シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

杉山嘉一監督「ひと夏の隣人」(2016年、105分)

2024-03-14 20:00:36 | 日本・2010年~


観終えて、しばらく呆然自失でした。こんなこともあるのか、と。

もちろんこの作品の脚本は創作ですが、わけありの中年男と少女の関係をとおして、この少女の心のなかのみずみずしさ(幼さ)と共存するわだかまりをここまで踏み込んで描いたことに、驚かされました。

ある夏の終わり。中学2年生の赤石千織(山口まゆ)は夏休みが終わっても不登校で、自習で暮らしています。引きこもり傾向が濃厚です。

学校でトラブルに巻き込まれ、両親は母、祥子(西田尚美)の浮気が原因で最近離婚。父の克哉(斉藤陽一郎)が出て行った家で、母親との関係も上手くいかない千織は、窓にかかるブラインド越しに見える空家に引っ越してきた男(田口トモロヲ)に気づきます。鉢植えの「マグノリア」を育てている様子です。

鈴木という名のその男は社会との繋がりを絶ち、やはり引きこもっているようでした。ある日、鈴木が部屋で観ていた映画「愛の嵐」をきっかけに、ふたりは言葉を交わすようになります。

男は「いまを生きる」「ロミオとジュリエット」「キャリー」などの名画について勝手な持論を主張する千織にうなずきながら、しかし同意するでも否定するでもありません。 不思議な空気感をただよわせる鈴木に、次第に心を開くようになる千織。

そんなおり、学校の担任の星野先生(松本妃代)が訪ねてきたのをきっかけに、千織の周りの人々への鬱屈が爆発します。エキセントリックになり自殺を仄めかす千織に鈴木は、意外な言葉をかけますが・・・。
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