OSGeo財団の本家の役員選挙が先日行われ、Arnulf Christl、Daniel Morissette、Frank Warmerdam、Tim Schaubの4名が選任された。
役員はOSGeo財団の運営を行っており、この役員から代表者が選出されている。任期は2年で、毎年半分が改選されることになっている。
再任が認められているので、実績(人気)がある役員は継続して選出される。今回は、ArnulfとFrankが再選された。
立候補するには、まず本人がCharter memberでなければならない。そして、投票権もこのCharter memberにのみある。Charter membermは、これまた投票で選ばれる(私をはじめとして日本人も数名)。
なお、役員選挙の仕組みはこちらに解説があるので、詳しくはご覧いただきたい。
今回は、ラガワン先生も立候補されたのだが、残念ながら当選には至らなかった。ここには、OSGeoの運営が、欧米(特に北米)に重きを置いていることが原因で、ラガワン先生の実績や能力とは関連性があまりない。選挙権のあるCharter memberの氏名を見ても、どう見ても英語圏の名前である人が半分はいる。アジア系と思われる名前は数名のみで、この比率が役員選挙にどうしても反映してしまう。
ちなみに、今回の役員選挙の結果、現在の役員は下記の通りとなっている。
* Arnulf Christl(ドイツ)
* Chris Schmidt(アメリカ)
* Daniel Morissette(カナダ)
* Frank Warmerdam(カナダ)
* Geoff Zeiss(カナダ)
* Jeff McKenna(カナダ)
* Markus Neteler(ドイツ)
* Ravi Kumar(インド)
* Tim Schaub(アメリカ)
9名のうち、北米が7名、欧州が1名、アジアが1名だ。南米とアフリカからはゼロだ。
欧州でのFOSS4Gの浸透を考えると、欧州からは3名位いてもおかしくないが・・・
オープンソースコミュニティは、他のIT産業と同じように、歴史的には発展した先進工業国で発生して、成長してきた。FOSS4Gツールの誕生と開発プロジェクトの運営母体、その後の発展は、北米と西欧を中心とした工業国から始まった。アジアにおいては日本での普及が欧米型に近いものの、他の諸国はITそのものが民生分野に普及するのが遅れがちで、結果的にFOSS4Gツールを推進するローカルコミュニティ(=OSGeo財団の各地域支部)も未熟である。こうした傾向が残る限り、役員選挙における北米の圧倒的優位は続くだろう。
それから、言葉の問題がある。日本でのコミュニティ運営には英語はまず不要だ。英語を使うフェーズは、日本語を理解しない相手がいた時だけである。だから、英語圏の人からは、「日本のOSGeo財団ってHPを見ると(読めないけど)結構活発そうだけど、いったい何やってるのだろう??」という風で、”透明性”が結果として下がってしまう。「では、積極的に英語で発信したらどう?」という意見もあろうが、すべての活動を英語で発信したら日本では活動は成り立たないし、イベント的なところだけを英語のメーリングリストで書く程度では、インパクトに乏しく現状の打開にはほど遠い。
これは中国でも韓国でも同じだろう。例えば、中国支部はHPでその活躍を垣間見ることができるが、日本人なら漢字がある程度読めるのでまだ理解できるが、英語圏の人には写真を見て様子を想像するしかない(ここでもラガワン先生が活躍!)。結果的に、コミュニケーションは地域単位に閉じてしまう。
そこで、日本支部では、毎年のFOSS4G Tokyo/Osakaで、「本家」のキーマンを招き、そこでの日本支部のメンバーとの交流を通じて、活動をPRしている。幸い、日本は貨幣価値が高いので、こうした招聘は他のアジア諸国よりも費用面でのハードルが低いし、日本経済の諸先輩の尽力のお陰で、日本そのものへのイメージが良いので、はるばる遠く極東まで喜んで来てもらうことができている。また、例年のFOSS4G(本家の)カンファレンスで開かれる、OSGeoの年次総会で、日本支部の活動をスライドにまとめて簡単に報告している。その場を通じても、日本支部の活動はOSGeo財団の活動の一部として、適切な認知が得られるよう努力している。
