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フンガ・トンガ大噴火、津波最大15m!(1月20日更新)

2022-01-19 09:09:09 | 山・火山

15日、日本時間午後1時10分頃(現地時間17時26分頃)、南太平洋トンガ沖の火山フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ( Hunga Tonga-Hunga Haʻapai)で大噴火が発生した。火山学者の早川氏や国立情報学研究所の北本氏によれば、噴火から1時間半後に最高潮となったようで、この時のひまわり衛星画像が報道されている。噴煙の高さは30Km、噴煙の大きさはおよそ直径500Km、噴出量は60億トン(精査必)。これは1991年6月に噴火したピナツボ火山と同等で、2021年8月13日に噴火した福徳岡ノ場の20倍。カルデラ陥没しないギリギリの噴出量。生きている間にこれほどの火山噴火を見るとは思わなかった。(で、この噴火を記録しておくことにした)※噴出量10トンに下方修正

15日夕、帰福して初めてトンガ大噴火のことを知った。日本から8000Kmも離れているので影響はないだろうと思っていた。気象庁も同日午後7時すぎの記者会見で「多少の潮位の変化があるかもしれないものの被害の心配はない」と断言していたので安堵していた。ところが、午後9時頃「父島で50㎝の潮位変化が起きている。津波警報を出さなくてよいのか」とのツイートを見かけた。気にはなったが疲れていたので寝てしまった。明け方、スマホを見ると首相官邸の緊急情報が入っていた。津波が発生していた。奄美大島の小湊では午後11時55分に津波警報の基準を超える1m20㎝を観測していた。その直後、16日0時15分、気象庁は慌てて津波警報を出していた。

日本で潮位の変化が観測され始めた午後8時頃、全国各地で2hp程度の気圧の変化が起きていた。これは噴火に伴う空振によるものと考えられている。空振によって一旦下に押された海面が元に戻る形で盛り上がり、大きな潮位の変化を引き起こした可能性があると、東北大今村教授は指摘している。空振によって潮位の変化が引き起こされたため、通常の遠地の海中で起きる津波よりも到達が速かったとも。一方、鹿大井村教授は、空振による気圧変化で起こる波の変化は表層だけで、最大の潮位変化が起きた原因は、火山のそばで海底地すべりや山体崩壊が起き、それによって発生した津波と空振による津波が複合したことによるのではないかと(ひるおびで)述べておられる。

今回、火山噴火による津波を初めて経験したわけだが、前例がないことを理由に気象庁の津波警報が後手に回った(反省なし)にもかかわらず、人的被害がなかったのは幸いだった。一方、現地では16日に撮影された衛星写真が17日公開され、現地の様子が少しずつだが明らかになってきた。首都のあるトンガタプ島の沿岸部では津波による被害も見られる。通信網がやられているため住民の安否など詳しいことはわからないが、多くの人が無事であるよう祈りたい。(18日記)

 

2022年1月15日14時(日本時間)(国立情報学研究所@北本朝展より)

直径およそ500Km、、どれほどの大きさなのか、、

 

 

 

4回カルデラ噴火を起こした阿蘇山を中心にして大きさを描いてみると、、

カルデラ噴火級!? 火山学者さんたちの間では水蒸気プリニー式噴火が有力のよう

※水蒸気プリニー式噴火とは、マグマ水蒸気爆発の要素の大きいプリニー式噴火。マグマ-水の爆発的反応により普通のプリニー式噴火と違って細粒物が8割以上含まれる。進行中は水蒸気により泥雨や豆石が降ると。(@geoignより

そういえば、18日NHKクロ現に出演されていた藤井東大名誉教授も今回の噴火は水が大きく関与していると話しておられた。

NHKクロ現+「緊急報告・トンガ大噴火▽大規模噴火の実態・現地で何が?」見逃し配信中1月25日午後10時30分まで

 

 

 

 国連衛星センター(UNOSAT)が公開した衛星写真(左は2021.12.8撮影、右は2022.1.16撮影)

フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山( Hunga Tonga-Hunga Haʻapai) ほとんど消滅している

 

 

 

 

フンガ・トンガから北西65キロにあるトンガタプ島の首都ヌクアロファの沿岸部 津波の痕跡が

 

 

 

 

リゾート地、ファファアイランド 火山灰で覆われているのか、それとも建物の跡なのか、、

 

 

 

こちらは14日の噴火写真(トンガ地質サービスfacebookより)

今のところ15日の大噴火の写真は存在しない(ネット上ではこれを大噴火と言っている人が多いが)

 

 

《追記》

ニュージーランド軍は17日、哨戒機を派遣。火山に近いハアパイ諸島や首都ヌクアロファがあるトンガタプ島など上空から視察している。その時の写真も公開されている。

トンガ火山噴火、離島に壊滅的な被害 死者増加の恐れ(2022.1.18 ロイター)

海底ケーブルについて。これまで損傷が確認されたのはフィジーとトンガを結ぶ国際回線用と国内回線用ケーブルの各1ヵ所ずつ。この影響で国外との通信も国内の離島との通信も困難になっている。現在はケーブルを修復するため作業船を現場に派遣する準備を進めているが、火山活動の状況を見極める必要があるため、作業の開始は早くても来週になるという。

トンガ 2人死亡 支援物資輸送は火山灰に覆われ延期 NZ政府(2022.1.18 NHKニュース)

 

 

【津波最大15m! 2022.1.19更新】

トンガ政府は18日夜、被害の状況について初めて声明を出した。それによると、これまで3人の死亡が確認され、多くのけが人が出ている。また噴火で発生した津波の高さは最大15mだったと。報道では80㎝とされていたが、これはトンガタプ島の首都ヌクアロファの潮位計が大噴火後に停止したためで、実際にはどれくらいだったのか気になっていたが、15mとは、、

トンガ噴火 3人死亡 多くのけが人 津波は最大15m 政府が声明(2022.1.19 NHKニュース)

 

 

ヌクアロファの潮位計(SEA LEVEL STATION MONITORING FACILITYより)

15日の大噴火後に途絶え、現在は復活している

 

 

 

《おすすめ記事》

トンガの大規模噴火、1000年に1度の現象(2022.1.19 CNN) オークランド大学シェーン・クローニン教授(火山学)執筆

トンガ火山噴火、何が起きたのか、1秒間に100回の雷(2022.1.18 ナショナルジオグラフィック日本版サイト)

 

《関連記事》

日本への津波 専門家「噴火に伴う空気の振動“空振”原因か」(2022.1.16 NHKニュース)

【詳報】前例ない大規模噴火の “津波” そのとき気象庁は… (2022.1.16 NHKニュース)

気象庁「津波警報の地域 被害発生のおそれ 安全な場所へ避難」(2022.1.16 NHKニュース)

トンガ噴火日本への影響 多少の潮位変化も被害心配ない 気象庁 (2022.1.15 NHKニュース)

 

《参考資料》

京大防災研究所。2022年1月15日フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の噴火記録の解析(2022.1.20) 

JAXA。トンガ火山島噴火に関する衛星観測について(2022.1.20)

火山学者・早川由紀夫氏note

 



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