一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9期叡王戦第2局

2024-04-20 23:08:37 | 男性棋戦
きょう20日は、石川県加賀市にて、第9期叡王戦(主催:不二家、日本将棋連盟)第2局が行われた。
前局は藤井聡太叡王の勝ち。五番勝負ではあるが、挑戦者の伊藤匠七段は早くも後がない。伊藤七段は本局、とにかく勝たねばダメだ。
さて本局は藤井叡王のタイトル戦17連勝が懸かっていた。これは大山康晴十五世名人が1961年から1962年にかけて達成したもので、藤井叡王はその記録に、62 年ぶりに挑むことになるわけだ。
メジャーリーグの大谷翔平選手が昨年、投打に渡って活躍し、そのたびにベーブ・ルースや何やらの記録が引っ張り出された。将棋界もそうで、藤井叡王の活躍につれ、大山十五世名人の連覇記録や、中原誠十六世名人の最高勝率が掘り起こされる。今回のタイトル戦17連勝もそうで、恥ずかしながら私は、この記録のことをまったく知らなかった。恐らく、多くのファンがそうだったと思う。
伊藤七段の先手で対局開始。角換わりの雰囲気だったが、藤井叡王が10手目に角を上がる。
この前「将棋フォーカス」で、若手棋士が同じ手を指していたが、いまこの手がトレンドなのだろうか。でも、藤井叡王がこの手を指すのは初めてとのことだった。
ただ、藤井叡王は角換わりが殊のほか強く、先手番なら勝率は9割を越えているはずだ。まあ後手番ではそこまでいかないだろうが、藤井叡王が策を凝らす必要もないように思われる。
しかしそこは素人考えで、藤井叡王でさえも、角換わりの後手番に危機感を抱いているのだろう。
伊藤七段は角を換わり、藤井叡王は金で取る。この形の味が悪いが、むかしは悪形とされた金冠が、最近では好形とされている。きっとこの形も、藤井叡王は巧みに指しこなすのだろう。
以下は例によってむずかしい戦いが続くが、形勢は微差で伊藤七段が指せている。さらに馬を作り、桂を跳ね、これはいよいよ伊藤七段が好調に見えた。
ところがしばらく経つと、もうAIの形勢は藤井叡王に振れていた。ああ、これもいつものことである。
藤井叡王は桂打ちを利かし、最後の熟考に入る。これは藤井叡王が勝ったと思った。
が、藤井叡王の指し手は、AIの予想手にない飛車切り→歩成の順だった。途端に藤井叡王の形勢バーが58%から33%に減ってしまった。……こんなことがあるのか?
ここからは伊藤七段の会心の手順が続く。自陣に飛車を打たれてあぶないが、伊藤七段は相手玉を攻めることで、自陣を安全にした。
藤井叡王は敵陣に銀を打つ。これで先手玉はほぼ受けなし。しかし後手玉が詰むのか?
伊藤七段はまず桂を打ち、銀捨ての王手。私はふたりが戦った第36期竜王戦第4局の詰み手順を思い出した。本譜は以下、伊藤七段が即詰みに討ち取った。伊藤七段、対藤井戦13局目にして、待望の初勝利なる!!
この1勝は実に大きい。五番勝負から三番勝負になったことが一番だが、伊藤七段が藤井叡王への苦手意識を少しでも払拭できたのが大きい。
勝った伊藤七段には、笑顔がなかったという。その意気込みやよしである。
そして藤井叡王は17連勝がならなかった。当人以上に藤井ファンが残念に思っているだろうが、連勝記録はこれからいくらでもやってくると思う。
第3局は5月2日。
コメント (5)
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