来月6日から9日までバルセロナで開催されるFOSS4G2010は、私にとっては、OSGeo財団の支部と本部、支部と支部が直接交流できる年1回の貴重な場でもある。
役員はOSGeo財団の運営を行っており、この役員から代表者が選出されている。任期は2年で、毎年半分が改選されることになっている。
再任が認められているので、実績(人気)がある役員は継続して選出される。今回は、ArnulfとFrankが再選された。
立候補するには、まず本人がCharter memberでなければならない。そして、投票権もこのCharter memberにのみある。Charter membermは、これまた投票で選ばれる(私をはじめとして日本人も数名)。
なお、役員選挙の仕組みはこちらに解説があるので、詳しくはご覧いただきたい。
今回は、ラガワン先生も立候補されたのだが、残念ながら当選には至らなかった。ここには、OSGeoの運営が、欧米(特に北米)に重きを置いていることが原因で、ラガワン先生の実績や能力とは関連性があまりない。選挙権のあるCharter memberの氏名を見ても、どう見ても英語圏の名前である人が半分はいる。アジア系と思われる名前は数名のみで、この比率が役員選挙にどうしても反映してしまう。
ちなみに、今回の役員選挙の結果、現在の役員は下記の通りとなっている。
* Arnulf Christl(ドイツ)
* Chris Schmidt(アメリカ)
* Daniel Morissette(カナダ)
* Frank Warmerdam(カナダ)
* Geoff Zeiss(カナダ)
* Jeff McKenna(カナダ)
* Markus Neteler(ドイツ)
* Ravi Kumar(インド)
* Tim Schaub(アメリカ)
9名のうち、北米が7名、欧州が1名、アジアが1名だ。南米とアフリカからはゼロだ。
欧州でのFOSS4Gの浸透を考えると、欧州からは3名位いてもおかしくないが・・・
オープンソースコミュニティは、他のIT産業と同じように、歴史的には発展した先進工業国で発生して、成長してきた。FOSS4Gツールの誕生と開発プロジェクトの運営母体、その後の発展は、北米と西欧を中心とした工業国から始まった。アジアにおいては日本での普及が欧米型に近いものの、他の諸国はITそのものが民生分野に普及するのが遅れがちで、結果的にFOSS4Gツールを推進するローカルコミュニティ(=OSGeo財団の各地域支部)も未熟である。こうした傾向が残る限り、役員選挙における北米の圧倒的優位は続くだろう。
それから、言葉の問題がある。日本でのコミュニティ運営には英語はまず不要だ。英語を使うフェーズは、日本語を理解しない相手がいた時だけである。だから、英語圏の人からは、「日本のOSGeo財団ってHPを見ると(読めないけど)結構活発そうだけど、いったい何やってるのだろう??」という風で、”透明性”が結果として下がってしまう。「では、積極的に英語で発信したらどう?」という意見もあろうが、すべての活動を英語で発信したら日本では活動は成り立たないし、イベント的なところだけを英語のメーリングリストで書く程度では、インパクトに乏しく現状の打開にはほど遠い。
これは中国でも韓国でも同じだろう。例えば、中国支部はHPでその活躍を垣間見ることができるが、日本人なら漢字がある程度読めるのでまだ理解できるが、英語圏の人には写真を見て様子を想像するしかない(ここでもラガワン先生が活躍!)。結果的に、コミュニケーションは地域単位に閉じてしまう。
そこで、日本支部では、毎年のFOSS4G Tokyo/Osakaで、「本家」のキーマンを招き、そこでの日本支部のメンバーとの交流を通じて、活動をPRしている。幸い、日本は貨幣価値が高いので、こうした招聘は他のアジア諸国よりも費用面でのハードルが低いし、日本経済の諸先輩の尽力のお陰で、日本そのものへのイメージが良いので、はるばる遠く極東まで喜んで来てもらうことができている。また、例年のFOSS4G(本家の)カンファレンスで開かれる、OSGeoの年次総会で、日本支部の活動をスライドにまとめて簡単に報告している。その場を通じても、日本支部の活動はOSGeo財団の活動の一部として、適切な認知が得られるよう努力している。
来月6日から9日までバルセロナで開催されるFOSS4G2010は、私にとっては、OSGeo財団の支部と本部、支部と支部が直接交流できる年1回の貴重な場でもある。