一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

わらび将棋教室に行く(その1)・蕨初参加

2013-01-29 01:02:12 | 蕨将棋教室
25日(金)は、蕨駅前の「蕨市文化ホール内・くるる」にある「わらび将棋教室」に行った。講師は日本将棋連盟棋士の植山悦行七段。原則的に月2回の開講で、時間は午後6時から8時まで。受講料金は2,000円。基本は初心者への講習だが、有段者にも別に時間をとって指導対局をしてくれる。
教室へはすでに、ジョナ研メンバーや大野教室生徒が受講しており、今回私も初出陣となったわけである。
午後5時に仕事を終え京浜東北線に乗り、蕨駅で降りる。しかし建物の反対側に出てしまったようで、「くるる」に入ったのは6時13分だった。
3階の一隅にあるドアを開けると、狭い部屋にものすごく人がいた。その中に中井広恵女流六段の姿があり、成人男性3人に指導対局を行っていた。中井女流六段にお会いするのは久しぶりで、昨年11月の合宿以来だ。その間、メールで2度ほどやりとりしたが、お正月はあけおめメールもせず、そのままご無沙汰になっていた。
私たちは挨拶をかわす。中井女流六段は相変わらず綺麗だった。とても成人した娘さんがいるとは思えない若々しさである。中井女流六段は二言三言話したいふう?だったが、私は照れてしまってダメである。そのままほかに目を転じた。
前方では植山七段が初心者に講義を行っていた。生徒は小学生3人で、付き添いの母親が2人いた。また大野教室のスタッフW氏が、ここでもアシスタントとして甲斐甲斐しく動いていた。
ほかに生徒はHon氏。Minamiちゃんと談笑していた。Minamiちゃんは27日(日)に芝浦で「ペア将棋大会」に出場する。きょうはその最終調整で来たものか。
以上、私も含めて、総勢13人。盛況なのはなによりである。
ちょっと居場所がないので食事を摂りに出ようと思ったら、「あとでみんなで食べましょうよ」とHon氏に止められた。それを見ていた中井女流六段、「Minamiに振り飛車の指し方を教えてあげてください」と申し出てくれた。
ということで、不肖私がミニ講義を行うことになった。
Minamiちゃんは四間飛車に構えた。私はナナメ△6四銀戦法。△7五歩にMinamiちゃんが▲同歩と取ったので、
「振り飛車は攻められたところに飛車を応援するのがいいんだよ。対局中は、あなたの狙ってる手は分かってるんだから、という感じで、ビシッと▲7八飛と指しましょう」
と教える。△7六歩▲同銀△7二飛に、Minamiちゃんは少考後▲8八角。これも立派な手だが、私には最終的に目指す局面があったので、▲6五歩を推奨した。もちろんこの手も、力強い手つきで指すよう奨めた。
私は△7六飛、とおいしく銀をいただく。そこでHon氏が、「Minamiちゃん、ここでいい手があるよ」。私の背後では、W氏が黙って様子を見ている。
Minamiちゃんは少考したあと、▲2二角成~▲7六飛と指し、ニッコリ笑った。
△7六飛は後手が悪いことが分かったので、局面を戻して、△7七角成とする。以下数手進んで△7六飛と銀を取り合ったところで、また設問。桂取りをどう受けるかで、まずは▲7八歩が考えられるが、△6六飛と寄られておもしろくない。
Minamiちゃんはしばらく考えていたが、解答が見つけ出せなかったようなので、▲6七金を教える。振り飛車の左金は5八~4七と使いたいところだが、▲6七金とこちらに上がる手を覚えれば、グンと指し手の幅が拡がる。のちの△6九飛が気になるが、「そこはノータイムで▲5八銀と打ってください」と教えた。「こういう時はね、振り飛車側はたいてい銀を持っているもんなんだよ」。
△7四飛にMinamiちゃんは▲7五歩。私は△同飛と取ってみたが、▲6六角があった。以下△7一飛▲1一角成は後手悪い。
玉の近くに馬を作られる脅威を感じてもらうため、私はここで盤面を逆にした。玉が左に動けず、Minamiちゃんもビビったふうだった。
ただ、▲7五歩は△6四飛で振り飛車がおもしろくない感じである。私は▲7五歩を戻す。
「飛車はさ、どこのマス目にいても16コの利きがあるんだよ。だけど角はね、16利くマスは5五の地点しかないの」
そう言って私は、駒の利きを数えて行く。「でさ、いまは△5四歩があるから5五に角が打てないでしょ。だからそれに近い場所に角を打ちたいんだよね。どこに打ちますか?」
Minamiちゃんはしばらく考え、▲6五角のあと▲6六角を発見した。私はまたも▲1一角成の変化をやる。この香が取られると居飛車が悪い、を覚えてもらうためである。
私はやむを得ない、という感じで△3三銀と打つ。
と、ここで背後が騒がしくなった。Fuj氏が来たようだ。ちょっとイヤな予感がする。
「ここで持ち駒を使って、飛車をいじめてみようよ」
「ふたつ指し手があるけどね」
私の言葉に、Fuj氏が重ねる。すごくイヤな予感がした。少しずつ、私のペースが乱されている気がする。
Minamiちゃんから答えが出なかったので、私は▲8三角を教える。以下△7三飛▲6五角成△6九飛▲5八銀△9九飛成▲8五桂! までが私の教えたい局面だった。
そこでFuj氏が異を唱えた。
「ここは(▲8三角ではなく)▲6五銀でしょう」
Fuj氏がバチッと指す。グッ…勝手に指すのはやめてくれねえか!?
いままでまったりと教えていたのに、ちょっと空気が変わった。そしてこれが、とんでもない展開になるのである。
(31日につづく)
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3 コメント

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臨場感 ()
2013-01-29 08:42:32
臨場感溢れる文章で、光景が目に浮かびます。次回が楽しみです。戦形の選択は、流石ですね。振り飛車のエッセンスが詰まっていると思うので。
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ミニ講座 (さわやか風太郎)
2013-01-29 20:31:53
先生が二人いると生徒は混乱する可能性あり。
棋風の違いで選ぶ指し手が異なるし、形勢判断も微妙。
返信する
それぞれ違う (一公)
2013-01-30 01:08:40
>俊さん
お粗末な文章で申し訳ない。序盤はお互い好きな手を指したので、四間飛車はMinamiちゃんの選択です。彼女はセンスがいいです。

>さわやか風太郎さん
彼女は先生がひとりでも混乱してますからねぇ…。
おっしゃるとおり、例えば同じ局面でも、居飛車党と振り飛車党で形勢判断が分かれることがありますね。
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