神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた 武田家 17

2024年02月19日 20時16分35秒 | 甲越軍記
  天文二年五月となった、いったい何の因縁なのか左京大夫信虎は、嫡男である勝千代丸を嫌い、二男の二郎丸を深く愛し、家督さえ二郎丸に譲ろうとする気であった。
それでありながら二郎丸には芸術のほかは何も教えずいた。

五月の末、領内から黒栗毛の馬が館に献じられた、この馬は姿かたちと言い、走る勢いと言い逸物の名馬であった。
信虎はこれを喜び秘蔵の馬として愛していたが、あるとき勝千代丸はこれを欲し、信虎の前に出でて
「この度の献上された名馬は、昔の鬼鹿毛にも劣らぬ荒馬の様子、某(それがし)も、もう13歳になり戦場のお供を仕り、あっぱれ一方のお役に立ちたいと思います、かかる荒馬を乗りこなしてなづけたいと思い、ぜひ拝領仕りたく願い出た次第です」
信虎、とたんに機嫌が悪くなり顔にそれを出して「汝、まだ13歳と言えば大人とは言えぬ、それなのに親子とはいえ、父の秘蔵の愛馬を所望するなど無礼であろう
同じ少年と言えども二郎丸は分をわきまえ、汝のような無礼を申さぬ
来年には14歳になる故、元服させ当家重代の御旗、鎧、太刀、兜など譲ろうと思っていたが、その体(てい)では相伝することも考え直さねばならぬ」
と腹を立てて傍若無人にも怒鳴り散らすのを見て、勝千代丸は顔色も変えず早々にその場を立ち去った。
それ以後、信虎は勝千代丸の良いことは全て打ち消し、二郎丸の悪い行いも良い行いに解釈するようになった。

勝千代丸の守役である小幡入道日浄は小幡山城守虎盛の父である
弓の腕前にかけては当家第一と言われ、勝千代丸の幼い時から預かって養育してきた。
以前より、信虎が諫臣を次々とあやめることに加え、勝千代丸の廃嫡さえ思案しているのを見て、いよいよこれは当家も滅びの前兆、危ういと思い、お家の断絶だけはあってはならぬと思案するようになった。
ある夜、勝千代君にささやきかけ、春巴和尚の故事の話を聞かせた

遠い昔、斉の㐮公と言う人があった、暴悪驕慢で忠臣の諫言を受け入れない
㐮公に文姜(ぶんきょう)という妹がいた、魯国(ろ)の桓公に嫁いだ
ある時、桓公が妻となった文姜を伴って、斉国へやって来た
ところが嫁いで容貌が極めて美しくなった文姜を見た㐮公は桓公に嫉妬し、彼を殺そうと企んだ。
㐮公は桓公を狩りに誘い、息子の彭生(ほうせい)に命じて射殺させた。
㐮公は喜び、文姜を斉にとどめ置き、ついには人の道にはずれ妹を妾にしてしまった。
その後、悪事の暴かれるのを恐れて、息子の彭生までも殺した。
斉の諸侯は口には出さぬが、息子を殺し、妹を姦する㐮公から心は離れていった
斉には管仲、鮑叔牙(ほうしゅくが)と言う二人の忠臣がいた
二人は話し「これは亡国の始まりである、いまのうちに太公望の末裔である
我が国を㐮公の無道の振る舞いで断絶させてはなるまい」と一致した。

㐮公には二人の息子いた、兄は糾、弟を小白と言う、二人とも幼く、鮑は糾を、管仲は小白を連れていずこかへ去った。
その後も桓公の暴走は止まらず、ついに一族の公孫無知によって殺され、国を奪われた。
この時、小白は他国にあり成長した、小白は管仲と共に斉に戻り、ついには斉を取りもどした。






