横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

オーシャンフロント、角部屋

2010年11月29日 21時42分39秒 | ビジネスetc
 みなとみらいのオフィスで仕事をして、ちょうど3年が経過した。3年前、中区海岸通の古い農協のビルから、西区みなとみらいの新築大型ビル(MMパークビル)に引っ越した当時は、あまりにも環境が違いすぎて、なかなか落ち着かなかったのを思い出す。

 今回のオフィス移転は、ビルの契約期間が満期になったからなのだが、3年前と時代が大きく変わり、みなとみらい地区はデフレの嵐。新築、既存問わず、どこに引っ越しても大幅なコスト削減が実現することが判明した。ただ、駅直結の利便性を失うのはつらいので、それを条件に探した結果、クイーンズタワーに落ち着いた。一つ嬉しいおまけがあり、赤レンガ倉庫と港が目の前に見えた昔のオフィスと同様に、港が目の前の部屋に恵まれた。

 旧オフィスで引越作業中・・・
 経費削減を目的とする引越なので、什器備品だけでなく、パーティションもすべて外して流用した。天井の高さが引っ越し先がわずかに低かったことから、板をカットして使い回せたが、逆の場合だと流用できない。幸運だった。

 転居先はクイーンズタワーC棟
 みなとみらい地区で3つ段違いで建っているクイーンズタワー。その一番海側のC棟かつ海側の角部屋が空いていた。面積が1割ほど狭くなることもあり、大幅な経費削減が実現。デフレは悪いことばかりではない。

 お客様を会議室に案内する廊下はもっとも眺望の良い海側に設置。

 窓から北北東方面を望む
 この写真ではわかりにくいが、東京湾越しに東京スカイツリーが見えている。手前の白い建物は先日厳戒態勢のAPEC会場となったパシフィコ横浜。

 3年間慣れ親しんだオフィス、思い返してみれば、この3年はFOSS4Gが「本物」として受けいられるようになり、それと共に、不安定だった我々の組織も大きく成長した時期に相当する。入居した当初は、お客様からの相談を受けても「FOSS4Gでどこまでやりきれるか」が心配なこともあったが、今は大半の相談内容に「できる」と言えるようになってきている。その意味において、MMパークビル時代は、オークニーという会社の歴史にとって、なくてはならない過程だったと思う。

 3年ぶりに、「横浜ならでは」のロケーションに戻ってきた。これからこの新しい環境で、どんな時代を作り上げることができるのか、それがとても楽しみである。

車輪の再発明かもしれないけど、楽しいからまぁいいか。

2010年11月24日 22時47分51秒 | 地理情報関連
 週末に鹿児島に行っている間、レンタカーを借りて移動をしていた。昨年来、鹿児島には7~8回出かけていて、移動中はOSM用のログを取っている。現在、OSMでの鹿児島市周辺はこんな感じである。鹿児島のログを取り始めて1年数ヶ月になるが、ここで掲載されている道路網の7割以上は私によるものだ。地元のマッパーがいないみたいで、遅々とした進捗状況である。私は、空港とホテルと息子の学校との移動が大半なので、だんだん行動エリアがパターン化している。結果として、新しい道路を描く機会が減ってきている。元々、ログを取るために鹿児島に行っている訳ではないので、さすがにこれ以上はなかなか難しい。

 一方、地元の横浜市。自宅周辺は車、バイク、自転車を使ってかなり網羅したが、生活圏を離れるところまではさすがに手が出ない。鹿児島に限らず、横浜(自宅周辺)も地元マッパーの数は限られ、しかもここ2年ほど増加したようには思われない。私は純粋な楽しみでログ取りをしているので、自己満足度は高いが、周りがつながっていかないのでちょっぴり寂しい。

 長い目で見ると、OSMの日本の地図整備は着実に進んでいる。しかし、「急速に」という表現はちょっと無理で、むしろ「徐々に」という表現があてはまる。OSMを純粋な楽しみとして・・・というモチベーションだけでは、地図整備はこれ以上加速しないのかもしれない。そもそも、日本は国や民間企業による地図整備が「完璧」なので、OSMを別のoptionとして期待する人は少数なのかもしれない。また、”なぜ今更同じことを繰り返すの?”という「車輪の再発明」に対する疑義は、実際にログ取りを楽しんでいる私自身も感じている。特に、国による測量成果をOSMにダイナミックに流用できないのは、本当にもったいないと思う。(ま、その代わり、ログ取りの楽しみがあるのだが)

 そんなことを思っていたら、ちょうどOSMの創始者のSteve CoastがMicrosoftのBingチームに加わったという、ちょっと興味深いニュースが流れた。そして、Bingは衛星画像をOSMでの利用について無償提供するという。これを使えば、自宅にいながらにして、世界中どこの地図も作成できることになる。これはすごい。

 Microsoftは、ことBingに関しては、Googleの後追いをしたくてもその展望が描けないほどに後れを取ってしまった。GoogleがOSMのコンセプトをパクってMapMakerを展開しているが、今度はMicrosoftはOSMを支援することによって、彼らは、このままでは死に体になるBingの再起を期しているように思う。結果として、我々は日本でも詳細な衛星画像を背景にして、例えば、鹿児島に出かけずにして鹿児島の地図を作れるようになる。とは言え、ここ日本では、車輪の再発明のような気がするが・・・まあいいか、楽しめれば。

