国土交通省が1月12日、洪水時に瀬田川洗堰(大津市)を閉め切る「全閉操作」を撤廃し、琵琶湖周辺など一部地域の犠牲を前提とした治水対策から、流域全体でリスクを分担する方向に転換する基本理念案を示したことについて、滋賀県や京都府など流域2府4県は、流域全体で治水安全度の向上を目指す方向性に異論がありませんでした。ただ、下流の宇治市は「宇治川の治水はどうなるか見えてこない」と懸念を示しました。
「全閉操作」の撤廃方針については、滋賀県が明治時代から求めています。嘉田由紀子知事は「人為的な水がめとして扱われてきた琵琶湖がようやく自然の湖と認められた。歴史的な一日」と評価しました。全閉解消を河川整備基本方針に明記するとともに、宇治川の改修など下流の条件整備を進めるよう訴えました。
京都府は「(堰を閉める)程度によっては、これまでの治水対策との整合性が取れなくなる可能性もある」と指摘し、水系全体の治水対策への影響を十分検討するよう求めました。
一方、宇治市は「(大津市内の)大戸川ダムをつくらないまま全閉操作が撤廃されれば、(宇治川上流の)天ヶ瀬ダムは危機的状況に陥る」と、国交省の方針に不信感を示しました。
(1月13日付け京都新聞が報道)