またしても訃報である。いきなりだが、ロビー・ロバートソンが8月9日に亡くなっていたらしい。知らなかった。これで、ザ・バンドのオリジナル・メンバーで存命してるのは、ガース・ハドソンだけになってしまった。悲しい現実だ。享年80歳。謹んでご冥福をお祈り致します。
かなり以前だが、レコード・コレクターでザ・バンドの特集が組まれた際、「ザ・バンドは、飲んで歌ってその日を楽しく過ごせればOKという音楽バカ4人と、もうちょっと先の事も考えようという現実的な野心家1人とで構成されていた」という意味の記述があったのを覚えているが、この現実的な野心家というのが、ロビー・ロバートソンのことだ。有能なソング・ライターでもあった彼からすれば、将来が全く見えないドサ回りの生活を続けていくのは不安で仕方なかっただろうし、メジャー・デビューはしたものの、先の展望がまるでないバンドの方向性にも不満だったろう。ツアーに明け暮れる生活から抜け出し、家族と過ごす時間を増やしたい、という思いもあり、ロビー・ロバートソンはザ・バンドの解散を提案し実行に移す。有名な『ラスト・ワルツ』ですな。彼は、もちろんメンバーに内緒でワーナーと交渉し、解散コンサートのソフト化権を手土産に、ワーナーと契約する事で話はまとまっていたとか。もちろん他のメンバーは激怒したそうだが、解散コンサートは行われた。何年か後に、ザ・バンドは再結成されるが、そこにロビー・ロバートソンの名前はなかった。
正直言うと、ザ・バンドはあまり聴いてない。やってる音楽とかは決して嫌いではないのだが、やたらと評論家ウケがいいので、反発して聴かなくなった(笑)MFCオーナーは、そーゆーヤツである(爆) でも、『イージー・ライダー』で知った「ザ・ウェイト」は好きだったし、ロックに興味を持つきっかけにもなった曲でもある。前述の『ラスト・ワルツ』も結構好きで、そこで「ロッキー越えて」「クリプル・クリーク」「ステージフライト」といった名曲たちに接し、ロビー・ロバートソンの才能には感服した。『ラスト・ワルツ』以降は、サントラを手がけたりしてたらしいが、目立った活動がなくて残念だ。
やすらかにお眠り下さい。
もう1人訃報である。ホワイトスネイクでお馴染みのバーニー・マーズテンが亡くなったそうな。享年72歳。こちらはまだ若い。謹んでご冥福をお祈り致します。
今更説明不要だが、ギタリスト、ソングライターとして、ミッキー・ムーディと共に70年代のホワイトスネイクを支えた人である。何故か、ミッキー・ムーディの方が目立ってた感はあるが、「フール・フォー・ユア・ラビング」「スイートトーカー」「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」等々貢献度は決してひけは取らない。派手なプレイをする人ではなかったのかな。ホワイトスネイク以外だと、コージー・パウエルのソロ・アルバム『オーバー・ザ・トップ』に「エル・シド」を提供し、ギターも弾いているのだが、この曲がとにかくカッコいいのである。このアルバムのハイライトと言ってもいいくらい。ただあまり目立ってないけど(苦笑) 未聴の方は是非聴いてみて下さい。
この度の訃報で思い出したのだが、バーニー・マースデンといえば、こんなCDを持ってる。
バーニー・マースデンとミッキー・ムーディによるスネイクスというバンドのライブ盤で、収録曲は全てホワイトスネイクのレパートリー、ボーカルは無名だけど、デビッド・カバーデイルに呆れるくらいそっくりで、何気に聴いてるとホワイトスネイクの音の良いブートみたいに思えてくる、という珍品(笑) ドン・エイリーもメンバーにいたりするもんで、ほんとそれっぽくて笑ってしまいます(笑) ご存知の方も多いと思うが、機会があったら聴いてみてね^^
ところで、唐突だが、最近買ったCDから。
The Six Wives Of Henry Ⅷ/Rick Wakeman
以前にも書いた記憶があるが、僕は割と日本史は好きだが、世界史はよく分からない。色々な国の事が並行して出てくるし、人の名前も覚えにくい(特に英語圏でない国の人)。なので、世界史には疎いのだが(日本史なら詳しい、というのでもないが^^;)、たまに、ちょっとしたきっかけで興味を持つ事もある。今回がそのパターンだ。
リック・ウェイクマンについては、説明不要だろう。ご存知ブリティッシュ・プログレの重鎮であり、プログレの代表的バンド、イエスの主要メンバーでもあった。古き良きプログレに於いては、キーボードがバンドの花形でありスターであったが、リック・ウェイクマンはキース・エマーソンと並ぶ、ブログレ・キーボード奏者の2大巨頭だった事はよく知られている。1970年代のプログレ・キーボードのスタイルを作り上げてプログレ人気を牽引したのは、実はこの2人だと言ってしまってもいい。テクニックや音楽性もさることながら、「見せる」或いは「魅せる」キーボード奏者でもあった。この2人がいなかったら、プログレ人気は、もっと地味だったかも。
