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マーケティング研究 他社事例 557 「企業買収の成否2」 ~お買い得買収の好事例~

2020-05-15 09:40:16 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 557 「企業買収の成否2」 ~お買い得買収の好事例~


M&A(合併・買収)業界でたびたび見られる1円買収ですが、数百億円の売上高の企業を1円で買い取る例もあります。

しかし、常識的に考えれば、1円の価値しかない企業にはなにかしら問題点があるものです。

それを解決できなければ1円では済まない授業料が待っていると言います。

前述した、コレットはその一例と言えると思います。

それでも「お買い得」であるのも確かです。

そうした事例も少なからずあります。

どこで成否を分けるのでしょうか?

ここからは、1円買収でうまくいった事例を見て見ましょう。

鹿児島県日置市に本社を置く水産配合飼料大手のヒガシマルが、日清オイリオグループから日進マリンテックを1円で買収したのは2011年の事でした。

日清製油(現日清オイリオ)は1990年、ITバブルで魚価格が高かったこともあり、新事業として水産種苗(稚魚)を育てる日清マリンテックを設立しました。

力を入れたアユ種苗では国内大手となり、設立後数年は好業績で優秀な子会社としてグループ内で表彰もされました。

しかしバブル崩壊に伴う魚価と種苗価格の下落で業績が急激に悪化し赤字が常態化してしまいました。

ヒガシマルに買収される直前は1億円以上の債務超過に陥っていました。

水産種苗からの撤退を考えた日清オイリオが、日清マリンテックを1円でいいから買ってくれないかと持ち掛けたヒガシマルは、車エビやハマチの餌など水産飼料が主力です。

しかし、種苗は研究程度にとどまっており、日清マリンテックを傘下に収めれば「川上(稚魚)から川下(成魚)まで一気通貫で養殖マーケットに取り組める」と(ヒガシマルの東勤社長)と判断し交渉のテーブルについたのでした。

とはいえ、日清マリンテックは債務超過で運転資金も無いうえ、施設の老朽化も進んでいました。

1円で買えてもすぐに多額の資金投入が必要なのは明白でした。

そこでヒガシマルは買収交渉の過程で日清オイリオによる日清マリンテックへの増資を条件の一つに捉え、認めさせた。

ヒガシマルは日清マリンテックの財務状態をある程度改善させてから1円で買収したわけです。

ヒガシマルは買収直後、社名から日清を取ったマリンテックに運転資金として2億円弱を貸し付け、横浜に合った拠点の閉鎖と日清オイリオからの出向者の引き揚げによる人件費軽減、経理部門をヒガシマルで請け負うことによる管理部門効率化を進めたのでした。

稚魚の飼料もヒガシマルから購入してもらうことで原価を抑制しました。

その結果、2013年3月期にマリンテックは早くも黒字に転換、2018年3月期からは株主のヒガシマルに対して配当金も出せるまでに回復したのでした。

ヒガシマルもマリンテックが種苗を販売する養殖業者に配合飼料を買ってもらうなど、営業面での果実をお互いに着実に積み重ねました。

息を吹き返したマリンテックは2018年、愛知県田原市の本社の隣接地を購入し水槽設備を作り、2019年11月から新たにヒラメの種苗・成魚の出荷を始めるまでになりました。

土地と設備の総投資額は8000万円で、成長見据えた投資に乗り出せるまでに競争力は高まったのでした。

日清マリンテックの設立当初から同社で働くマリンテックの香山社長は「日清オイリオ傘下の時は投資が期待できず、何も出来ないと諦めていた。親会社が水産に精通しているヒガシマルになってからは、投資も認めてくれるし魚の病気の情報などももらえる」と現状を評価します。

親会社から見て、不振の子会社が主力事業ではない場合、経営資源の重点投入を受けられずに、より苦しくなるという悪循環に陥っていることが多く、マリンテックの例は、買い手が同業だったからこそうまくいった事例と言えます。

しかも、買収前にあらかじめ財務基盤を立て直す道筋をつけていました。

1円買収ではこうした交渉が、その後の成否を分ける一つのポイントとなるようです。

(続く)



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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