羽田-鹿児島 往復13600円

2010年11月20日 21時33分08秒 | スローライフ
 週末は鹿児島に来ているのだが、今回は最近注目度の高いスカイマークを利用してみた。

 ちょうど、11月から羽田-鹿児島便を就航(正確には復活)させていて、今回の旅行のタイミングにちょうど良かった。スカイマークが就航するまでの鹿児島は、航空券代が高止まりしていて、出発前1週間を割っていると、軒並み片道2万円台後半を余儀なくされていた。ところが、スカイマークの場合は、正規普通運賃ですら、他の航空会社の4分の1程度と破格に安い。しかも私の場合、早めの予約のため、行きが5800円で帰りが7800円、合計わずか13600円。これは東京-大阪の片道の新幹線代金とほぼ同じだ。

 となると、いったいスカイマークは大丈夫なの?しっかり整備しているの?という素朴な不安が出てくる。実際、ネットの掲示板では野次馬的な関心からか、欠航が多い、遅延が多い、サービスが悪い、狭い、客層が悪い・・・など良からぬ評判を多数見ることができる。その割には、搭乗率は地方路線を含めても国内航空各社中常に最高を維持しているので、実態はどんなのか、私の関心が高まっていた。

 スカイマークが主力としていた、福岡便、札幌便、神戸便を仕事で使うことがなかったため、その機会を逃していたが、今回の鹿児島便は、試してみる絶好のチャンスになった。

 羽田のチェックインカウンター(全便満席を示す赤文字に注目)

 スカイマークのカウンターは第一ターミナルの一番北端、ちょっと遠いのが難だが、これだけ安ければ文句はない。お隣のJALほど地上係員はいないので、人件費を節約しているのだろう。お目当ての飛行機は、機材が到着遅れにより出発が30分ほど遅れたのだが、このレベルの遅延はJALでもANAでも(外国航空会社でも)しばしばあるので許容値である。

 登場した飛行機はボーイングの737-800。スカイマークは機種をこれに統一していて、中古導入は一つもない。それが故に整備コストやパイロットの訓練コストを節約できている。中は片側3席ずつでシートピッチは31インチ。これを狭いという人がいるが、何度も乗ったデルタ(旧ノースウエスト)は、国際線ですらこのサイズが多かったし、アメリカ国内線は30インチのものもあるので、スカイマークを狭いと文句を言うのは酷である。機内ビデオや客席モニタスクリーンなどは一切ないので、そこもコスト削減につながっている。その割に客室乗務員は4名おり、(最近大幅に低下した)他社のサービスと特に変わらない。しかも、今回乗った機材は「新品」で、どこを見てもピカピカ。おそらく納入されてから未だ1ヶ月も経っていないのではと思う。なので、ネット上の文句は何でなんだろう??と思う。

 ネット上の文句で、「客層が悪い」としばしば書かれているのだが、確かに羽田-伊丹線のような「ビジネスパーソン」主体ではないから幅広い。乗って感じたのは、アメリカ国内線のような客層の広さだ。飛行機での移動がバス並の感覚であるアメリカ国内線、その様子と不思議に一致している。航空機利用が「特別な旅」というイメージが、日本では年配の人を中心にまだまだ根強そうだが、スカイマークが今元気なのは、日本での航空機利用が、本格的に一般化(大衆化)しているトレンドが根底にあるからだと思う。


難攻不落の関門を攻略したぞ!

2010年11月19日 22時17分41秒 | スローライフ
 デジモノ好きの小生。この嗜好は息子にも無事受け継がれているのだが、生活を共にする妻だけは真逆の「デジモノ音痴」、というか文書をPDFで保存せず、必ず印刷してファイリングするという「デジモノアンチ」。もちろん仕事ではPCを使っているのだが、その設定やメンテナンスは私の担当。しばしば妻以外では体験したことのないような怪奇現象(印刷できない、ネットにつながらない、メールがいくつか消えている・・・)に毎週のようにつきあわされている。

 そして、携帯電話。iPhoneに2年前の7月に飛びついた私を尻目に、彼女は初代京ぽんを使い続けていた。京ぽんは私の薦めで使い始めたのだが、かつての先進性である、ネットへのアクセスを一度もしたことがなく、もっぱら音声とメールのみ。そして、仕事のメールも読める、写真もビデオも撮れる、facebook, twitter, yammerも使えるなど、どれだけiPhoneが便利かを端で見ているはずなのに、「お金がもったいない」と、いっこうに欲しいとは言わなかった。

 それでも、iPhone4の発売以降、私の会社での普及率が6割くらいになってきて、私の兄弟(3人)全員がiPhoneになり、電車に乗ってもメールをカチカチと叩く音が次第に減って、見渡すとiPhoneが女性の間でも急速に普及していることを感じる。そういう外部環境の変化をいつまでも無視(否定?)しているわけにもいかない状況が徐々に彼女の鉄壁の守りを攻略していったのかもしれない。

 その関門の攻略は、数日前に、あっけなくもたらされた。彼女が京ぽんを紛失してしまったのだ。もう一回ウィルコムにすると、機種変更なので本体購入費用がかかる。一方、iPhoneならば初期費用がかからないし、周りは軒並みiPhoneユーザーなので電話代がほとんどかからない。デジモノアンチの彼女でも、「初期費用もかからないし、電話代も安い」というのは決定的だった。

 昨日から、妻は私から2年4ヶ月少々後れてiPhoneユーザーとなった。これでまた同じ時を共に歩めるようになると期待したのだが、帰宅後開口一番、「私はお金がかかるからデータ通信はしない」と。???えーっ???、iPhone4を手に入れてデータ通信をしないって何のため???

