県立の八日市養護学校(東近江市)と八幡養護学校(近江八幡市)の保護者らでつくる「障害児の生活教育を充実させる県民の会」(犬飼宗潤会長)は1月9日、両校の寄宿舎が廃止されることに反対する1万850人の署名を嘉田由紀子知事に提出しました(ニュース番号0612/45、12月19日を参照)。
犬飼会長らは、「寄宿舎がなくなると通学が困難にある」「自宅通学になれば保護者に大きな負担がかかる」などとして、寄宿舎の存続を訴えました。
これに対して嘉田知事は「これまでの経緯があり(養護学校の)再編はほとんど決まっている。この場で色よい返事はできないが、できる範囲で判断させてもらう」と述べるにとどまりました。
県教育委員会が進めている養護学校の再編計画では、八幡養護学校は2008年に野洲市に新設移転、八日市養護学校は増改築され、2校に併設されている寄宿舎は廃止され、新設の野洲の1ヵ所だけになります。野洲養護学校に新たにできる寄宿舎は、県内の各養護学校への通学が難しい児童、生徒を全県から30人程度受け入れる予定とされています。
八幡養護学校は肢体不自由児、八日市養護学校は知的障害児を対象にした県内初の養護学校として、それぞれ1969年、1974年に設立されました。肢体不自由児、知的障害児とも受け入れる「知肢併置校」がその後主流となり、県教委は2003年度に2校の再編を決めたとのことです。
八幡養護学校の寄宿舎では、放課後の一時預かりも行っており、定時の送り迎えが難しい共働き家庭などが利用しています。八幡養護学校PTA会長の森岡志郎さん(44歳)は「子どもの成長と自立心を養うには寄宿舎が必要。親もつきっきりではいられない」と県教委の再編方針を批判しています。
県教委は「新たな養護学校では自立のための訓練に力を入れる。通学困難者は引き続き寄宿舎に入れる」と説明しています。
(1月10日付け、京都、朝日、11日付け毎日などが報道)