一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

注目の棋聖戦挑戦者決定戦

2024-04-22 23:29:05 | 男性棋戦
さあ、いよいよ第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)挑戦者決定戦である。対局者は佐藤天彦九段、山崎隆之八段。どちらが勝っても藤井聡太棋聖とは面白い戦いになるが、私としては、居飛車党から振り飛車党にモデルチェンジした佐藤九段に勝ってもらいたかった。
将棋は佐藤九段の先手。佐藤九段の振り飛車模様の立ち上がりは当然として、山崎八段の作戦がハッキリしない。佐藤九段は向かい飛車に振ったが、山崎八段は居玉のまま角道を止め、2枚の銀を進出する。早くも山崎流全開である。
もっとも佐藤九段の向かい飛車も、ふつうは相手が飛車先の歩を2つ突いたらそれに呼応して指すものだ。佐藤九段も、ヘンな序盤ではあった。
山崎八段、4筋の歩を突き越した。これは私の好きな手で、自陣の角筋を通すと同時に、美濃囲いの発展を防ぐ意味がある。
対して佐藤九段は飛車をひとつ浮き、4筋の位を解消しにいく。逆に4筋に位を張り、これは大きく思われた。
佐藤九段、満を持して飛車をぶつける。ここは陣形の差で、山崎八段が応じるわけにはいかない。
しかし佐藤九段は6筋も収め、素人目には振り飛車が十分に思われた。実際、ABEMAで大平武洋六段は、「陣形の差で振り飛車が勝つやすい形」と文字解説していた。
そこで改めて後手陣を見ると、善悪はともかく、よく見る形になっている。これを山崎八段の将棋と見ていいのか? どうも、この将棋は佐藤九段が勝つように思った。
佐藤九段、角をぶつける。今度は山崎八段も応じる。だが山崎八段が敵陣に角を打ち、自陣に成り返って、「おや?」と思った。さっきまで薄かった後手陣が、急に手厚くなったからである。
居飛車の急戦は玉が薄いのが難点で、そこを戦いながら補強していくのが居飛車の醍醐味である。全盛時の中原誠十六世名人の将棋にはよくこの類の手が出てくる。だから、大山康晴十五世名人との実戦譜を並べれば勉強になるのである。角換わりでAIが提示した指し手を記憶するより、(私たちレベルでは)よほど勉強になると思う。
形勢はまったくの互角に戻ってしまった。だが、流れは山崎八段である。そしてこの流れは解消されそうにない。これはアマにも感じ取れるのである。前言訂正、この将棋は山崎八段が勝つと思った。
以降は、佐藤九段がなんとなく緩手を指すのに対し、山崎八段はノーミスで進める。やがて素人目にも形勢の差がはっきり分かるようになった。佐藤九段は二枚飛車で迫るが、山崎玉が三段目に逃げ越した形が桃源郷だ。もちろん山崎八段の勝勢である。もう私だったら「くっそ、こんな将棋やってられっか」と投げるところ。たぶん、山崎八段が逆の立場でも投げていただろう。貴族・佐藤九段が投げ切れないのが意外だった。
ここからの佐藤九段の指し手は、見るのがつらい。佐藤九段が早く投げていたら名局賞候補になったかもしれないが、これでオジャンである。でも、その気持ちはよく分かる。
20時46分、佐藤九段投了。山崎八段、15年ぶりのタイトル戦登場が決まった。山崎流変態将棋が藤井将棋に通用するのか。これは面白い五番勝負になる。
第1局は6月6日。長ぇなあ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする