一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1084  ふらっと来てふらっと帰る冬の山

2013年11月14日 | 

 15年前のある日、一匹の尻尾を垂らし痩せこけた幼犬がやって来た。食べ物をあげたところ、そのまま居ついてしまった。モモと名付けたが、忠犬ぶりを発揮し、犬嫌いの女性に「こんな犬なら飼ってもいいわ」と言わしめるほど、我が家のアイドルになった。

それから15年、一度も病気もせず元気に暮らしていたが、2週間前に突然病気になった。人間で言えば脳梗塞のような状態で半身が不自由になり、歩くのがやっと。段差があると転んでしまう始末。

1週間、水も飲まず食べ物も拒否していた。それが水を飲むようになり、食べ物も少しは食べられるようになってきて3日後、突然行方不明になってしまった。不自由な体でそう遠くへは行けないはずなのに、いくら探してもどうしても見つからないのだ。

経験者の話によると、犬や猫は死期を悟ると飼主から離れ、自然の中に帰って行くという。私は、この話を信じようと思う。野良犬としてふらりとやって来て、潔く去って行ったモモ。見事としか言いようがない。

 「人間もかくあるべきだ」と教えられたような気がする。モモ、有難う。この教訓は、薬漬けの無用な延命措置への警鐘にも聞こえる。私も、かくありたいと切に願う。モモ、長い間有難う。

コメント (4)
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