「いくさんのお部屋」つぶやきNo.3

日頃の何気ない日常をつぶやいています。

灰谷健次郎の本

2006-11-24 10:06:37 | 読書
ホシダから帰って食事をしていたら、テレビから「灰谷健次郎が死去」というニュースが流れて来た。72歳食道がんということだ。灰谷健次郎と林竹二は、私の子育て(教育)のバイブルだった。
灰谷健次郎の絵本はほとんど小さいときから年齢に応じて買い与えて来た。小さいときには、絵本の読み聞かせをしてから寝るという毎夜の習慣があり、灰谷健次郎の本の中でも子どものお気に入りは『ろくべえまってろよ』だった。穴に落ちたろくべえという犬を子供たちが心配して助け出すという話だ。ヘタウマの長新太の絵もほのぼのとしてとてもいい。
小学校に入った頃には『兎の目』を毎晩連載で読み聞かせた。次は『太陽の子』と…。内容が分かっていたのかは不明だったが、毎晩楽しみにしていたのを今でも覚えている。今は主のいないかつての子ども部屋に残されていた本箱の中の、たくさんの子どもの本に混じって灰谷健次郎の本も残っていた。この『兎の目』のカバー表紙の開けたところに「子どもたちの優しさが、すべての人々の足もとを照らし、未来に向けて歩もうとする太陽のような希望を、どのような不幸な人でも持てるような物語を、いつか、私は書きたかった。灰谷健次郎」と書かれている。この言葉に、灰谷健次郎の本のテーマーが要約されていると私は思う。
私が感動的に読んだのは、『わたしの出会った子どもたち』だった。実際、親になって(なってしまって)子どもの世界に関わるようになって、いろんな子どもを見た。悪い子と烙印を教師にまで押されてしまった子どもは、大人から見放された存在になり行き場を失いますます荒れる。だれも、その子の心の叫びまでは気づかず、生きる希望まで無くして行く。現在では、悪い子だけではない。人とは少し違ってるととか、変わり者とかちょっとしたことで、人はいじめたり排斥したりする。悲しいことだと思う。
灰谷健次郎の著作は、人としてどうあるべきかが、一貫したテーマーで繰り返し書かれている。一言で言えば「思いやり、優しさ」だ。他者を思いやるという簡単そうなことが難しい時代だ。だからこそ、林竹二や灰谷健次郎の本を教育現場の人に関わらす、読んでほしいと思う。