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マーケティング研究 他社事例 566 「M&Aを繰り返し成長する3」 ~増え続ける持ち込まれる案件~

2020-05-28 08:04:33 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 566 「M&Aを繰り返し成長する3」 ~増え続ける持ち込まれる案件~


2000年代、医療制度改革や介護保険法改正の影響で、医療分野での買収案件は他にもたくさん転がっていました。

話を持ちかけられる事が多かった農業・食品分野とは違い、医療分野では事業を拡大したい競争相手も多く、「こうすればうまくいくから一緒にやろう」「我々を助けて欲しい」と口説き落とし、地道にM&Aを重ねていきました。

そして10年、手術室などの設備を手掛ける美和医療電機(名古屋市)を買収して傘下に収めたことで病院設備全体を手掛けられるようになり、医療事業は軌道に乗り始めました。

豊田会長は、「最初はきつかったかもしれませんが、ここ10年くらいで、ようやく『エア・ウォーターなら大丈夫』と言ってもらえるようになった」と振り返ります。

こうして新たに農業・食品、医療という2本の柱を立てることに成功しました。

自前で事業を立ち上げるのではなく、徹底してM&Aを積み重ねるのは、「時間と人を買っている」という意識が強いからだと豊田会長は話します。

かつて多くの企業が「農業に参入しよう」「医療を新たな柱に」と勇んでは撤退した背景には、ゼロから人を育てる難しさがありました。

その点、設備や顧客を持ち、その分野に通じた人材を確保できるという点で、M&Aは新規事業の拡大にはうってつけです。

実績を重ねてきたことで、最近では金融機関などからM&Aの案件が持ち込まれることも増えています。

地縁や紹介による「ご近所さんM&A」だけではなくなった今、専門部署として機能しているのが経営企画部です。

年間120件ほどの案件が持ち込まれ、各カンパニー(事業部)に興味があるかどうかを確認した上、検討段階に進むのは20~30件程度、さらに最終的に成約に至るのは年間10件程度だそうです。

しかし、数をこなしても「目利き力」を高めることは難しいと思います。

デューデリジェンス(資産査定)で粉飾決算が発覚するなど、お化粧された会社が持ち込まれる場合もあります。

経営企画部の12人には経理畑の人材は少なく、研究所や事業部から来た人が大半の「素人集団」とも言える人材達です。

会計や経理の専門知識よりも、どれだけ事業を知っているかを重視して作られているようです。

「監査で全ては分からない。オーナーに『誠実さ』を感じるかどうかが最後の決め手」

買収候補となった企業の現場に2,3日間入って挨拶や整理整頓など社員教育が徹底しているかどうかもチェックします。

書類ではなく現場レベルでの確認を何よりも大事にしていると言います。

M&Aの対象が売上高100億円以下の案件が多いのにも理由があります。

損益管理が容易でコントロールしやすいためです。

そうした企業は効率化が進んでいないことも多く、買収後の伸びしろが大きいようです。

買収した会社にまず求めるのは、安全管理やコンプライアンス、連結会計の対応など最低限のルールと効率化です。

経営のやり方に口を出すことはほとんどなく、辞職の意が無ければ社長もそのまま残ってもらいます。

一般的に、買収企業の経営を旧経営陣に任せることは、M&Aの失敗の要因に挙げられることもしばしばあります。

「買収後でモチベーションが低い」

「統合が進みにくい」

などといった、シナジーにつながりにくいからです。

それでも、エア・ウォーターでは「社風に染めようとするのは意味がない」とし経営陣は入れ替えません。

設備投資や効率化での協力は惜しまないものの、自主性に任せるのが基本的な考え方です。

「買収した企業の本当の姿が分かるのは3年後。従業員と気心知れた仲になり、初めて「こんなことやろう」と言えるようになる」

ただし、「増収増益が達成できなければ経営者は交代」という財務的な規律もあり、本社のチェックの目は届きます。

各カンパニーが買収した企業の売上高を、買収後最初の決算期と2018年度とで比較すると、農業・食品カンパニーで12%増、医療カンパニーで24%増とそれぞれが順調に売上高を伸ばしています。

単なる足し算ではなく、効率化やシナジーも作用しているようです。

順調に売上高を伸ばしてきたエア・ウォーターにも課題はあります。

これまで進めて来た多角化が一段落した今、国内での成長は一層厳しくなり、自らイノベーションを生み出さなければならない段階に入って来ています。

そこで強化しているのが、再生医療分野です。

自前で研究開発する歯髄の再生医療は2020年内の事業化を目指しています。

既に歯科診療用品や歯科用機器の会社を買収し、歯科医療に参入しているため素地はあります。

2018年には歯の中心神経に含まれる歯髄幹細胞の研究に着手し、2019年には専門の臨床研究用のクリニックを新設するなど、買収以外の方法でも新しいビジネスを立ち上げようとしています。

エア・ウォーターは2021年度までの中期経営計画で「売上高1兆円」を目標に掲げています。

その達成には、祖業である産業ガスの海外展開も欠かせません。

2019年には世界首位のリンデ(ドイツ)と世界3位のプラクスエア(アメリカ)の両社から、インド事業の一部を買収し、買収金額はそれぞれ200億円を超えるとみられています。

今後は、先行して海外でガス事業を広げている大陽日酸にどこまで追い付けるかも問われて来ます。

国内のM&Aでの実績はお墨付きだけに、海外の案件でも成功を収めて「真のM&A巧者」となれるかどうかです。

これからが正念場ですね。



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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