Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

夢のように。

2015-03-03 18:21:37 | 出たもの
当たり前の話だけれど、詩の朗読というのは、本来、いい詩があり、それを伝えるための声があれば成立するものだと思う。いい魚を刺身にすればおいしいのと同じだ。

一方で、食べ物をおいしく感じるという感覚が、その人の育った環境、慣れ、体調、年齢、季節、置かれている状況などによりリアルタイムで刻一刻と様々に変化するように、声と言葉が人の心にアクセスするということの構造にもまた様々なバリエーションがある。あれが食べたい時もあればこれが食べたい時もあり、新鮮な言葉、少し寝かせた言葉、こってりした言葉、耳に負担をかけないような言葉、ジャンクな言葉、化学調味料をぶりぶり振ったような言葉、読み手と聴き手の伸ばし合った手が一致するポイントは、絶対不変のものではない。

それでもやっぱり、どのベクトルだろうがいいものはいい。

今回のSPIRITにゲストでお呼びした暁方ミセイさんの朗読パフォーマンスは、人をびっくりさせるようなギミックもなければ流暢なMCもなく、そのカタチだけを見れば、女性が椅子に座ってとつとつと詩を読んでいるというだけなのだが、本当に素晴らしいものだった。



息をひそめて聴き入り、朗読が終わった時には、長く不思議な夢を見ていて、眼が覚めたらまだほんの少ししか時間が経っていなかったという「邯鄲の夢」の故事を思い出した。第17回中原中也賞受賞詩集である第一詩集「ウイルスちゃん」に続いて、昨秋には第二詩集「ブルーサンダー」も発売。休憩時間、終演後には多くの人が詩集を購入し、またサインを求めていた。

オープンマイク枠は、開演後10分ちょっとで埋まってしまった。進行が早かったため、私の独断で2枠を追加し、14名の方にご参加頂いた。登場順に、

そにっくなーすさん
ユウサクさん
梓ゆいさん
石井敦さん(withジュテーム北村さん)
死紺亭柳竹さん
もがくひとさん
麻生有里さん
浦世耀一朗さん
猫道さん
三木悠莉さん
藤堂はなさん
川島むーさん
あしゅりんさん
中村ひろしさん

という皆様。それぞれ5分という時間の中で、カラフルな世界観を見せてくれた。

オープニングはURAOCBの即興パフォーマンス、最後は私が「あいするあなたへの手紙」と「卒業式」を朗読した。

次回のSPIRITは4月6日(月)、ゲストは田中光さんだ。

皆様、またお会いしましょう!