スカイマークがA380を15機も導入・・!

2010年11月13日 11時52分05秒 | スローライフ
 エアライン関係の話題は、飛行機での業務出張が増えた10年ほど前からそれなりに関心があったが、最近立て続けに報道されたこのニュースは、個人的にはJALの経営破綻やNW(ノースウエスト)がDL(デルタ)に買収されたことよりもはるかに驚きだ。

 個性の強いオーナー経営者に率いられたスカイマーク、飛行機運航を「公共交通」という定義不明のドグマにまったくとらわれず、あくまでも大衆相手の旅客ビジネスとして展開していることは、私はそれでオッケーだと思っている。結果として、国交省や就航先の自治体を敵に回してしまっているのも、自分の事業を維持することの方が優先だろうから、それも良かろうと思う。その結果、最近では国内ではもっとも収益性の高い、しかも無借金のエアラインとして、注目を浴びるようになっている。

 それにしても、今回のA380を15機・・・たまげたな。暴挙だな。

 エアバス社提供によるスカイマークのA380デザイン

 先日の、バルセロナでのFOSS4G参加で、私は初めてA380(ルフトハンザ運行)に乗った。すばらしいと思ったのは、その静粛性。普通に会話ができる程度の静かさである。私は、長時間飛行機に搭乗する際の疲労の何割かは、あのシャーという巨大なサーバルームにいるかのような騒音に起因していると思っている。なので、A380こそは、長距離移動には向いている。しかも、スカイマークはビジネスクラス席を3割、プレミアムエコノミー席が残りで、普通のエコノミーは設けないという。これは利用者としてはとても期待できる。10時間を超えるようなフライトでは、エコノミー座席は忍の一字である。それが利用者の最大の不満だし、最近はその価格ですら高止まりしている。この問題をついて勝負をかけてくるようなスカイマークは、既存のエアラインの慣習には無縁の暴れん坊だ。きっとまた、旧習にこだわる国交省などから有形無形の抵抗をうけるだろう。

 世の中を変えるような経営者は、概して(端から見て)けったいなことやうさんくさいことをやるものである。
 Usenの前身の大阪有線放送社が、法の隙を突いて誰にも了解を得ずに全国の電柱に勝手に「有線放送網」を張り巡らしたのは有名だし、スカイマークの設立者でもあるHISも、それまでのエスタブリッシュな旅行代理店が取り扱わない、海外格安航空券を大量に販売してでかくなったわけだし。それらは今や東証一部上場の大企業である。

 スカイマークの「暴挙」が「快挙」になるかどうか、まだ少なくとも3年以上待たなければならないが、楽しみである。

MacBookAir 11インチゲット

2010年11月09日 00時36分50秒 | スローライフ
 やはり、ポチッてしまった。FOSS4G東京のさなかの深夜のことだった。
 6日土曜日の深夜12時少々前に自宅に戻ると、到着していた。身体がへとへとだったので、箱も開けずにバタンと寝てしまったが・・・

 我が家にようこそ!

 憎いくらいにデザインされた箱

 箱を開けても無骨さはない

 電源を入れると軽快なリズムでビデオ上映

 ということで、11インチのAirを手に入れた。昨日、半日ほどかけて旧13インチから環境を移行し、丸一日使ってみた。

 いくつか気がついたところを

 ・やはり小さく軽いのはうれしい。13インチは確かに作業性は良かったが、もともと華奢な私には1.4キロ弱は重たかった。
 ・筐体がほとんど熱くならない。今までのは左手の平部分が熱を持つので、ハンカチを間においていたほどだ。
 ・バッテリーが長持ちする。カタログスペックで同じ5時間でも、新しいのは本当に5時間持ちそうな勢い。
 ・ステレオサウンドが意外によい。ディスプレイに反射してちょうど音が自分に向かってくる。音楽を聴きながら自宅で仕事をするのが楽しみなほどだ。 
 ・さすがに文字が小さくなったので、老眼の始まった目にはちと苦しい(泣)。会社では23インチモニタにつなげているから大丈夫。
 ・動作速度は評価記事等にあったとおり、旧13インチよりも明らかに早い。

 旧13インチは、その薄さと表示の美しさに圧倒的な魅力があったが、最大の弱点はバッテリーの消費量(熱!)だった。そして、レッツノートRシリーズのような1キロ弱の軽いPCを使い慣れていた私にはどうしても重たく感じた。今度の11インチは、こうした欠点を見事に解決してくれている。アップルの本気度がわかる製品だと思う。

FOSS4G 2010 Osaka 2日目

2010年11月08日 22時55分21秒 | OSGeo/FOSS4G
 FOSS4G 2010 Osakaの2日目は土曜日開催で、KOFは朝から熱心な人が集まって賑わう。

