横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

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チャンギ国際空港に思う

2005年10月08日 13時18分05秒 | スローライフ
昨夜シンガポールのチャンギ国際空港に到着した。実はシンガポールを訪問するのは初めてで、噂通りの空港の規模、機能性、美しさには感心した。それに比べて、出国するときの成田と言ったらあまりにも情けない。セキュリティチェックの列で20分、出国審査で40分、、、連休前とは言え、とても国際空港の処理能力とは思えない。

人口400万人少々のシンガポールという国が、アジアの中でも最重要級のハブ空港を運営できている。一方、人口1億2000万人の日本は、ハブの地位ではなく”日本の玄関口”空港である。航空機による旅客と物流が経済的な地位を大きく左右するのが明白な状況下で、国益の損失も甚だしい。

最近はソウル仁川空港の台頭が東アジアで大きく、すでに発着便の規模では成田を超えようとしている。大韓航空はスカイチームのアジアにおける事実上唯一の存在として韓国の国力以上のパフォーマンスを示している。もともと日本はアメリカから見た際に大圏コース的にも近く地理的には東アジアのハブを獲得できる優位性を持っている。1947年、ノースウエスト航空が日本に一番早く定期航路を就航させた理由もそこにある。ノースウエスト航空は現時点で成田をアジア航路のハブとして米系航空会社の中では最多のアジア路線を運行しているが、成田空港の発着枠が増えないことによって、特に中国路線の拡大がなかなか出来ずに機会損失に甘んじている。「成田は国際線」の原則の縛り+外国航空会社への規制によって、ノースウエスト航空は収益性の高い国内線を運行できていない。

一方、最近は羽田の拡張が注目を浴びているが、国交省はここからの国際線を2000キロ未満に限定しようとしている。この意味は、韓国路線しか対象にしないと言うことである。ちょっと待って欲しい、日本国民の税金は、短期的には払った人の利便性の向上であり、長期的には国力の増大につながらなければならない。羽田の拡張はそれに合致しているのか?どこの航空会社も自社路線+マイレージアライアンスで旅客の利便性を提供している時代に、「羽田からは韓国のみ」がどれだけ国力の増加につながるのか、大いに疑問である。

ニューヨークは国際空港がJFKとEWRの二つあり、たとえばコンチネンタル航空はEWRに集約しているし、アメリカン航空等はJFKである。それは自由競争と企業戦略によって成立している。日本の首都圏にあっても、”成田は国際線、羽田は国内線”など利用者の利便性を無視したような政策を改め、同じようにするべきである。当然成田の方が不便であるので、着陸料が安くなってしかるべきである。安くなれば、米系を中心にそれを活用する航空会社も出てくるはずだ。

シンガポールが海上交通時代の要衝にあり、航空時代への移り変わりの中でも確実にその地位をキープしようと実績を積み重ねているのに、同じく東アジアの海の要衝である日本が、戦略性の欠けた航空政策で地位を下げている。納税者として本当に情けない。