佳境に入って来た連ドラ

2024年02月19日 08時12分48秒 | 映画/ドラマ/アニメ
 連ドラも5話、6話と進んで来て、その良し悪しもはっきりした来た
ここに来て心に響くドラマは「光る君へ」「さよならマエストロ」「春になれば」「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか」この4本になった。
ここに見てはいないがブロ友のwadaさん推しの「不適切にもほどがある」を加えて最初から見ようと思う

今回の4つはどれも感動的な回であった。
「さよなら」と「おっさん」は内容もそっくりで「あらら」と思った
「さよなら」では別居中の妻が、音楽以外にまったく無神経なマエストロの夫に離婚を突き付けて自分の好きな道をどれだけ犠牲にしてきたかと責めたてる
これに愛想が尽きた息子と娘は家出、夫と妻はもともと別居で家族バラバラ
しかし両親の真を見た子供たちが戻り、妻も家に戻って何年振りかで家族4人が同じ食卓を囲んだ。
「おっさん」でも家族の為に自分がやりたかったことを全て犠牲にしてきた妻がついに爆発、それを理解したバラバラ家族の夫、娘、息子が団結して妻に感謝の形を示す、そして久しぶりに家族4人で食卓を囲む。
あまりにも似た内容でびっくりした。

もともと「おっさん」は近年取り上げられ法制化も進みだした、ジェンダーやハラスメントをテーマにしたドラマ。
原田泰造演じる主人公沖田は会社の室長で若い部下を管理している。
そもそも管理している意識が現代ではハラスメント、私より設定は若い主人公であるが、我々と同じ昭和世代の人間そのもの。
「男だろ」「男のくせに」「お茶を出すのは女の子の仕事だろ」「おれたちが若い時はなあ」「家庭より仕事の方が大事だろ」などを連発
ところが家に帰れば息子は(彼から見て)女装趣味で引きこもりの(情けない)状況、かといって強く言えず、気遣いは人一倍、腫れものに触るよう
娘はバイトで生活しながら趣味の漫画作家に没頭、しかし食えるまではいかずあきらめの境地、昭和男丸出しの父を軽蔑している。
そんな男がだんだん現代の世界に慣れてきて、ハラスメント、ジェンダーに理解を示していていくと言うドラマ。


だが、「男と女問題」「パワハラ、セクハラ問題」よりもっと身近なところに、今までの歴史の中でも本人しかわからない、周りは家族でもわからない問題が隠れていた。
今回は、そこに焦点を当てたのは作者の金星だったと思う。
ジェンダー差別の被害者である息子も、社会の底辺であがく娘も自分は被害者だと思っているが、そんな立場の人間さえ加害者だったと言う回だった。


それは母親の立場、沖田の妻(富田靖子)はいつも笑顔の良妻賢母だ
昼間は弁当屋でパートタイマー、終われば家に帰って家族の食事作り、唯一楽しみはテレビで大ファンの若手グループを見ること。
彼女が作った弁当が賞をもらった、そして家族にも食べてもらおうと張り切って帰宅、作って待っているが夫は帰りに一杯やって帰ってこない、娘も遅い
閉じこもりの息子は毎日一人部屋食で誰も部屋に入れない
ドアの前の廊下に置いた食事はそのままほったらかし、ようやく夫と娘は帰ってきて食卓に着くがおしゃべりに夢中、食べてはいるが料理そっちのけ
妻は「おいしい」の一言をもらいたくて二人の顔を見るが、二人は料理も見ないで口に運んでいるだけ
たまりかねて「どう」と言えば、夫は「うん 冷えているね」と言うだけついに妻はこれまでの我慢が爆発する
そしてようやく妻の陰の力を認識した三人は協力して、妻がファンのグループのコンサートのレアなチケットを贈るために努力する、そしてゲット
その夜、閉じこもりの息子も食卓について何年かぶりに家族全員で夕食を楽しむのだった。


この回の妻の気持ちは、たまに自信作を家族に提供する私も毎回同じ気持ちでいるからよくわかった、心の中で拍手した
と同時に、私や息子は女房殿が作る夕飯に、そういう気持ちでいたか?とも考えさせられた。