今年9月に北京で開催予定だった、FOSS4G 2012が、キャンセルされることが発表された。
FOSS4G 2012は、OSGeo財団が年1回主催し、世界中のFOSS4Gの開発者、ユーザー、そしてコミュニティが集う国際カンファレンスで、2006年のスイスのローザンヌでの開催以来、毎年続けられてきた。
今回の北京での開催は、アジア地区初めてとなるものだった。しかし、このブログでも書いたが、北京の組織委員会の準備は遅々として進まず、5月、6月・・・と開催日まで3ヶ月を切ろうとしている中でも、動きがほとんど見えなかった。
このほど報告された情報によれば、組織委員会そのものの人が足りない、資金が足りない、展示会運営会社が辞退するなどの悪条件が重なったという。おそらく、こうした困難はかなり早い段階から発生していたのだろうが、世界中に開催地としてアナウンスされてしまった以上は、今さら後に引けずにずるずると来てしまったのではないだろうか。しかし、いよいよ物理的な期限が到来して、現実的な判断を迫られたものと思われる。とても残念ではあるが、冷静で賢明な判断だと思う。
もともと、”オープンソース”という概念が成立するのは、商用ブランドのソフトウェアが浸透し、その知的財産権保護が確立されている地域だ。具体的には、西側の先進地域だ。更に、オープンソースには「Freedom」という概念が欠かせない。しかし、中国では、「Freedom」という権利が大幅に制限されている政治体制だ。科学技術のツールとして、FOSS4Gは多用されているらしいが、これはあくまでも「道具」であり、FOSS4Gを支えるエコシステムを運営する側である「コミュニティ」は脆弱だったのでは無かろうか。
日本で行われている、「FOSS4G Tokyo/Osaka」(OSGeo財団日本支部主催)に参加された方はおわかりになると思うが、商業カンファレンスではなくて、本当に手作りである。運営スタッフは、一部の費用はOSGeo財団日本支部から支給されているが、多くはボランティア(自腹)でやっている。怒濤のようなカンファレンス期間が終わると、私を含め、スタッフは心身共に衰弱してしまって、しばらく何もしたくなくなってしまう・・・
これが、インターナショナルな「FOSS4G」になっても、本質はそれほど変わらない。つまり、カンファレンス運営の一部は専門業者に委託をするが、企画運営には専任状態で2~3名は必要になり、その人件費は地元組織の持ち出しになる。会期中は10~20名の運営スタッフが必要となり、これまたボランティアだ。会場費や食事代は参加者からの参加費用や企業スポンサー料でまかなうことになるが、こうした財政的な帳尻は、コミュニティと企業が成熟している北米や西欧くらいしか成立しないのでは、と思う。
そういう厳しさをわかっているから、われわれ日本支部は、軽々にFOSS4Gの開催地としての立候補をせず、人と資金の準備を数年間かけて行ってきている。でも、まだ準備ができたとはとても言えない。
9月は、オープンストリートマップの国際カンファレンス「SotM」が東京で開催される。実は、北京でのFOSS4Gに併せて世界から人に来てもらおうと計画したところもある。その北京がキャンセルされたことで、SotMにも影響が出るだろう。OSGeo財団日本支部としても、傍観できない状況になっている。
FOSS4G 2012は、OSGeo財団が年1回主催し、世界中のFOSS4Gの開発者、ユーザー、そしてコミュニティが集う国際カンファレンスで、2006年のスイスのローザンヌでの開催以来、毎年続けられてきた。
今回の北京での開催は、アジア地区初めてとなるものだった。しかし、このブログでも書いたが、北京の組織委員会の準備は遅々として進まず、5月、6月・・・と開催日まで3ヶ月を切ろうとしている中でも、動きがほとんど見えなかった。
このほど報告された情報によれば、組織委員会そのものの人が足りない、資金が足りない、展示会運営会社が辞退するなどの悪条件が重なったという。おそらく、こうした困難はかなり早い段階から発生していたのだろうが、世界中に開催地としてアナウンスされてしまった以上は、今さら後に引けずにずるずると来てしまったのではないだろうか。しかし、いよいよ物理的な期限が到来して、現実的な判断を迫られたものと思われる。とても残念ではあるが、冷静で賢明な判断だと思う。
もともと、”オープンソース”という概念が成立するのは、商用ブランドのソフトウェアが浸透し、その知的財産権保護が確立されている地域だ。具体的には、西側の先進地域だ。更に、オープンソースには「Freedom」という概念が欠かせない。しかし、中国では、「Freedom」という権利が大幅に制限されている政治体制だ。科学技術のツールとして、FOSS4Gは多用されているらしいが、これはあくまでも「道具」であり、FOSS4Gを支えるエコシステムを運営する側である「コミュニティ」は脆弱だったのでは無かろうか。
日本で行われている、「FOSS4G Tokyo/Osaka」(OSGeo財団日本支部主催)に参加された方はおわかりになると思うが、商業カンファレンスではなくて、本当に手作りである。運営スタッフは、一部の費用はOSGeo財団日本支部から支給されているが、多くはボランティア(自腹)でやっている。怒濤のようなカンファレンス期間が終わると、私を含め、スタッフは心身共に衰弱してしまって、しばらく何もしたくなくなってしまう・・・
これが、インターナショナルな「FOSS4G」になっても、本質はそれほど変わらない。つまり、カンファレンス運営の一部は専門業者に委託をするが、企画運営には専任状態で2~3名は必要になり、その人件費は地元組織の持ち出しになる。会期中は10~20名の運営スタッフが必要となり、これまたボランティアだ。会場費や食事代は参加者からの参加費用や企業スポンサー料でまかなうことになるが、こうした財政的な帳尻は、コミュニティと企業が成熟している北米や西欧くらいしか成立しないのでは、と思う。
そういう厳しさをわかっているから、われわれ日本支部は、軽々にFOSS4Gの開催地としての立候補をせず、人と資金の準備を数年間かけて行ってきている。でも、まだ準備ができたとはとても言えない。
9月は、オープンストリートマップの国際カンファレンス「SotM」が東京で開催される。実は、北京でのFOSS4Gに併せて世界から人に来てもらおうと計画したところもある。その北京がキャンセルされたことで、SotMにも影響が出るだろう。OSGeo財団日本支部としても、傍観できない状況になっている。