「世の中でこれだけの伸び率を示すビジネスってあるんだ」

　私の会社は、salesforce.comからの出資を受けてから、先月末でちょうど1周年経った。

　その間、Orkney GeoGraphの利用者数は実に14.8倍に増加した。東証一部上場企業から従業員数名の企業まで、実に幅広く採用されるようになった。率直な感想としては、「世の中でこれだけの伸び率を示すビジネスってあるんだ」と。しかも、「地味」「伸びが鈍い」と一般に見られるB2Bでだ。それにしても、1年前、まだビジネスがとても小さくて、この先どうなるかわからないような段階で、出資を決断してくださった投資家の先見の明は卓越している。

　しかし、この1年間は、順風満帆とは言い難い。製品を作るチームも売るチームも、そしてそれを側面から支えるチーム全体が、大変な努力を重ねた結果の数値である。目標を達成することがどれだけしんどいのかは、やってみなければ体感できない。

　そしてもう一つ、やってみた結果の話だが、製品名こそ変化していないが、「誰に対してどんな価値を提供するか」という製品のコンセプト自体が大きく変化した。

　1年前は「セールスフォースの地図連携」を標榜し、「地図」が顧客の課題を解決するというストーリーを提案していた。だが、今は「フィールド業務に革新を」を標榜するようになり、フィールドでの営業や保守業務のパフォーマンス改善を提供できる価値としている。さらに、パソコンをメインで、モバイルアプリをサブとしていた製品コンセプトも、むしろ逆に考えるようになった。

　この変化の多くは、お客様とのコミュニケーションを通じて学んだ結果である。クラウドサービス提供の良さの1つであるが、広く多くのお客様の声に触れることで、お客様と一緒にサービス自体を発展させられる。

　この1年間の成長は、投資家、お客様、パートナー企業様、そして社員に支えられて初めて達成できたものだ。関係する皆様に心から感謝すると共に、この先も努力を継続する所存だ。