【朝日新聞特集:政権交代@滋賀】
■ニューファームSAYURI 取締役 田中小有里さん
農政、長いスパンで / 農家⇔働き手 橋渡しも期待
《農業の世界に飛び込んだきっかけは》
中学時代から、母の知人が経営する農園で米作りを手伝うなどのアルバイトをしていました。大学では情報システムを学んでいましたが、「後を継いでくれないか」と頼まれ決心しました。
80ヘクタールの農地で、米、大豆、小麦を栽培しています。県内でも五本の指に入る大規模農園です。
《農業政策のあり方は、総選挙の争点の一つでした》
米も大豆も小麦も、国の農業政策に左右される品目です。政権が変わって政策も変わることを期待していますが、現場は振り回され、右往左往することがないようにと願います。
例えば大豆。豆腐や豆乳を買う時、国産大豆にこだわりを持つ消費者が増えていますが、国の補助金なしには経営していけない状況です。この7年間で補助金は大幅に減額されました。そんな農家の現実も知っていただきたい。
新政権に一番お願いしたいのは、10年、20年という長いスパンで政策を考えてほしいということ。農業者は「私たちが日本の食を守っている」という思いで日々暮らしています。
政治が「農業に明るい未来がある」というメッセージを打ち出せなければ、若い農業者は育たないし、日本の農業は先細りしていくばかりです。
《サラリーマン家庭の育ちですね》
農業とは全く縁もゆかりもありませんでした。でも、それがかえってよかったのではないかと思います。農家育ちなら、別の世界を見てみたいと考えたでしょうから。
農業専門のハローワークのようなものがあればなあと思います。私のような農家と縁のない人間は、農業をやりたくてもやれる手段がなかなかないのが普通です。
一方で、農業法人は農繁期だけでも働いてもらえる人が見つかればと思っています。両者の橋渡しをする政策も期待したい。
《結婚後は、福井市の自宅から毎朝、湖北町まで「通勤」されています》
「通い」の農業、という新しい形態かな。農業というと土地に縛られるイメージがありますが、こういう働き方もできると示していけたらと思います。
幸い、夫は兼業農家の出身で、農繁期の忙しさもよく理解してくれ、助かっています。「大変ですね」とよく言われます。確かにそれは間違っていないけれど、農業が大変というとらえられ方から脱皮しないと。そのために、この世界で頑張っていくつもりです。
(聞き手・日比野容子)
【たなか・さゆり:長浜市出身、30歳。岐阜大工学部卒業後、湖北町の農園の後継者に。有限会社「ニューファームSAYURI」取締役。今春結婚し、現在は福井市在住。】
【関連ニュース番号:0909/144、9月16日;0909/121、9月13日;0909/113、9月12日】
(9月16日付け朝日新聞)
■ニューファームSAYURI 取締役 田中小有里さん
農政、長いスパンで / 農家⇔働き手 橋渡しも期待
《農業の世界に飛び込んだきっかけは》
中学時代から、母の知人が経営する農園で米作りを手伝うなどのアルバイトをしていました。大学では情報システムを学んでいましたが、「後を継いでくれないか」と頼まれ決心しました。
80ヘクタールの農地で、米、大豆、小麦を栽培しています。県内でも五本の指に入る大規模農園です。
《農業政策のあり方は、総選挙の争点の一つでした》
米も大豆も小麦も、国の農業政策に左右される品目です。政権が変わって政策も変わることを期待していますが、現場は振り回され、右往左往することがないようにと願います。
例えば大豆。豆腐や豆乳を買う時、国産大豆にこだわりを持つ消費者が増えていますが、国の補助金なしには経営していけない状況です。この7年間で補助金は大幅に減額されました。そんな農家の現実も知っていただきたい。
新政権に一番お願いしたいのは、10年、20年という長いスパンで政策を考えてほしいということ。農業者は「私たちが日本の食を守っている」という思いで日々暮らしています。
政治が「農業に明るい未来がある」というメッセージを打ち出せなければ、若い農業者は育たないし、日本の農業は先細りしていくばかりです。
《サラリーマン家庭の育ちですね》
農業とは全く縁もゆかりもありませんでした。でも、それがかえってよかったのではないかと思います。農家育ちなら、別の世界を見てみたいと考えたでしょうから。
農業専門のハローワークのようなものがあればなあと思います。私のような農家と縁のない人間は、農業をやりたくてもやれる手段がなかなかないのが普通です。
一方で、農業法人は農繁期だけでも働いてもらえる人が見つかればと思っています。両者の橋渡しをする政策も期待したい。
《結婚後は、福井市の自宅から毎朝、湖北町まで「通勤」されています》
「通い」の農業、という新しい形態かな。農業というと土地に縛られるイメージがありますが、こういう働き方もできると示していけたらと思います。
幸い、夫は兼業農家の出身で、農繁期の忙しさもよく理解してくれ、助かっています。「大変ですね」とよく言われます。確かにそれは間違っていないけれど、農業が大変というとらえられ方から脱皮しないと。そのために、この世界で頑張っていくつもりです。
(聞き手・日比野容子)
【たなか・さゆり:長浜市出身、30歳。岐阜大工学部卒業後、湖北町の農園の後継者に。有限会社「ニューファームSAYURI」取締役。今春結婚し、現在は福井市在住。】
【関連ニュース番号:0909/144、9月16日;0909/121、9月13日;0909/113、9月12日】
(9月16日付け朝日新聞)