横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

イラクから来たタクシードライバー

2005年10月20日 13時11分25秒 | スローライフ
ホテルからオタワ国際空港に向かうタクシーで、ドライバーと気候や景気の話などをしていて、「ところでオタワに何年住んでいるの?」と話を向けたら14年だという。中近東系の風貌で発音もなまりがあるので(かくいう私も未だにLとRの発音が身に付いておらず、今日も”ラウンジ("L"ounge)はどこにあるのか”という質問がなかなか通じなかった、、、トホホ)、どこから来たかと聞くと「イラクだ」とのこと。イラクのどこからかと聞くと「南部からだ、バグダッドに比べれば(テロが少ないので)まだ落ち着いている場所だ」との回答。

彼によれば、向こうでは学校の先生をしていて、サダムフセインの迫害を逃れるためにカナダに家族で来たらしい。昨年ようやくフセイン政権が崩壊したので、郷里に家族で一時帰国したが、とてもまだ家族を安心して住まわせる状況ではないのでカナダに戻ってとどまっているという。今イラク南部は生活インフラがずたずたで、電気、水道、通信設備いずれも悲惨な状態だそうだ。

それでも話の端々に、時が来たら国に戻って教師をやりたいという気持ちが伝わってくる。国を捨てざるを得ない事態に追い込まれたが、それは不本意であって本当は生まれ故郷を愛しているし、何らかの貢献をしたいのだろう。

先日ここで私は日本を捨てても良いようなことを書いたが、彼と話をしているうちに、それは日本に対する深い愛着の裏返しの心理であることを自覚した。日本という国が、将来のビジョンを持ち、独立して安定して確固たる存在であり、それが故に国民のモチベーションが形成され、努力をすることが喜びとなるような、そんな国であって欲しい。残念ながら今それが失われているのが日本である。

最後に彼が「良い話ができてありがとう(Very nice talking)」と真顔で言ってくれたのが印象的であった。