エヌさんは会社の先輩である。年は僕よりも3つ下だが、入社は早いので、僕にとっては先輩なのである。そのエヌさんが突然入院して休職したのは去年の1月のこと。病名は「急性骨髄性白血病」、夏目雅子や渡辺謙と同じだ。
入院する2~3ヶ月前からエヌさんは身体の不調を訴えていたそうだが、仕事は休まず普通にこなしていた。が、徐々に顔色が悪くなり、ある朝出社してきた時は顔色悪いを通り越して真っ白だったらしい。で、上司が今日は仕事しないでいいからと、病院へ行かせた所即入院となったそうだ。
実際、この話を聞いた時はびっくりすると同時に不安になった。もう生きてるエヌさんには会えないのではないか、と思ってしまったのだ。でも、そこまで深刻ではなかったらしく、実のお兄さんからの骨髄移植手術を受け、術後の経過も良好という話が伝わってきたのが、去年の4月頃。体力が落ちてしまっているので、リハビリに時間がかかるが、半年くらいすれば職場復帰出来るのでは、とその時点ではそういう事だった。正直ホッとした。
所が、その後快方に向かっているという話が聞こえてこない。抵抗力が弱っていたのか、どこからか菌が入り顔が膨れ上がってしまった為、無菌病棟に隔離され、病室から一歩も出れない、なんて情報もあり、本当にエヌさんは復帰出来るのかどうか、あやしくなってきた。既に、有休休暇及び療養休暇も使い果たし、会社からはいつクビにされてもおかしくない状態。本人も復帰には自信をなくしているらしく、このまま辞めるのでは、という噂も流れた。
そんな中、年が明けるとかなり回復したという話も伝わってきて、春先になってついにエヌさんは退院した。一年と3ヶ月に及ぶ闘病生活にピリオドを打ったのだ。ゴールデン・ウィーク明けには復帰する意向で、本人が会社にも挨拶に来たらしい。いやぁ、良かったなぁ、とその時は思ったのだが...退院して一ヶ月もしないうちにまた入院してしまったのである。何でも、退院したはいいけど全く食事が出来ない状態で、食べてもすぐ吐いてしまうのだそうだ。で、家族の手に負えなくなった為病院に逆戻り。本当に大丈夫なのか?
エヌさんが再入院した直後、彼と仲が良い先輩と飲む機会があり、自然と話題はエヌさんのことになった。その先輩が言うには、病気はほぼ完治しているらしい。ただ、体力・抵抗力が極端に落ちてしまっている為、リハビリして元に戻さないと社会復帰は出来ない。それは、あくまでも本人の意志で行うものであり、本人に復帰するのだ、という強い気持ちがない限り、リハビリは進まず復帰は無理だそうだ。先輩によると、エヌさんは長い闘病生活ですっかり無気力になっていて、見舞いに行っても早くここ(病院)から出たいという強い意志が感じられなかったらしい。「一日横になってボケッとしながら、点滴を受ける生活に慣れきってしまったんだよ。その方が楽と言えば楽だもんね。あいつが出たいと思わなければいつまで経っても復帰は無理だ」
病は気から、とよく言うが、本当にある程度から先は、本人の気持ち次第で回復のスピードも違うらしい。すっかり気力が萎えてしまったエヌさんに対して、さきの先輩は見舞いに行っては、歩かせたり食事を一人でさせたりして、気持ちを奮い立たせるように試してみたらしい。その甲斐あってか、エヌさんは夏に再び退院し、盆明けからついに仕事に復帰している。体力はまだまだで、出張には行けないので、事務関係の仕事をしているようだが(元々技術職だった)、とにもかくにも病気を克服してエヌさんは復活したのである。
本人に復帰したいという強い意志がなければ、復帰は出来ない。なるほどなぁ。身近な例を見ると納得する。有名人が病気しても案外早く復帰してくるケースが多いが、これはまた仕事したい(=人前に出たい)という強い意志があるからなのだそうだ。仕事でなくてもいい、子供の顔を見たい、酒を飲みたい、遊園地へ行きたい、女の子と遊びたい、なんでもいい。◯◯がしたいから早く退院したい、と本人が切望する事が、回復へのエネルギーになるのだ。エヌさんの復帰が遅れたのは、そういう気持ちが足りなかったせいらしい。ま、確かにあまり趣味らしい趣味を持たない人ではあったけど。何か好きな事がある、というのは、こういう時にも大事なんだね。正しく“生きがい”である。生きる為の目標かぁ。あなたには“生きがい”がありますか?