そんなリック・ウェイクマンは、70年代はイエスと並行してソロ活動も行っていた。この『ヘンリー8世の6人の妻』は、1973年に発表されたソロ・アルバムで、おそらく『アーサー王と円卓の騎士』と並ぶ、リック・ウェイクマンの代表作であろう。クラシックの素養があり、著名な作曲家の作品を引用するのに加え、史実や古典文学を題材にしたコンセプト・アルバムを発表することで、プログレに知的なイメージを付加して、人気上昇に多大な貢献をした、というのもリック・ウェイクマンとキース・エマーソンの大きな功績だ。
で、『ヘンリー8世の6人の妻』である。テューダー朝第2代のイングランド王であるヘンリー8世(1491-1547)は、カトリック教会からイングランド国教会を分離したことで知られている。ローマ教皇庁と対立し、修道院を解散し、自ら国教会の首長となったが、ローマに破門されてもカトリックへの信仰心は失わなかった。とここまではウィキペディアの受け売り(笑) 先程、僕は西洋史が苦手と書いたが、その要因のひとつに、海外、特にキリスト教圏の宗教観というか、そういうのが全然理解出来てない、というのがある。恥ずかしながら、カトリックとプロテスタントの違いも分からんし(汗)
で、このヘンリー8世だが、生涯6度結婚した事でも知られる。その6度の結婚で得た妻、つまり、キャサリン・オブ・アラゴン、アン・ブーリン、ジェーン・シーモア、アン・オブ・グレーブス、キャサリン・ハワード、キャサリン・パー、の6人をテーマにしたのが本作なんである。妻たちの名前をタイトルにした6曲が収録されており、いずれもインストだ。それも、ピアノやシンセ等でのソロ・プレイではなく、バンド形式でプログレ的な演奏を聴かせる。これが実に素晴らしいのだ。全てリック・ウェイクマンの自作で、いかにも古き良きプログレという雰囲気。妻たちの名前が曲名になってるので、彼女たちのイメージに合わせて作曲したのだろうが、こっちはご本人たちを知らないし、そこはあまり気にしなくても十分に聴き応えのあるアルバムとなっている。今更ながら初めて聴いたのだが、実は、このリック・ウェイクマンの『アーサー王と円卓の騎士』を昔聴いてみたら今イチだった、という経緯があったもんで、ずっとスルーしていたという次第。『アーサー王~』も、ちゃんと改めて聴いてみなければ(汗)
ヘンリー8世が6度も妻を娶ったのは、跡継ぎは絶対に男子でなければ、という考えがあり、男子を熱望したからと言われている。が、3番目のジェーン・シーモアとの間に生まれたエドワード6世が、1547年に10歳でイングランド王に即位するが6年後に亡くなり(元々病弱だったらしい)、その後、1番目の妻キャサリン・オブ・アラゴンとの間のメアリー1世、2番目の妻アン・ブーリンとの間のエリザベス1世が続けて王位に、つまり女王となる。そのエリザベス1世及び彼女に仕えるウイリアム・セシルを主人公にした漫画(コミックと呼んだ方がいいのか)『セシルの女王』が現在ビッグ・コミック・オリジナルに連載されており、それを読んでヘンリー8世や妻たち子供たち、時代背景その他に興味を持ち、少し勉強したら、漫画も理解しやすくなって(笑)、毎回次の展開が楽しみで仕方ない、という状況なのだが、そんな中でリック・ウェイクマンの『ヘンリー8世の6人の妻』の事を思い出し、聴いてみたという次第である。前述の”ちょっとしたきっかけ"というのは、こーゆー事である(笑)
ま、内容は何であれ、今更と言われるだろうが、年は取っても新しい事を知るのは楽しい。今回のヘンリー8世に関しては、実に有意義な体験だったと思う(ちょっと大げさ)。ただ、驚くのは、6人の妻のうち3人の名前が"キャサリン"であること。元々イングランドには多い名前なのか、それとも、やんごとなき家柄の人たちに多い名前なのか。現在の英皇太子妃もキャサリンさんだし、ま、色々と英国的な感じはする(意味不明)
前述したように、リック・ウェイクマンはブリティッシュ・プログレ界の重鎮であり、プログレの発展に多大な貢献をした重要人物、今風に言うならレジェンドな訳だが、現在も音楽活動を継続しつつ(非常に精力的な多作家で、これまでに100枚以上のアルバムを制作しているという噂もある)、テレビにも出演し、日本風に言うならバラエティ番組に数多く出てるらしい。レジェンドたちの訃報も多い昨今、いつまでも元気で頑張って欲しい、と思うのは決して僕だけではあるまい。本当に、そういう印象はないかもしれないが、実は凄い人なんだからね、リック・ウェイクマンは(笑)
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