一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月21日の4時から男(前編)

2020-04-10 00:07:50 | 新・大野教室
先月中旬、将棋連盟から「支部ニュース」が送られてきた。中には2020年2月以降の支部会員カードが入っていた。私は更新した覚えがないので、大野八一雄七段が3,000円を立て替えてくれたのだろう。
こうした借金は一刻も早く返すに限る。というわけで3月21日(土)、久しぶりに大野教室を訪れた。昨年の11月17日以来となる。
教室内には、研究中の大野七段と、Taga氏ら客が4人いた。最近コロナウイルスの問題もあるのでこうした集会も憚られるが、この人数なら私が加わっても問題はないだろう。つまり、将棋を指していくことにした。といっても「4時から男」である。
大野七段に3,000円を払い、借金返済。同時に、席料2,000円を払った。
現在偶数なので、私は待機である。しばらくするとOk氏が来席し、ようやく対局がついた。
「まだ就職してないの!」とOk氏に先制パンチを喰らう。
駒を並べて私が駒を落とそうとすると、Ok氏が平手を所望した。聞けばOk氏は大野教室に通いつめ、相当腕を上げたという。よって平手で対局開始となった。
将棋は相居飛車で、力戦系に進んだ。いわゆる定跡を外れた形なので、構想力が問われる。だがOk氏は強引に攻めることもなく、じんわりと駒組を進める。攻め駒がつんのめって前に出ることはなく、まずは歩を押し進めていく感じで、力強い。Ok氏、いつの間にこんなに強くなったのかと思った。これも大野七段の教えの賜物だろう。
というわけで、女流棋士が本当に強くなりたかったら、大野七段のもとで勉強すればいいと思う。LPSAの女流棋士あたりは、ここに来ればいいのだ。
中盤、私は桂を交換したが、Ok氏にその桂を攻めに使われたら私がハッキリ悪かった。だがOk氏は再度▲7七桂。これが守りすぎで、しかも桂頭に不安を抱え、優位がやや飛んだ。

それでも第1図まで進みOk氏がまだ良かったが、グズグズしているうちに私にも楽しみが出てきた。

第2図で、Ok氏が銀取りに構わず▲6二角成としたが、△同角▲4六銀に△4七角の王手飛車でゲームセットとなった。Ok氏、中盤までうまく指していたのに、終盤になっていつもの悪い癖が出てしまった。
「Okさんは強くなりましたね。二段はあるんじゃないですか」
と私が大野七段に言うと、
「三段あるんじゃないですか」
と大野七段。
「いえそれは私と同じ棋力になっちゃうので困ります」
プロの査定をアマが否定するのである。いずれにしても、還暦を過ぎても将棋は強くなれる、の好例である。
2局目、佐藤氏が見えたので、教えていただく。佐藤氏は将棋ライターで、知る人ぞ知る強豪である。私は10局近く教わったが、いまだに勝ったことがない。ただ、ボロ負け多数ではあるが惜しかった将棋もあり、本局の私ももちろん勝つ気でいた。
私の先手で、持ち時間なしで始まった。私は四間飛車に振り、佐藤氏は△5三銀左から急戦を明示。私は▲3六歩と懐を拡げる。

第1図以下の指し手。△7五歩▲同歩△6四銀▲7四歩△7五銀▲6五歩△7七角成▲同銀△8六歩▲同歩△2二角▲5六角△8六銀▲6六銀△8七銀不成(第2図)

先手玉のコビンが開いたので、△7五歩の仕掛けは当然。以下▲7七同銀まではこうなるところ。続いて△8六歩▲同歩に△同銀に、▲同銀△同飛▲7七角△8九飛成▲8八飛△同竜▲同角には、△4四桂がピッタリ。よって△8六同銀には▲7六銀とまっすぐ立つつもりだった。だいぶ昔、Is氏にこう指されて困ったことがあるのだ。
だが佐藤氏は力を溜めて△2二角。私は次の指し手が分からず、とりあえず▲5六角と据えた。
△8六銀に、今度は▲6六銀と躱す。

第2図以下の指し手。▲6四歩△同歩▲7五銀△8五飛▲7三歩成△同銀▲7四銀△7五飛▲7三銀不成△同桂▲6四飛(第3図)

私は▲6四歩△同歩と突き捨て、▲7五銀と出た。次は▲7三歩成△同銀▲8三歩のような狙いだ。このあたりは所司和晴七段のマイナビの本に詳解されていたが、忘れてしまった。私は読みを入れず、形だけで指していた。
佐藤氏はそれを先受けして△8五飛。私は▲7三歩成とし、△同銀に▲7四銀とぶつける。
これを△同銀は▲同角で調子がいいので佐藤氏は△7五飛だが、私は▲7三銀不成から飛車を捌いて、ずいぶんよくなったと思った。

第3図以下の指し手。△7九飛成▲6一飛成△5五角▲6三歩△6九竜▲3四角△9八銀不成▲9一竜△5一香(第4図)

第3図で△5五銀は、▲6一飛成△5六銀▲同歩で先手十分。飛車が成れれば角銀交換の駒損など問題ではない。
よって佐藤氏は黙って△7九飛成だが、私は▲6一飛成から▲6三歩。ここまで来ては、もう負けられないと思った。
△9八銀不成に、勢いは▲2三角成△同玉▲2一竜なのだが、あと1枚足りない。それでこちらも▲9一竜と香を補充した。しかし△5一香とガッチリ受けられ、微妙にチャンスを逃した気がした。

(つづく)
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