イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

6階のモスキート

2009年05月13日 21時25分38秒 | Weblog


蚊が苦手です。蚊そのものは嫌いではありません。蚊に刺されることが嫌なのです(好きな人はいないでしょうけど)。生き物はだいたい何でも好きだと思っているのですが、夜、電気を消したときにプ~ンという蚊の羽音を聞くと、とっさに殺意がめばえます。戦闘モードに切り替わります。自分の動物・昆虫好きに自信が持てなくなります。生態系のなかにある個々の生き物は、全体としては共生しているとも言えますが、個体レベルではお互いの存在を脅かす関係でもあり得るわけです。蚊と僕の関係も、まさに喰うか喰われるか。自然は、甘くはないですね。僕が住んでいるのは団地の6階なのですが、驚くべきことに毎年夏になるとこんな高さのところにも蚊がやってきます。そして昨夜、今年初の一匹がいることを検知してしまいました。音が聞こえたので間違いなくどこかにいるはずです。実際、寝ている間に何カ所か刺されたようです。しかし、その姿はまだ目撃していません。ともかく、そんなわけですっかり夏は近づいてきているようです。

話は変わりますが、英語の文書を読んでいると、記事のタイトルとか、セクションの見出しとかに、有名な映画のタイトルやセリフ、決まり文句などのパロディによく出くわします。これって何かのパロディなのかな? と思って調べてみると、結構な確率でそうであることが多いのです。すぐに例が出せないのですが、たとえば英語雑誌など、ちょっと気の利いた記事やコラムなどを読んでいると、その記事のタイトルが、映画のタイトルの一部だけを変えたものであったり、文章のなかに、有名な台詞の一部を変えた表現が混ざり込んでいたり、そういったことがかなり頻繁に行われていることがわかります。こういうのって、面白いと思うし基本的には好きではあるんですが、なかなか向こうの文化を知らない人間にとってはピンとこない部分でもあるし、ましてはそれが翻訳対象であった場合は、その事実を認識したうえで、さらにうまく日本語でもそれを表現しなければなりません。なので、「こういう風に下手なパロディを使わずに、素直に自分でタイトル考えてほしいな~」と思ったりするわけなのですが、よく考えてみると僕もブログを書くときに思いっきり下手なパロディを連発しているので、人のことは責められません。人によって、こういう風にパロディを使ったり、何かをもじったりしたくなる趣向ってあるんでしょうね。「すべての芸術は模倣から始まる」と言われますが、容易に既存の表現のうえにのっかるのも考えものだなと自戒している今日この頃です。それに、翻訳者たるもの、できるかぎりそうした文章をネイティブに近い感覚で読めるようになることも仕事の一部です。英文をたくさん読まなければ。というわけで、今夜も蚊に気をつけながら読書を楽しみたいと思います。おやすみなさい。