一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第82期名人戦第2局2日目

2024-04-25 13:08:18 | 男性棋戦
第82期名人戦(主催:毎日新聞社、朝日新聞社、日本将棋連盟)第2局、豊島将之九段の封じ手は、2筋に歩を打つ手だった。8筋に歩を打ったのと同じく傷を消した手だが、ひねり飛車は2筋の敵陣に歩を打てるのが強みである。それを自ら封じることは面白くないが、やむを得なかったのだろう。
藤井聡太名人は左桂を跳ね、満を持して端攻め。これは対ひねり飛車の常套手段で、かなり厳しい。果たして豊島九段は大長考に沈んでしまった。
素人の見立てだが、こうなるなら2筋に歩を打つ手は保留し、銀を上がって増強する手を見たほうがよかったのではないか。
2日目のABEMA解説は百名山・中川大輔八段、阿部光瑠七段、中村真梨花女流四段、和田はな女流1級である。和田女流1級は、彼女が小学生のころから私は知っているがずいぶん綺麗になった。通常ならファンランキングに入るが、そんなわけでランクしづらい。
盤上は中川八段の解説通りに進み、藤井名人は手にした桂で、飛車を召し取ることに成功した。アマ同士なら勝負ありで、気の早い先手なら投了しているだろう。
ところがABEMA AIの評価は後手ややよし程度で、私は意外だった。
それを裏付けるように、藤井名人は1筋に飛車を打つ。実はこの手、私も予想していたのだが、こんなところに飛車を打つようでは、確かに難しい戦いだ。
そこからの指し手も難しいのだが、中川八段と阿部七段は、いろいろ手を読みながら、AI推奨の手にたどり着く。これはさすがだと思った。
中川八段が変化手順を述べるときも、「駒に活気がある。ハツラツとしてなきゃいけない。活気がなきゃいけない」と、駒の勢いを重視するので、手の意味が分からなくても、とても分かりやすい。
局面はいつの間にか豊島九段有利。ここで豊島九段の手番で、私ならとりあえず飛車を取る。
ところが豊島九段はここでも大長考に沈む。中川八段は「全部読み切ろうということですね」と推察する。私もここでは、豊島九段の勝ちを疑わなかった。
豊島九段、結局飛車を取る。ところが藤井名人歩成りの王手に、玉が逃げてしまった。これは解説陣が「ない」としていた手だったので、私はびっくりした。
実際、ここで形勢逆転である。ところが藤井名人が銀を取ったあと、成香を祓ったのでびっくりした。ここはAIと解説陣推奨の歩打ちが本手で、私でもそう指す。もちろんこれが正着で、また豊島九段に形勢の針が振れた。
豊島九段、敵陣に飛車を打つ。「自信がありそうな手つきでしたね」と中川八段。今度こそ本当に、豊島九段が勝ったと思った。
このあたりで地震が起こったが、対局者のふたりは微動だにしない。この集中力は素晴らしいと思った。
豊島九段、敵陣に銀を打つ。藤井名人、銀を受ける。しかしAIの推奨手は金打ちである。銀と違い、横すべりで王手できるのが大きいのだ。しかし双方時間もなく、ここは豊島九段が千日手手順で時間稼ぎをするかと思った。
だが豊島九段は自陣の金を逃げる。これがちょっとマズく、藤井名人は桂を打つ。これが好手で、ついに藤井名人に針が振れた。これは100%、藤井名人が勝ったと思った。
最後は豊島九段の角成りに藤井名人が玉を逃げ、豊島九段投了。今年度一の名局に終止符が打たれた。いや藤井名人、この将棋を勝ったか!
豊島九段、健闘虚しく、2連敗。対藤井戦も11連敗となった。ここから七番勝負の残り5局を4勝1敗できるとは思えぬから、これで藤井名人の防衛濃厚となった。藤井名人にタイトル戦で勝つ棋士は、いつ現れるのだろう。
コメント (4)
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