・・

 一般的に言って、携帯電話網などの商業無線ネットワークは、アマチュア無線が取り扱うような微弱な電波を想定していないので、その程度のことで通話が切れたりするのは、逆にAT&Tのネットワーク品質が悪いことの方に問題があると言ってしまっても良い。AT&Tと言えば、アメリカの最大のオペレータなので、そこですらそんな状態なのかと、ちょっと驚きを感じる。いろいろな記事を読んでいると、広大なアメリカでは、日本のように「どこでも使えて当然」にはとてもならないようで、かなり貧弱な電波状態のエリア(さらに圏外のエリア)の割合が多いそうだ。

 ちなみに、日本ではどうか。OSのアップデートで「正しく表示される」ようになった信号強度でもってソフトバンクのネットワークを見てみると、やはり改善の余地が多いと言わざるを得ない。ちょっとした陰に入るとたちまち電波が弱くなる。ただ、ドコモが(障害物に強い)800MHz帯を3Gネットワークで使用できるのに、後発のソフトバンクはその点でかなり不利な2GHz帯を使わさせられているという、総務省による後発者に差別的とも言える政策が背景にあるので、私は一概にソフトバンクの不手際だとは言いたくない。

 と言うことで、「不具合」騒動も、全顧客にバンパーを無償配布することで収拾されるだろう。一足先に純正のバンパーを買った小生にも、後日払い戻しされるというので、良しとしよう。

これが無償配布されるというバンパー(一応コーポレートカラーのつもり)

wifi版iPadの位置情報から見る、Core Locationのすごさ

2010年07月10日 11時52分48秒 | 地理情報関連
 私の持っているiPadはwifiモデルである。これにはGPSは装着されていないが、現在位置をかなり正確に出してくれる。AppleはCoreLocationという、位置情報を取り扱うインフラを提供していて、GPSによる現在位置情報だけでなく、wifi基地局の位置情報をもとに自己位置を算出する。どのくらいの誤差があるのかについては、私の自宅では40mくらい、会社付近では50mくらい、先日訪問した鹿児島でも同じ位で、おおむね数十メートル以内に収まっているので、GPS(正確にはNetwork assisted GPS)と大きな差がない。

 では、ここで問題。Appleは、日本中のwifi基地局情報をどうやって取得しているのだろうか?

 先日、iPhoneOSのアップデート時に「iPhoneソフトウェア使用許諾」に同意する必要があったのだが、その中に、「位置データ」という項目が書かれていた。以下、その使用許諾から転載をすると・・・

b) 位置データ
Appleならびにそのパートナーおよびライセンシーはお客様のiPhoneを通じて得た位置情報にしたがって、お客様にサービスを提供いたします。これらのサービスを提供し、改善するにあたり、利用可能な場合、Appleならびにそのパートナーおよびライセンシーは、お客様のiPhoneのリアルタイムの地理的位置を含むお客様の位置情報および場所検索を送信し、収集し、保持し、処理し、使用することができます。Appleが収集する位置データおよび場所検索は、お客様を個人的に特定しない形で収集され、位置情報に基づく製品およびサービスを提供し、改善するためAppleならびにそのパートナーおよびライセンシーが使用することができます。


 この、太字部分を読めばわかるように、Appleは、iPhoneOSの利用者を通じて、近傍のwifi基地局位置情報を収集している。これはきわめて効率の良いやり方で、Appleはお金をかけずに、世界中に散らばるiPhoneユーザーの行動エリアにほぼ等しいエリアのwifi基地局位置情報を自動的に集めているわけだ。

 先日、Googleがストリートビューの撮影と同時にwifi基地局位置情報を集めていて、そこに本来は取得すべきでない情報まで集めていたことが問題になった。私は、Googleは単にストリートビュー制作という「写真撮影キャラバン」を活用して、wifi基地局位置情報までも集めているスマートさに感心したのだが、Appleの方が、さらに一枚も二枚も上手なのだ。なんと言っても、ストリートビュー制作のようなお金がかかっていないし、世界中相手に網羅的であり、さらに日々更新されるからだ。