 一昨年から、土曜日の午前中は、FOSS4Gの会場を使ってジオメディアサミット西日本が開催されていたが、今年はジオメディアサミットの「本体」は12月17日に京都のはてなで開催されることになった。そのため、この場では「ジオメディアサミット西日本ミニイベント」として、ライトニングトーク大会が開催された。

 ロカポ、ジオどすで知られる、上田さんによる企画、司会のもとで、5分刻みのライトニングトーク大会が始まった。
 ミニイベントの主催者の上田さん

 そして、ライトニングトークといえば、かやまさんなので、やはりかやまさんに登場してもらって49ものFOSS4Gツールが満載のOSGeo4W紹介という、名人芸を見せていただいた(もちろん、全部紹介できるわけ無いけど・・・)。

 ここで、日本のFOSS4Gをシンボリックに表す「モラモラ」キャラクタのデザイン秘話を紹介した古橋さんからのライトニングトーク、あれれ?右側のちっちゃい女の子は誰???
 史上最年少ジオドル現る!?

 ジオメディアサミットが2008年1月の新年会からスタートしたことを知る人は少ないかもしれないが、その故事にちなんで、昨年同様に参加者で懇親会ランチを楽しんだ。
 ジオメディアサミットと言えば懇親会です!


 午後からは、FOSS4G 2010 Osakaの2日目が始まる。まずは、我らが隊長による挨拶。実は、ここで初めてすてきな奥様とかわいい娘さん二人に会う。私のところみたいに、男の子二人もいいけど、女の子二人もいいなぁ・・・
 ラガワン先生による挨拶

 さて、基調講演はPaul Ramsey氏から始まった。東京の演目とは違い、State of PostGISと題して、PostGISの最新状況を聞く。この場にはPostgreSQLユーザー会の石井さんも聴講された。
 Paul Ramsey氏

 最初にPostGISのコードを書いたのはこの黄色の丸の人(名前を忘れました)

 将来構想を説明し始めて、バージョン名がXP、その次はVistaになっている(笑)
 将来構想!

 PostGISは、商用GIS製品が次々にサポートしている。これを見ると、いかにPostGISが偉大なツールであるのかがわかるだろう。
 2006年から2008年まで

 2009年から2010年まで

 ここでPaul氏から問題提起。日本からのコミッターがいないよと。英語は心配ないよ、メーリングリストはゆっくりだよ、ソースコードは共通語だよ、西洋人は滅多なことで失礼だなんて思わないよ・・・と、強烈なラブコール。みんな、どうする?
 ところで日本の皆さん、どうしたの?

 ブラジルからのLuiz氏は、東京都同じ内容の発表。デモを見せたかったとのことだが、(さっきは動いたのに)こういう時に限って動かないと、残念がっていた。そういう経験って、皆さんもありますよね。
 Luiz Motta氏

 最近ブレーク中のZOOプロジェクト。Geraldさんからの説明+日本語訳のスライドがついていて、わかりやすい。興味を持つ技術者が多かったのか、あとでもっと具体的に突っ込んだ話が聞きたいという意見がちらほら。
 Gerald Fenoy氏

 東京でも同じ題目での公演をされた、国土地理院の鎌田さん。東京よりもプレゼンに磨きが確実にかかっており、なるほど鎌田さんの地元は関西。水を得た魚のよう。
 国土地理院の鎌田さん

 昨年にもgoGPSの発表がされたのだが、さらに実用性が高まっていて、ビジネスパートナーも現れている様子。今後に期待。
 Eugenioさん、あご髭が特徴

 東京都同じ、OpenVRPの説明。実は、午前のライトニングトークで、鳥取大学に移られたばかりの伊藤さんからの鳥取の鉄壁のバスナビシステムの話があったばかりで、公共交通のあり方を変えるというビジョンと、すでに稼働しているシステムとの間をつなぐロードマップがあるといいなと思った。
 ジオリパブリックの関さん

 農研機構の寺元さんは、PostGISの翻訳サイト、基盤地図情報WMSで多数の人がお世話になっていると思うが、Androidで動作するWMCビューワについての発表。機構の事情によってオープンソースでの開示がまだできていないそうだが、そのバックエンド周りはFOSS4Gを最大限活用しているとのこと。
 農研機構の寺元さん

 地理的可視化のためのWebAPIであるPostLBSの発表。基本的に東京都同じ内容なのだが、東京では買ったばかりのMacBookAirの使い方に慣れておらず、操作がぎこちなかったのだが、「使い方を練習してきた」だけあって、デモを入れても持ち時間に完全に収まる模範的なプレゼンになった。
 オークニーの小池から

 今年から団体会員としてスポンサーになっていただいた広島のパイプデザインの邑楽さんによる下水道のお話。FOSS4GとしてはMapGuide OpenSourceを使うのだが、ツール自体よりも、下水道の設備管理が大変なノウハウの固まりで、その一部を聞かせていただいて参加者みんなが「へぇ~」状態。
 パイプデザインの邑楽氏

 昨年度から、FOSS4Gを使って地球観測データの利用促進プロジェクト(通称「文科省宇宙利用プロジェクト」)が進んでいるが、東京だけでなく、大阪でも活動の紹介と前年度開発したツール等の告知活動を行う。また、JSTのプロジェクトの一環でのOSGeo4Wの日本語化についても、その説明を行う。

