「いくさんのお部屋」つぶやきNo.3

日頃の何気ない日常をつぶやいています。

「龍の棲む家」を読んで

2008-03-01 15:26:27 | 読書
「龍の棲む家」玄侑宗久著(文芸春秋)を読んだ。家族の老いはこれからの私のテーマーである。人が生まれて来た限りはかならず通る道だ。成り行き上痴呆になった父親と同居しなくてはならなくなった息子の幹夫は、父親と向き合うことになる。
親子といえども、お互いにどれほどのことを理解しているのだろうかと改めて疑問に思った。幹夫も父親が痴呆になってから、徘徊したり日頃の言動や行動の中に過去の父親の人生を見るようになる。
それは、徘徊した父親に寄り添って立ち寄った公園で偶然知り合った、介護士の佳代子のアドバイスによるところが大きい。徘徊も意味の無い行動ではないことを知る。それからは、この3人の生活を通していろいろなことが語られている小説となっている。
一度は崩壊した家族が、父親の病気に寄り添うことで、また新たな家族が出来上がる。それは理解しようと言う想いが、また新たな愛情や思いやりを生むということだろう。
私も,最近よく実家に行って母の話しに耳を傾けるようにしている。何度も何度も繰り返す話しは,母もだいぶ惚けて来たのかと思うのだが、内容は自分の嫁いで来た家(私の生まれた家)の人たちのことばかり。どうして、自分の実家の話しはしないのだろうと思うが、この小説を読んで何となく解った気がする。
母の人生は、嫁ぎ先での生活と人間関係が全てだったということが理解出来て来た。この本を読んで、「もうその話しは聞いた,知ってる,何回言うの?」などとしょっちゅう言っていた私は反省した。これからは、母が話したいときにはゆっくり話しを聞いてあげようと思うようになった。
今まで封印して母が言わなかったことも、ポロポロと出て来る。難しいことだが、一番なのは寄り添ってあげることなのだろうが…。



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