衆院３補欠選挙が１６日告示された。細田博之前衆院議長の死去に伴う島根１区は、３補選のうち唯一の与野党一騎打ちの構図となり、岸田政権の命運を握る注目区。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題が最大の争点となり、２８日の投開票に向けて１２日間の選挙戦に突入した。
島根１区は届け出順で、自民新人で元中国財務局長の錦織功政氏（５５）＝公明推薦＝、立憲民主党元職で党県連代表の亀井亜紀子氏（５８）が立候補。立候補を表明していた無所属新人の佐々木信夫氏（８５）は届け出しなかった。
錦織候補は松江市殿町の島根県庁前で約９００人を前に第一声。裏金事件に触れ、「党、国会で政治改革に向けた動きが進んでおり、後ろからしっかり押していける立場になりたい」と主張。インフラ整備や農林水産業の振興などに力を入れ、約３０年の行政経験を生かし、島根と国とのつなぎ役になると訴えた。推薦した公明党の国会議員のほか、選挙区内の首長もマイクを握った。
亀井候補は約２５０人が見守る中、同市朝日町の松江テルサ前で第一声に臨み、裏金事件を念頭に「勝てば岸田政権に大打撃を与えることができる。自民王国を崩して真面目に日本を変えよう」と強調。衆参１０年の国会議員の経験を生かし、労働環境の改善や地方の公共交通維持などに取り組むと訴えた。連合島根や国民民主党、社民党の関係者らが応援に駆けつけ、支援を呼びかけた。
島根は１９９６年の小選挙区制導入以降、２０２１年衆院選まで県内全小選挙区の議席を自民が独占した「保守王国」。自民は３補選のうち、東京１５区、長崎３区での候補者擁立を断念し、自民、立民とも島根１区に告示前から党幹部や国会議員が応援に入り、総力戦を展開してきた。
告示後も２１日の日曜日に自民総裁の岸田文雄首相と立民の泉健太代表が島根入りを予定。自民が島根１区を落として全敗となれば、首相への大きな打撃となるのは確実で、激しい戦いが予想される。
１５日現在、島根１区の選挙人名簿登録者数は２６万１５２８人（男１２万４９５５人、女１３万６５７３人）。