 地球観測データのようなコンテンツは、それを利用できるツール群が整備されないとなかなか普及しないのだが、QGISやGRASSというすばらしいFOSS4Gがあり、それの日本語対応を行うことで、誰でも使えるようになる。OSGeo4Wの日本語化プロジェクトと併せて、FOSS4Gが「本物」として認知される時代に本格的に入ってきたと思う。
 文科省宇宙利用・JSTのOSGeo4W


 ところで、今回の大阪の参加者数であるが、2日間通してのユニーク参加者数は合計146名(一般参加者96名、ゲストスピーカ14名、運営スタッフ15名、学生スタッフ21名)となり、これまでにない賑わいを見せた。

 東京が172名だったので、合計で318名。準備不足、資金不足など、様々な点で不利な条件にありながらも、過去最高の数のご参加をいただき、本当に感謝である。そして、カンファレンス準備と運営に公私の時間を問わず協力していただいたOSGeo財団のスタッフ、協力者の方にお礼申し上げたい。

 (このブログを書いている今日)8日には梅田の大阪市大サテライトキャンパスで、ハンズオンセッションが開催され、こちらも多数の参加者で賑わったと報告を受けている。全体の会期を通して、いろいろ至らない点が多々あった(舞台裏では実際に多々あったんです・・・orz)ことをお詫びしたい。

 このままでは国際カンファレンスの誘致などできない、体制を整え直さないといけないということもわかったという点で、学ぶところがたくさんあった。

FOSS4G 2010 Osaka 1日目

2010年11月07日 23時25分38秒 | OSGeo/FOSS4G
 11月5日、6日と大阪で開催されたFOSS4G 2010 Osakaに行ってきた。

 まずは、5日の様子をざっと・・

 行きの新幹線からは富士山がきれいに見えた。頂上付近にわずかな積雪があるのみ。
 車窓から見える富士山

 会場は例年通り、大阪南港ATC。毎年「関西オープンフォーラム(KOF)」の一企画として開催している。
 FOSS4G会場入り口

 午後1時過ぎから開始。開会の挨拶は、副代表の林さんから。このままずっと司会もしていただいた。
 副代表の林さん

 林さんが寝ずに作った?、講演者紹介スライド。すべてにゆるっと落ちがあるのが楽しい。
 このゆるキャラいい感じ・・

 大阪へは4回目となるJeff McKenna。講演内容は東京都同じだが、リラックスぶりがなんだか違う。
 もうおなじみ、Jeffさん

 OSM(OpenStreetMap)関西の活動を、OSGeo財団日本支部の運営委員もされている清野さんから紹介。
 OSMの清野さん

 最近よく聞く「女子部」から、Flex User Groupの活動を紹介。まだOSSへのアプローチは先かな、と思うが、Webサイトにはジオ機能実装が当たり前の時代なので、ある日気がつくとFOSS4Gを使っているようになるかも。
 FlexUG女子部の皆さん

 この頃には会場が満席状態になる。
 今年で大阪は4回目になるが、最初は大阪市大とオークニー関係者で大半を占めていた頃を覚えている私には、この人出に感激!
 満席状態の会場

 この人出が、相次ぐ女子部による吸引効果だけではないことを祈りたいが、Android女子部は1万2000名の会員中200名という希少価値。しかしながら、かなりマニアックな活動をされている様子。
 Android女子部の日高さん

 今年はPostGISのPaul氏の来日もあり、是非ということで、PostgreSQLユーザー会の石井さんにお越しいただいた。PostgreSQLはどこに強みがあるのかなど、系統的に聞くことができたのは私は初めて(不勉強ですみません)。余談だが、偶然同じホテルに宿泊しており、朝食会場で一緒に。縁がありそう。
 PostgreSQLユーザー会の石井さん

 KOFのメイン会場に設置したOSGeo財団のブース、KOFの良いところは、様々なOSSコミュニティと直接知り合えることだ。FireFoxやOpenOfficeなど、日頃からお世話になっているソフトウェアのコミュニティも多い。
 OSGeo財団ブース

 東京会場では5分間のライトニングトーク枠で披露した50枚くらいのスライドを、今度は20分を使って説明。詳しく聞けば聞くほど、FOSS4Gでここまでできちゃうんだ、という事実に改めて驚く。
 朝日航洋の嘉山さん

 バルセロナで開催されたFOSS4G2010の報告。私も参加したカンファレンスだが、自分が出ていないセッションの報告もあり、興味深い。
 帝塚山学院大学の吉田さん

 KOFに参加する魅力の一つが、この懇親会。4000円で食べ放題、飲み放題。毎年もっと多くの人と話そうと思っているが、150名を超す参加者のため、あっという間に終わってしまう。
 恒例の懇親会

 一昨年の「オバマ、オバマ・・・」を、ついつい思い出してしまう、今回終了後の地下鉄の中。
 帰りの地下鉄車内

 弁天町のホテルに毎年泊まっているが、絶景。場所に似合わない豪華な造りのホテルだが、ビジネス客はほとんどおらず、例年中国人団体客で賑わっている。
 ホテルからの夜景(西側)

