日々の覚書

MFCオーナーのブログ

想い出のアルバム-INTUITION

2009年12月05日 14時02分29秒 | 想い出のアルバムシリーズ

Tnt

インテュイション/TNT(1989)

1.ア・ネイション・フリー
2.コート・ビトウィーン・ザ・タイガー
3.トゥナイト・アイム・フォーリング
4.エンド・オブ・ザ・ライン
5.インテュイション
6.フォーエバー・シャイン・オン
7.ラーン・トゥー・ラブ
8.オーディナリー・ラバー
9.テイク・ミー・ダウン(フォールン・エンジェル)
10.ウィスダム

就職した時、同期入社にメタラーがいた。彼はBURRN!の熱心な読者であり、そっち方面の知識は豊富だった(笑) “様式美”とか“拡散美”とかいう言葉を知ったのも、メタリカやメガデスの名前を聞いたのも、全て彼を通じてだった。ま、丁度いい機会でもあり、今まで聴いた事なかったHR/HM系を、あれこれと聴かせて貰ったが、そんな中で気に入ったのがTNTだった。

TNTと言っても知らない人も多いだろう。ノルウェーのバンドで、1983年にデビューしたそうな。僕が例のメタラーから最初に聴かせて貰ったのは、1984年の2nd『ナイツ・オブ・ニュー・サンダー』だった。実にオーソドックスなスタイルのハードロックで、1曲目の「セブン・シーズ」やラストのタイトル曲にも顕著な、メロディアスな曲調とドラマチックな展開もツボだった。テンションの高い曲が並ぶA面と比べ、B面になると気の抜けたような曲が続くのもご愛敬で(笑)、良くも悪くもB級の香りがするのもよかった。後追いだったけど、僕にとってTNTは注目のバンドとなったのである。

続く3rd『テル・ノー・テイルズ』(1987年)で、TNTはポップな作風に路線変更する。アメリカ進出を視野に入れていたのだろう。元々曲作りに長けたバンドだったこともあり、前作にあった重厚さは消え、スピード感に溢れたキャッチーな曲が並ぶアルバムとなった。とはいえ、すっかりアメリカンになってしまった訳ではなく、どことなく北欧のバンドらしい叙情性を感じさせたりもして、そこがまた良かった。よく聴いてたなぁ。

そして、1989年に発表されたのが、この『インテュイション』である。前作でのポップな方向性をさらに推し進めた本作は、見事に構築されたサウンドも併せ、実に完成度が高い。TNTの代表作と言ってもいいのではないか。アメリカをターゲットにしたメロディックなハードロック路線は、本作でひとつの到達点に達した。

この頃、日本ではTNTは結構人気あったと思う。1989年の8月に彼らは初来日公演を行っており、実は僕も見に行ったのだが(笑)、渋谷公会堂はほぼ満員だった。PVもちょいちょい見かけたし。

収録曲は、どれも粒よりだが、僕にとって忘れる事の出来ない名曲が「トゥナイト・アイム・フォーリング」である。キャッチーでありながら、そこはかとなく哀愁を漂わせ、これでもかと琴線に触れてくるメロディは秀逸の一言。心の中に眠っていたものを呼び覚まし、聴く度に切なくなってくる叙情性、もうたまらんのである(笑) 青春のメロディと言ってもいいのではなかろうか。10代の頃、この曲を聴いて洋楽に目覚めた人もいると思うが、その人たちにとっては、耳にするたび、昔を思い出して感傷に浸ってしまうような曲であるに違いない。僕ですら、今でも「トゥナイト・アイム・フォーリング」を聴くと、1989年の夏をやや感傷的に思い出してしまうくらいなんだから、その時の僕より、ずっと若く感受性も豊かな年代の人たちが、感傷的にならない訳がない。丁度、僕が「ボヘミアン・ラプソディ」を聴くたびに感傷的になるのと同じように。しかも、バラードではないのが、またいいのだ(笑)

多分、TNTでは、このアルバムを一番よく聴いたと思う。当時のハードロック系には珍しく、バラード系が少なく、アルバム全体が適度な疾走感に溢れていて、車の中で聴くには最適だった。やや固いとはいえ、ハイトーンのボーカルも爽やかだったし(笑)。産業系に近い感触もあった。同じ北欧のヨーロッパほど、ベタな売れ筋ではないけど(笑)

しかし、残念ながら、この後TNTは失速し、数年後に解散してしまう。僕は『インテュイション』以後のTNTのアルバムを聴いてないので、何とも言えないのだが、やはりアメリカで売れなかったのが影響したらしい。惜しいなぁ。いくらメロディアスでポップと言っても、下世話でないハードロックなんて、やはりアメリカでウケないのだろうか。確かに、破綻がなく、キレイにまとまり過ぎ、という感じもしなくはない。ただ、センスもテクもあると思うけど、ソロになると突如ブッ飛んだフレーズを繰り出すギターは、相当破綻してるんじゃないかと(笑)

ま、そんな訳で、最近ふと思い立って、この『インテュイション』をBOOK OFFで買ったのである。コーナーが作られるほど、TNTのCDはたくさん並んでいた。中古屋にたくさん並んでいる、という事は、昔売れたという事だ。やっぱり、それなりに人気あったんだな。彼らは、解散と再結成を繰り返しながら、今も現役だという話だ。興味があったら聴いてみて(笑)

とにかく、「トゥナイト・アイム・フォーリング」は名曲なのである。いや、他の曲もいいけどね。タイトル曲とか「フォーエバー・シャイン・オン」とか「テイク・ミー・ダウン」とか。同感という人が一体どれくらいいるのか分からないけど(笑)

コメント (6)
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