クスノキを見ようと青蓮院へ足を運ぶ事となった。いつもは車越しに眺めてはいるのだが、じっくりと見るのは初めてである。
知恩院のお隣となる青蓮院であるので、感覚的に宿から近いと思っていた距離は、車を使うと意外に時間がかかる。
青蓮院は三千院、妙法院と並び天台三門跡のひとつである。開基は最澄というから相当古い寺院である。また、門跡であるから天皇つながりとなる。一般的に門跡といえば、ほぼ法親王が門主として入寺するが、青蓮院で有名なのは愚管抄を残した慈円、そして御家流の元とされる書の書き手であった尊円法親王であろう。
目標とする寺院を拝観する時は、ほぼ早朝に訪れる事にしている。こうすると、まず拝観者がすくなくゆっくりと見てまわる事ができる。
拝観時間前に大きなクスノキを眺めてみたが、一か所にまとまっているかと思ったのだが並木に近い状態であったのは意外な事であった。
拝観時間をまち華頂殿に向うが、狙いどおり誰もいない。華頂殿の開かれた広縁から心地よく庭を眺める事ができる。室町期の作庭とされる新緑に彩られた庭は、想像以上に魅力的な雰囲気を漂わせていた。
庭へと降り、小堀遠州作といわれる霧島の庭へ向かったのだが、時期的に霧島ツツジはまだのようで、緑のままで燃えるような朱色に変わったツツジを見る事はできなかった。
龍心池を中心とした小高く盛られた庭は、途中石段で上へと登るのだが丁度石段を上った所に好文亭がある。茶室の中は解放されていないようである。
庭で一番の高台であろうところに日吉社なる神社が祀られている。このような場所に神社があるのには驚いたが、おそらく何らかの曰くがあるのであろう。江戸時代に仮御所であったがため粟田御所の別名をもつ青蓮院に、よく日吉社と名のつく社が残ったものである。そのあたりは歴女、歴士の方のブログにまかせよう。
庭を一周していくと本堂にでてくる。拝観順路になっている道から、本堂の中を見る事ができる。薄暗い本堂には青不動がかけられている。もちろんレプリカであろうが、遠目にも青不動の威圧を感じ取る事ができる。
本堂をぬけると宸殿前にでるが、御所と名がつくだけあり、庭の形状はまさに御所で左近の桜、右近の橘が植えられていたようである。