 そうして考えてみると、日本でも全道路を走行して撮影するプロジェクトが、地図会社や測量会社系で複数あったのだが、それはいずれもカーナビなどの「単目的」「単発的」であって、事業の広がり的にもコスト的にも、Googleやさらにその上を行くAppleには太刀打ちできない。

 さらにそのApple、彼らのビジネスモデルには知恵がある。ハードウェアデバイスと卓越したユーザー体験が、元来彼らの得意分野であったが、今やサービス(アプリや楽曲の販売の仕組み)も統合して「お金が入り続ける仕組み」を確立している。さらにすごいなと思うのは、最もお金がかかり、許認可などの政治的リスクのかかるネットワークオペレータ(携帯電話会社)の部分は、自ら投資をしないことだ。日本においては、ソフトバンクが自らの契約者数を増やしたいがために、まるでAppleへの「思いやり」代理店みたいに必死で販売促進を行っている。Appleは、ここでも自らほとんど汗水垂らさずして、おいしいところだけを手中に収めているようだ(う~ん、なんか日本とアメリカとの根本的関係に似ている気もする orz)。


iPhoneは無線機なのだ

2010年07月04日 15時04分53秒 | スローライフ
 この週末になって、ようやく私の手元にもiPhone4が到着した。今まで使っていた3Gと比較して、まず液晶の解像度の高さに度肝を抜かれるし、動作速度も比較にならないほど速い。この2点だけでも、機種変更をした意味がある。

 発売日から10日ほど遅くなって、とても気になっていたことがあった。それは、持ち方によって受信感度が変わってしまうという「不具合」のニュースだ。iPhone4は、3G回線(複数の周波数帯域)、Bluetooth、GPSなどのアンテナを筐体内部に持たず、フレームを利用していると、WWDCでのSteve Jobsの基調講演で聞いた。アンテナを手に持つと、人体は導体だから、当然、共振周波数が変動してアンテナは本来の役割を果たすことが出来なくなる。だから、私は先の基調講演を聴いた際に、「ふ~ん、iPhoneのアンテナのQはよほど低いのかなぁ?」と不思議に思っていた。

 前回の投稿で、私は非技術者と自己定義したが、無線工学分野についてだけは技術者(だった)と思っている。大学の学部は一応文学部哲学科の出身であるが、専攻は無線工学だったと言っても良いほど、学生時代私はアマチュア無線にのめり込み、とりわけ、アンテナ系の共振回路の設計と制作実験に明け暮れていた。で、Qという概念は、アンテナなどの共振回路でよく使われるのだが、Qが大きいと共振する帯域は狭いが感度がよいなど性能が高くなり、逆にQが小さいと共振する帯域は広くなるが感度は悪くなる。テレビアンテナは、チャンネルによって大きく周波数が異なるので、わざとQを低くして、幅広く平凡な性能を出すようにしている。一方、プロ用の通信設備はQを高くして特定の周波数帯域だけに焦点を絞って、そこでの性能を最大限に求める。

 携帯電話の場合、使用できる帯域はテレビほど幅が無いので、比較的Qが高くて、シャープなはずだ。なので、そのアンテナを手で触ってしまったら、極端に性能が悪化するのは必定だ。アップルが「バンパー」という名の樹脂製の保護枠を積極的に宣伝しているのも、実はこの影響を避けたいからなのかと勘ぐってしまう。

 さて、実際に私の手にiPhone4を持って、どのくらいの影響が出るかをいじくってみている。もともと自宅付近はソフトバンクの電波が弱くてフェージングのような現象を伴うこともあり、明瞭な違いを再現することはまだ出来ていない。なので、そんなにQは高く設計されてはおらず、ほどほどに鈍感に作ってあるのかもしれない。