FOSS4G東京 ハンズオンセッション@柏の葉キャンパス

2010年11月03日 21時45分58秒 | OSGeo/FOSS4G
 FOSS4G東京のハンズオンセッションは、今年から日程を3日目に設定し、場所も東大の柏の葉キャンパスで開催することにした。
 この理由は、昨年まではハンズオンセッション参加者が、同時に進行している発表セッションを聞くことができなかったことと、会場のゆとりの問題による。横浜組には柏の葉キャンパスは遠いのが難点・・・私は自宅から3時間近くかかってしまう。

 柏の葉キャンパス
 天候にも恵まれ、まだ新しい建物が空に映える。

 PostGIS入門
 午前中はPostGISのみの開催。定員を超える応募があり、人気の高さがわかる。説明は英語だが、チュートリアルを事前に日本語に翻訳し、しかも会場では通訳とヘルプ員として日頃からPostGISを使い倒しているオークニーのエンジニアがアシストしたので、多分大丈夫だと思う。朝早くから来場した参加者は、Paulによる「A列車で行こう」の歌を聴けた幸運な人達でもあった。

 ところで、開催の直前になって、wifi接続がうまくいかないトラブルに直面した。20名を超える参加者のためにどうしたかというと、スタッフが持参していたポケットwifiや、wimax端末を数人ずつでシェアして切り抜けるという、きわどい回避策で対処。あ~焦った!

 QGIS入門
 人気のQGIS入門セッション。嘉山さんによる進行。QGISはここ2年位で爆発的に多機能化したので、最近は「え、こんなことまでできるの!」という驚きも多い。なので、入門セッションといえども、とても役に立つ。どうやら商用製品が後手に回るフェーズが近そうだ。

 MapServer入門
 定番のJeffによるMapServer入門。こちらにも、通訳兼ヘルプとしてオークニーのエンジニアがアシスト。この時間帯はQGIS、pgRouting、OpenGeoSuiteと4コマ同時進行なので、QGIS部屋にいた小生は他の部屋は写真撮影のみ。

 pgRouting
 おなじみのダニエルさんによる、OpenStreetMapをネットワークデータとして使ったハンズオン。今回は、2005年当時にpgRoutingの開発プロジェクトの指揮を執っていて、到達圏検索プログラムの実装を行ったマリオさんが久々にヘルプメンバーとして復帰。

 OpenGeoSuite
 オープンコンシェルジュの杉浦さんによるハンズオンセッション。GeoServerだけでなく、最近のOpenGeo製品への関心が高まっているが、OpenGeoSuiteとしては日本初のハンズオンとなった。
 
 MapGuide
 オートデスクの井上さんによるMapGuideのハンズオンセッション。CADとGISの融合ができる点に魅力を感じる人達が集まっている。

 QGISプラグイン
 LuizさんによるQGISにおけるプラグイン開発。2時間の枠では収まりきらず、なんと1時間もオーバーしてしまった。あまりにも長いので、私が「It is time to drink!」と話したら、ぴたっと終わった。

 ZOO
 Geraldと応用技術の林さんによるZOOのセッション。締め切りギリギリになって急に参加希望者が増え、満席状態。こちらも時間が足りなくて、30分超過。

 QGIS+R
 統計解析ソフトのRとQGISを組み合わせたハンズオンセッション。実はこれが一番人気。予備席も埋まるという満員御礼状態。先週のGIS学会でも同様なセッションが行われたこともあり、スムーズに進み、こちらは時間内に収まる。


 ということで、口座数を大幅に増やして独立開催したハンズオンセッションは、あまり宣伝ができなかったにもかかわらず、大盛況となった。ただ、講座によっては準備の手際に問題が発生したりして、スムーズに行かないものもあったので、その点は改善していきたい。

 最後に、最適な環境を提供してくれた東京大学CSISに、心から感謝したい。

FOSS4G 2010 Tokyo カンファレンスの報告

2010年11月03日 17時25分39秒 | OSGeo/FOSS4G
 FOSS4G 2010 Tokyo/Osakaは、今年も東大駒場第二キャンパスで始まった。
 昨年と違って、リアルタイムに近いスピードでの報告ができなくて恐縮だが、手元の写真からいくつか報告。

1日目
 さらにクオリティの進化が実現したポスター

 実は、FOSS4G Tokyo/Osakaは、(ポスターセッションじゃなくて)告知ポスターのクオリティの高さにお褒めの言葉をいただいている。今年は、新たにスポンサー企業となった北海道地図様の気鋭のデザイナーの参加により、怒濤のポスター群を制作した。ちょっとではないクオリティを体感して欲しい。このページの下の方からも見られるのでぜひ。

 開場前に揃った基調講演者
(左からPaul Ramsey, ラガワン先生, Gerald Fenoy, Luiz Mottaの各氏;もう一人Jeff McKenna氏は1日目夜に到着)

 今年の講演者は、日本からを除くと北米、南米、欧州と地理的にさらに広がった。1日目は、このうちPostGISコミュニティのリーダーであるPaul Ramsey氏による講演が行われた。

 日曜日でもあり、開始時刻の午後1時ギリギリになっても、人の集まりが今ひとつ(例年そうだが・・)。それでも、徐々に人が集まってきた。
 受付の様子


 毎年、私の挨拶でスタートするが、今年は思い切って英語による挨拶を行ってみた。FOSS4G国際カンファレンスの誘致をいずれは狙う日本支部としては、こういう場で度胸だけはつけておかないと・・・・・

