【写真:被害者参加人として出廷する菊地さんの母親(右)と妹。公判では「被害者の家族の気持ちが通じれば」と願う=大阪府箕面市】
大津地裁で初めて被害者参加制度が適用されて審理される傷害致死事件の初公判が9月8日開かれる。事件で亡くなった菊地嘉津也さん=当時(23)=の母親(47)が被害者参加人として出廷する。京都新聞社の取材に応じ、「事件のことは死ぬまで忘れることが出来ない」と、癒えることのない悲しみを語った。
■「事件 死ぬまで忘れること出来ぬ」
「素直で真っ直ぐな子だった」。大阪府箕面市の自宅で、母親は涙ながらに話した。「実家を出てから、会うたびに大人として成長したなと思っていた。いつも私を気遣ってくれた」。
菊地さんは専門学校を卒業後、滋賀県彦根市の自動車部品製造会社で働いた。自動車整備士の一級免許を取りたいと話していたという。「仕事が楽しいと話していたのに」。
事件は昨年12月に起きた。
守山市小浜町の水路で同月20日、菊地さんの遺体が見つかり、同じ会社で働く原聖和被告(26)が、同月15日に菊地さんから現金を脅し取り、「ダイブ」と命令して水路に飛び込ませて溺死させたとして、恐喝と傷害致死の罪で起訴された。
「人生これからだったのに。悔しかったと思う。死にたくなかったと思う」。
事件後、「滋賀」という地名を耳にする度、震えが走った。自宅で落ち込み、事件当時の記憶がよみがえることもある。9カ月経った今も「現実として受け入れられない」が、兄弟たちとも相談し、「息子のために出来る最後のことだから」と、公判に出ることを決めた。
公判では、被告人質問や意見陳述を行う。「裁判は淡々と進むだろう。でも、被害者の家族の気持ちが少しでも通じれば」と願う。
今回は、菊地さんの妹(22)も、被害者参加人として出廷する。「どうしてこういうことをしたのか、被告に問いたい」という。
地裁などによると、4度の公判前整理手続きで事実関係には争いはなく、公判では、被告が「ダイブ」と命じて菊地さんを死亡させたことが傷害致死罪として成立するかが争点になる、という。
公判は8~10日にあり、判決は16日に言い渡される予定。
(9月7日付け京都新聞・電子版)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009090700028&genre=D1&area=S00
大津地裁で初めて被害者参加制度が適用されて審理される傷害致死事件の初公判が9月8日開かれる。事件で亡くなった菊地嘉津也さん=当時(23)=の母親(47)が被害者参加人として出廷する。京都新聞社の取材に応じ、「事件のことは死ぬまで忘れることが出来ない」と、癒えることのない悲しみを語った。
■「事件 死ぬまで忘れること出来ぬ」
「素直で真っ直ぐな子だった」。大阪府箕面市の自宅で、母親は涙ながらに話した。「実家を出てから、会うたびに大人として成長したなと思っていた。いつも私を気遣ってくれた」。
菊地さんは専門学校を卒業後、滋賀県彦根市の自動車部品製造会社で働いた。自動車整備士の一級免許を取りたいと話していたという。「仕事が楽しいと話していたのに」。
事件は昨年12月に起きた。
守山市小浜町の水路で同月20日、菊地さんの遺体が見つかり、同じ会社で働く原聖和被告(26)が、同月15日に菊地さんから現金を脅し取り、「ダイブ」と命令して水路に飛び込ませて溺死させたとして、恐喝と傷害致死の罪で起訴された。
「人生これからだったのに。悔しかったと思う。死にたくなかったと思う」。
事件後、「滋賀」という地名を耳にする度、震えが走った。自宅で落ち込み、事件当時の記憶がよみがえることもある。9カ月経った今も「現実として受け入れられない」が、兄弟たちとも相談し、「息子のために出来る最後のことだから」と、公判に出ることを決めた。
公判では、被告人質問や意見陳述を行う。「裁判は淡々と進むだろう。でも、被害者の家族の気持ちが少しでも通じれば」と願う。
今回は、菊地さんの妹(22)も、被害者参加人として出廷する。「どうしてこういうことをしたのか、被告に問いたい」という。
地裁などによると、4度の公判前整理手続きで事実関係には争いはなく、公判では、被告が「ダイブ」と命じて菊地さんを死亡させたことが傷害致死罪として成立するかが争点になる、という。
公判は8~10日にあり、判決は16日に言い渡される予定。
(9月7日付け京都新聞・電子版)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009090700028&genre=D1&area=S00