 いずれにしても、iPhoneも無線機の一つなので、それは起きて当たり前の現象なのだけど、一般の人はいつでもどこでも安定してつながることを最優先に求めるので、アメリカのような訴訟沙汰にまでされてしまうのだろう。

「Web時代のGIS技術」勉強会に参加して

2010年07月03日 23時53分08秒 | 地理情報関連
 もう、1週間前であるが、「Web時代のGIS技術」勉強会に参加した。
 この勉強会は、niyalistこと慶応大の伊藤さんのtwitterでの呼びかけで開催されたもので、twitterで日頃から示唆に富んだコメントを発しているwata909, hfu氏を講演者として招き、講演に続きパネルディスカッション(講演者+mapconcierge+jg2tkh)、最後に懇親会を行った。勉強会はUstreamで中継され、関西のアクティブなメンバーもtwitterでコメントを発して参加した。

 最近は、twitterとブログメディアを一種の”人集めツール”として上手に使うことで、参加対象者を美しくターゲティングした集いを開催することが容易に実現するようになっている。そういう場では、企業名やブランド、権威から解き放たれた素のままの議論ができる。私は、こうし健全で自立した個人による平和な時代の到来をありがたく思う。私が力を入れているOSGeo財団の活動もこうした時代であればこそ成り立つものだ。


 参加者は東大農学部の会場を埋めるほどの人数が集まった。私の顔見知りの方も多いが、参加者はtwitterのIDを胸につけるだけで、所属先や氏名を告げる必要もない。しかし、皆の関心事項はこのテーマであり、自由な立場から熱心な質疑応答が繰り広げられた。既に、嘉山さんのブログで、技術者としての経験と示唆に富んだコメントが読めるので、ぜひご覧いただきたい。

 非技術者としての私の目には、技術論というよりも、文化論のような視点でこの勉強会を体験すると書いた方がしっくりする。

 長らくジオ業界に生息している私の目からは、GISがいよいよWebの一部としてコモディティ化する非可逆的な流れを、ジオな関心を持つ技術者達がどう認知して咀嚼していくのだろうか、ということが関心事の一つである。この流れは2005~6年頃から始まっているが、いわゆる旧来のジオ業界人でそのことを明示的に肯定する人はあまり多くはなかったように記憶している。時が経って、今やWebを知らずにして、GIS技術論を語れない時代である。レガシーとして時には見なされる「デスクトップGIS」ですら、GeospatialなWebが存在していることを前提に機能が実装されている時代だ。そして、そこでは旧来の業界技術者ではなく、ジオなことに関心のあるWebの技術者によるアプローチの方が、社会的にな力をどんどん増している。今回の集いは、幅広いバックグラウンドを持つ人達による「勉強会」であり、今までになかった類の場が出現したと言える。

 似たような場としては、ジオメディアサミットが有名である。2008年1月当初から、ジオメディアサミットは「メディア」と記されているように、Webメディアとしてのジオ領域がテーマである点で、旧来のジオ業界ではないメンバーによるイベントである。また、これはサービスの交流会であり、技術の勉強会ではない。このイベントは、1回やってみて、次も参加したい、もう一回やると、また参加したい、という繰り返しで、これまでに大きくなってきた。この過程で、参加者は回数を増す毎に技術者からWebメディア事業の企画者へと主たる比重を変えていっている。最近では300名もの参加者がいて、メディアの取材が相次ぐようになっており、もうこれは商業イベントとしても成功の部類に入りうる。

 一方、今回の勉強会、今後どのように継続する(しない?)かはわからないが、私は「次も参加したい」と思う。

 ところで、参加するだけなら誰でも出来るのだが、そういう集いを企画運営するとなると、誰にでも出来うるほど容易ではない。さらに、これを継続させようとなると、苦労は一桁多くなる。なので、今回の伊藤さんの努力に大変感謝すると共に、これからもやりましょう!とエールを送りたい。