 さて、Paul Ramsey氏の基調講演は、2009年のシドニーで開催されたFOSS4Gでの”伝説”の名プレゼンをベースにアレンジされたものである。別ディスプレイに日本語訳のスライドも用意したので、参加者にその内容がよく伝わったと思う。オープンソースがキャズムを乗り越えられるかどうか・・という示唆に富んだ問題提起と解説は、私の仕事での課題でもあるので、何度聞いても意義深い。

 昨年と同じく、1日目は「コミュニティデイ」と称して、FOSS4Gそのものではないけど、「ジオな人達2010」ということで、オープンでジオに関連のありそうなコミュニティから講演者を招いてお話をしていただいた。詳細はタイムテーブルをご覧いただきたい。

 で、いつもなら、ここで講演者の写真を交えながら説明をするのだが、私自身が最初の挨拶で緊張しすぎたのか?何と1枚も撮影していないことに気がついたのは、懇親会の前orz すみません。

 と言うことで、今年はこちらをどうぞ。

 ジオな人達2010を聴いていて思ったのは、Google Earthがジオなクラウドとして完全に定着していること。特に若い人達は、これがあることを前提にスタートしているプロジェクトも多い。Google Earthどころか、GISすら無かった時代に学生時代を送った小生には、「嗚呼隔世の感」。あ、それから最近絶賛爆発中のジオドルがFOSS4G東京にやってくるなんて、世も末、いや時代が変わったなぁ。


懇親会
 懇親会の様子
 今年も懇親会は大盛況であった。初めて参加される方も多かったみたいで、間違いなくこのコミュニティは広がっていると実感。

 懇親会でもライトニングトークが行われた。こちらも思ったのだが、FOSS4Gネタが次から次へと出てくるのには感心感心。みんなすごいなぁ。

 ジオドルの皆さん、お疲れ様でした!


2日目
 FOSS4G東京の2日目は「コアデイ」ということで、基調講演の他は、FOSS4Gの事例や技術発表を多数集めた。

 ブラジルからLuiz Motta

 日本から最も遠く、はるばるブラジルから2日間かけて来にしたLuiz氏による基調講演、政府機関に勤務する氏は、プロジェクト遂行のためにFOSS4Gの採用を決意し、QGISに新たな機能をプラグインとして開発して付け加えたという事例紹介。氏が強調したことは、オープンなコミュニティなので、成果をコミュニティに返すことができ、誰もがそれを享受できることの意義だった。

 来日4度目となるJeff McKenna
 
 2008年も来日公演を行ったおなじみのJeff氏。FOSS4Gカンファレンス部門の責任者として、バルセロナでの報告(WMSベンチマークの結果含む)、昨年度も大阪市大でOSGeo4Wの国際化プロジェクト遂行に関わり、その報告、さらに彼の「本籍」であるMapServerコミュニティのリリース計画など、30分間で盛りだくさんの情報提供。

 GEOGridプロジェクトの報告
 産業技術総合研究所(産総研)のGEOGrid開発チームでもあるオークニーの丹羽からの報告。このプロジェクトは、FOSS4GとOGCスタンダードがてんこ盛りであり、ここまで実装ができているものは他には聞いたことがない。今まで、実装の視点からの報告はされていなかったので、この発表が国内国外含め、初めてと思われる。

 オートデスクの井上氏
 われわれOSGeo財団日本支部にとって無くてはならない受付係(\バキッ)、いや副代表の井上さんからの発表。何故オートデスクがオープンソースとしてMapGuideなどを提供しているのか、という”謎”を解き明かす。Paulの基調講演でもあったが、すべてのIT企業はオープンソースカンパニーになっていくという流れで見ると、とてもすっきりと理解できる。今や、巨大なソフトウェアベンダーは、プログラム自体で商売するのでは無いということだ。

 マップコンシェルジュの古橋氏

 多彩な顔を持つ古橋さんの本業の一つ(全然説明ならん・・)であるマップコンシェルジュとして、OpenGeoの製品、OpenGeo Suiteについての紹介。9月のバルセロナでオークにと一緒にOpenGeo Suiteのリセラー契約をOpenGeoと交わして以来、初めての公式の場での説明(のはず)。この製品は現在ローカライズ中で、年内いっぱいを目処に仕上がる見込み。

 応用技術の杢氏
 オートデスク製品のソリューションプロバイダとしての実績が豊富な応用技術からは、MapGuideの体験サイト構築の開発事例を発表。オートデスクは製品としてMapGuide Enterpriseを販売しているが、コアプログラム自体はMapGuide Open Sourceと同一でもあるので、MapGuideでの開発計画のある人にとっては有益な情報となったはず。


 北海道地図の朝日氏
 北海道地図は開発拠点が旭川市にあるが、そこの開発チームからの事例発表。自治体への導入事例が着実に増えていることがわかりうれしい。大変オーソドックスなツールの採用で、無理や無駄がない。FOSS4Gの普及と浸透を実感する。