僕の場合はどうなんだろう。早く退院してドラムを叩きたい、と思ってれば病気も克服出来るのかな?(笑)
生き甲斐・・・生きている価値。生きていることに感ずるはりあい。「研究に~を感じる」(旺文社:国語辞典より)
入院する2~3ヶ月前からエヌさんは身体の不調を訴えていたそうだが、仕事は休まず普通にこなしていた。が、徐々に顔色が悪くなり、ある朝出社してきた時は顔色悪いを通り越して真っ白だったらしい。で、上司が今日は仕事しないでいいからと、病院へ行かせた所即入院となったそうだ。
実際、この話を聞いた時はびっくりすると同時に不安になった。もう生きてるエヌさんには会えないのではないか、と思ってしまったのだ。でも、そこまで深刻ではなかったらしく、実のお兄さんからの骨髄移植手術を受け、術後の経過も良好という話が伝わってきたのが、去年の4月頃。体力が落ちてしまっているので、リハビリに時間がかかるが、半年くらいすれば職場復帰出来るのでは、とその時点ではそういう事だった。正直ホッとした。
所が、その後快方に向かっているという話が聞こえてこない。抵抗力が弱っていたのか、どこからか菌が入り顔が膨れ上がってしまった為、無菌病棟に隔離され、病室から一歩も出れない、なんて情報もあり、本当にエヌさんは復帰出来るのかどうか、あやしくなってきた。既に、有休休暇及び療養休暇も使い果たし、会社からはいつクビにされてもおかしくない状態。本人も復帰には自信をなくしているらしく、このまま辞めるのでは、という噂も流れた。
そんな中、年が明けるとかなり回復したという話も伝わってきて、春先になってついにエヌさんは退院した。一年と3ヶ月に及ぶ闘病生活にピリオドを打ったのだ。ゴールデン・ウィーク明けには復帰する意向で、本人が会社にも挨拶に来たらしい。いやぁ、良かったなぁ、とその時は思ったのだが...退院して一ヶ月もしないうちにまた入院してしまったのである。何でも、退院したはいいけど全く食事が出来ない状態で、食べてもすぐ吐いてしまうのだそうだ。で、家族の手に負えなくなった為病院に逆戻り。本当に大丈夫なのか?
エヌさんが再入院した直後、彼と仲が良い先輩と飲む機会があり、自然と話題はエヌさんのことになった。その先輩が言うには、病気はほぼ完治しているらしい。ただ、体力・抵抗力が極端に落ちてしまっている為、リハビリして元に戻さないと社会復帰は出来ない。それは、あくまでも本人の意志で行うものであり、本人に復帰するのだ、という強い気持ちがない限り、リハビリは進まず復帰は無理だそうだ。先輩によると、エヌさんは長い闘病生活ですっかり無気力になっていて、見舞いに行っても早くここ(病院)から出たいという強い意志が感じられなかったらしい。「一日横になってボケッとしながら、点滴を受ける生活に慣れきってしまったんだよ。その方が楽と言えば楽だもんね。あいつが出たいと思わなければいつまで経っても復帰は無理だ」
病は気から、とよく言うが、本当にある程度から先は、本人の気持ち次第で回復のスピードも違うらしい。すっかり気力が萎えてしまったエヌさんに対して、さきの先輩は見舞いに行っては、歩かせたり食事を一人でさせたりして、気持ちを奮い立たせるように試してみたらしい。その甲斐あってか、エヌさんは夏に再び退院し、盆明けからついに仕事に復帰している。体力はまだまだで、出張には行けないので、事務関係の仕事をしているようだが(元々技術職だった)、とにもかくにも病気を克服してエヌさんは復活したのである。
本人に復帰したいという強い意志がなければ、復帰は出来ない。なるほどなぁ。身近な例を見ると納得する。有名人が病気しても案外早く復帰してくるケースが多いが、これはまた仕事したい(=人前に出たい)という強い意志があるからなのだそうだ。仕事でなくてもいい、子供の顔を見たい、酒を飲みたい、遊園地へ行きたい、女の子と遊びたい、なんでもいい。◯◯がしたいから早く退院したい、と本人が切望する事が、回復へのエネルギーになるのだ。エヌさんの復帰が遅れたのは、そういう気持ちが足りなかったせいらしい。ま、確かにあまり趣味らしい趣味を持たない人ではあったけど。何か好きな事がある、というのは、こういう時にも大事なんだね。正しく“生きがい”である。生きる為の目標かぁ。あなたには“生きがい”がありますか?
僕の場合はどうなんだろう。早く退院してドラムを叩きたい、と思ってれば病気も克服出来るのかな?(笑)
生き甲斐・・・生きている価値。生きていることに感ずるはりあい。「研究に~を感じる」(旺文社:国語辞典より)