おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
幸福につながるアドラー心理学の知恵 のカテゴリーを始めたのには理由があります。
やがて「アドラー心理学による幸福論」をある出版社から出すための素材作りのためです。
ネタを探していたら、過去にある雑誌にこのテーマで連載していたことに気づきました。
数回にわたって、その雑誌に修正・加筆してこのブログに掲載します。
幸福の不思議な秘訣
『積極的考え方の力』(ノーマン・V・ピール著、ダイヤモンド社)という本を読んでいて、こんな話に出合ったことがあります。
あるテレビ番組のゲストとして招かれた老人は、素朴な感じで、老人の言葉に聴衆は大声を立てて笑い、司会者も深い感銘を受け、他の人々と一緒に楽しんでいました。
司会者は、
「あなたは幸福の不思議な秘訣を、お持ちになっているに違いありませんね」
と、尋ねました。老人は幸福の不思議な秘訣についてこう答えました。
「わしは朝起きた時、二つに一つを選ぶのさ。― 幸福であるか、それとも不幸であるかとね。あなた方は私がどれをとると思うかね。わしは幸福を選ぶんだよ。それだけのことさ」
幸福を妨げる生き方にいくつかの材料があります。
*あの人が変わらないかぎり、私は幸福にはなれない。あの人との結婚が不幸の始まりだ。
*私がこんなになってしまったのは、親のせいだ。親の育て方が悪かったために私は今でも幸福になれない。
*周囲の人の無理解が私をイラ立たせる。今の境遇は引っ越しでもしないかぎり改善しそうにない。
つまり、不幸な生き方をする人の考えには、相手や過去や環境に責任転嫁をする特徴があります。
あなたが不幸だとしたら、それはほんとうに配偶者や家族のせいなのでしょうか?
過去の不幸な出来事がほんとうにあなたの現在と将来を縛っているのでしょうか?
周囲の人達があなたに理解を示したとしたら、それだけであなたは急に幸福になれるのでしょうか?
あなたが人生の主人公
私は、アドラー心理学をもとにするカウンセリングをしていて、不登校の子を持つお母さんが相談にみえたとき、こう言うことにしています。
「過去の原因を見るのをもうやめましょうね。過去を見て、どんなに良いことがありますか? タイムマシンに乗って、過去に戻ることができますか? 今必要なことは、これから先どんなことができるかです」
こう言われると、お母様方は一瞬ギョッとします。しばらくすると、肩の荷を降ろした感じになります。
私は、不登校の原因を調べることはせず、むしろ目的の方を考えることをします。不登校の目的は、親の関心を引くことかもしれません。学校の教師に対して復讐することかもしれません。
このように人間の行動の原因を探求して袋小路に入ってしまうことを放棄し、今から未来に向かって「自分にいったい何ができるか?」と自問して初めて自分が人生の主人公になることができます。具合の悪い責任転嫁や自責感から自分を解放することができます。
あなたの人生は、あなたが築いたものです。あなたは、あなたという乗り物の操縦士です。過去に何があったとしても、ハンドルを過去や他人に委ねられるものではありません。
アメリカのテレビ番組に出た老人と同じように、あなたは一瞬にして幸福に生きるか、不幸でいようかを選べるのです。朝、目覚めたときだけでなく、何かの困難に出合ったときも、あなたは主人公として、幸福に生きることを選ぶことができます。
あなたこそが過去の呪縛からあなたを自由にできるのです。
<お目休めコーナー> 9月の花(2)

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