ライトニングトーク

 5分間制限でポイントを伝えるライトニングトークは、話す方も聞く方も神経を集中させることができるのでとても面白い。

 月の杜工房の山手氏
 OSGeo財団日本支部の運営委員として、特に技術に造詣の深い山手さん。定型的な処理を行う場合、それ専用のUIを持ったツールを開発してしまった方が便利なことが多い。QGISはそのためのAPIを豊富に持っており、山手さんは、これを活用したツールの開発事例の発表。もうこれからは、デスクトップのカスタマイズアプリ開発はQGISがスタンダードになりそう。

 オークニーの平敷
 昨年度から「チームOSGeo」で進められている「文科省宇宙利用プロジェクト」の成果報告。衛星データを活用するために、高価なGISソフトが無くても大丈夫な時代にすべく、このプロジェクトは着々進んでいる。昨年度はGRASSとQGISのメニューの日本語化とWindows7インストーラ、利用チュートリアルを作成した。昨年度の成果は、こちらからダウンロードできる。

 野村総研の植村氏
 GRASS本の翻訳と自費出版で、日本のGRASSユーザーの敷居を大きく下げてくれた植村さん。現在氏を中心に、「FOSS4Gハンドブック」の執筆が進行中である。来年春頃を目指している(あ、事例紹介をしなくちゃ・・・)。ちなみに、GRASS本は順調に販売が伸び、もう680冊に。

 GeoHexの笹田氏
 GeoHexを知らない人は、最近のジオ業界のモグリといわれる位、今ブレーク中のオープンな規格。なぜGeoHexかって? 格好いいからですよ。六角形が・・・ と言うことで、笹田さんからはしゃべりは日本語、スライドは英語という、大変効率的なプレゼン。さて、Paulに聞かせて、世界進出の目処が立ったかな。

 朝日航洋の嘉山氏
 嘉山さんといえばライトニングトーク、といわれる位なのだが、このプレゼンはバルセロナと先週のGIS学会で20分枠で発表したものを5分で行うという、無茶振り系のアプローチ。ところが、来場者の大方の予想を大きく裏切り、時間を数秒余らせてすべてを終えた。また新しい伝説が生まれた。で、発表内容は、QGISをビューアとして、GRASSとpgRoutingを活用した洪水時の避難経路シミュレーションで、FOSS4Gでここまで実装できてしまえば、商用製品は不要ということだ。


 ジオリパブリックのダニエル氏
 昨年11月にオークニーから独立して、ジオリパブリックを設立したダニエルさん。pgRouting専門企業として忙しい毎日を送っているらしい。pgRoutingは、日本で開発が進められ、世界に認められている貴重なFOSS4Gプロジェクトである。嘉山さんの事例でもpgRoutingが使われているなど、国内での事例も着実に増えている。要注目!


セッション

 国土地理院の鎌田氏
 昨年のFOSS4G東京での、鎌田さんによる、電子国土をオープンソースで構築するという発表に沸いたのだが、今年はそのアップデート。既に開発は進捗していて、来年度の早い段階に世に出る模様。今までの電子国土の歴史を説明する際に、初号機、弐号機・・・と出てきたのには噴いてしまったorz

 ジオリパブリックの関氏
 ジオメディアサミットの主宰者でもあるシリウスラボの関さんは、ダニエルさんと同じジオリパブリックのメンバーでもある。OpenVRPは、オンデマンドの交通システムを実現するためのオープンソース(予定?)プロジェクト。多くの顔を持つ関さんだが、今回はその立場での発表。

 オープンコンシェルジュの中村氏
 NPO法人となったオープンコンシェルジュからは、オープンカフェシステムの説明。OpenGeoSuiteと一見似た感じにも見えるが、オープンカフェシステムはCMSまで含めた作りとなっていて、そこが味噌。それにしても、皆さん学生のノリで楽しそう。

 オークニーの小池
 PostLBSという、地理的可視化のためのWebAPIの説明。これは9月のバルセロナで発表した内容の日本語版。現在どこまでをオープンにするかどうか、オークニー社内で議論中。みんな出しちゃおうかな・・・という誘惑に駆られるのは何故なんだろうか?

 防災研の田口氏
 思わず突っ込んでしまった「相互運用により取得したハザードマップと人口統計データとWPSによる被害想定アプリケーションの開発」という長~いタイトル。さらに、所属も「独立行政法人防災科学技術研究所 防災システム研究センター」というこれまた記録的に長いのだが・・。これはかなり作り込まれたアプリケーションなのだが、FOSS4GとOGCスタンダードをフル活用して作られているというてんで要注目。


インタビュー

 記念撮影に臨むPaul氏
 2日間のカンファレンスの終了後に、Paulは月刊ASCII.technologiesの取材を受けた。PostGISの責任者として初来日ということもあり、PostGIS開発の歴史も含めたインタビューとなった。通訳はオークニーの村上が担当。


 ということで、2日間にわたるカンファレンスは盛況のうちに終了した。

 今年のユニーク来場者数は、10月31日が66名、 11月1日35名でTotal 101名。昨年が77名だったので、3割増加した。ゲストスピーカーとスタッフをあわせると、170名を超える規模になった。カンファレンスの企画、手配が昨年よりも半月以上遅れる中で、ギリギリの中でご協力いただいた皆さん、参加された皆さんに心から感謝。ありがとうございました!!

 なお、11月2日のハンズオンセッションについては、別途報告予定。